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回転する導体棒の誘導起電力〜1/2 がつく理由

の磁場の中で、長さ の棒を片端を軸にして毎分 回転させます。両端のあいだに が生まれます。

先端の速さで計算すると になり、倍の値が出てしまいます。棒の場所ごとに速さが違うためです。

答えには が付きます[1]。

場所ごとに速さが違う

軸から距離 の点の速さは です。軸の上では 、先端でいちばん速い。

まっすぐ動く棒なら、どこも同じ速さでした。回転する棒では、その前提が崩れます。

長さ の小さな区間に生まれる起電力は 。これを軸から先端まで足し上げます。

軸からの距離ごとに速さを と書く

小さな区間の起電力を足し上げる

の 1 次式を積むので、平均の が出る

平均の速さで考える

積分を使わずに済ませる道もあります。速さが に比例して直線的に増えるので、平均は先端の半分です。

まっすぐ動く棒の式 に、この平均を入れます。

同じ式になりました。速さが直線的に変わる場合にかぎり、平均で置きかえられます。

掃く面積で考える

もう 1 つ、磁束の変化率から出す道もあります。

棒が 1 回転すると、半径 の円をまるごと掃きます。面積は 、かかる時間は 。

が約分で消えて、やはり同じ式です。3 通りのどれで解いても一致します。

平均の速さで解く

の に を入れるだけ。手数が少ない

掃く面積で解く

ファラデーの法則をそのまま当てる。円板など形が変わっても通る

例:毎分 300 回転

回転数を角速度に直します。 分に 回なので、 秒に 回。

、 を入れます。

先端の速さは 。これで を計算すると になり、倍の値が出ます。

回すのに要るトルク

軸と先端を導線で結び、抵抗 をつなぎます。流れる電流は 。

その電流も磁場の中にあるので、力を受けます。軸からの距離ごとに力のモーメントを足し上げると、起電力のときと同じ形になる。

向きは回転を妨げる側です。一定の速さで回し続けるには、外から同じ大きさのトルクを加え続けることになります。

起電力にもトルクにも、同じ が現れます。

どちらも に比例する量を軸から先端まで足し上げる形。積分の中身が同じなので、係数もそろう。

エネルギーは熱になる

外から加えるトルクの仕事率を出します。

抵抗で消える電力も出します。

一致しました。回すのに使った仕事が、そのまま抵抗の熱に変わっています。

例:長さを 2 倍にする

が 2 乗で効くので、棒を に伸ばすと起電力は 倍の 。

回転数を 2 倍にした場合は 倍にしかなりません。長さのほうが効きめが大きい。

変える量起電力の変わり方 からの値
回転数を 2 倍2 倍
長さを 2 倍4 倍
磁場を 2 倍2 倍

円板でも同じ式

棒の代わりに金属の円板を回し、中心と縁から電流をとり出す装置もあります。

円板を「無数の棒の集まり」とみなせば、どの棒も同じ起電力を生みます。並列につながった形なので、中心と縁の電位差は棒 1 本のときと変わりません。

は円板の半径です。並列なので抵抗が小さく、大きな電流をとり出せる点が違います。

検算のしかた

を落としていないかを見ます。先端の速さで計算した値のちょうど半分になるはずです。

回転数の単位も確かめます。毎分の回転数をそのまま に入れると、 倍と 倍の両方がずれます。

エネルギーの確認も早い。トルクの仕事率と が一致すれば、途中の計算が合っています。

先端の速さを棒全体に当てる。 を落とすことになります。
毎分の回転数を角速度としてそのまま使う。
長さを 1 乗のまま扱う。2 乗です。
掃く面積を半円としてしまう。1 回転で円 1 個ぶんです。
トルクの式で を落とす。起電力と同じ係数が付きます。

の磁場の中で、長さ の棒を角速度 で回します。起電力はどれですか。

__RESULT__

です。 は を落とした値、 は長さを 1 乗のまま扱った値になります。

速さが場所ごとに違うなら、平均をとる。直線的に変わる量なので、平均は先端の半分で済みます。

参考

Motional Emf. University Physics Volume 2, OpenStax.
Faraday's Law. University Physics Volume 2, OpenStax.
*Versuch E08: Das Faradaysche Induktionsgesetz*. Physikalisches Grundpraktikum, Universität Greifswald.
$0.20\ \mathrm{T}$ の磁場で $0.50\ \mathrm{m}$ の棒を毎分 $300$ 回転させると $0.79\ \mathrm{V}$。先端の速さで計算すると倍の $1.57\ \mathrm{V}$ になってしまいます。軸の上は止まっていて先端がいちばん速く、速さが距離に比例するので平均は半分。$\varepsilon = \frac{1}{2}B\omega L^2$ の係数はここから出ます。1 回転で掃く面積から解いても同じ式に着き、$\pi$ が約分で消える。回すのに要るトルクにも同じ $\frac{1}{2}L^2$ が現れ、その仕事率と $I^2R$ が一致すること、円板でも式が変わらないことまで。