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正方形の 4 隅に置いた点電荷 - 電場と電位の合成

一辺 の正方形の 4 隅に を置きます。中心の電場は 、電位は です。

隣り合う 2 つを負に変えると、今度は逆になる。電場は に跳ね上がり、電位のほうが になります。

同じ配置で、片方が消えてもう片方が残る。電場がベクトル、電位がスカラーだからです。

足し方が違う

点電荷が作る電場と電位は、分母だけが違います[1]。

電場は向きを持つので、成分に分けて足す。電位は向きを持たないので、符号つきの数値をそのまま足します[2]。

電位の式に絶対値が付いていない点に注意が向くと、計算が早くなります。負電荷は負の電位を作り、正電荷の作る電位を削っていく。

電場は 1 本ずつ矢印を描いて成分で足す

電位は符号つきの数値を並べて足す

どちらも重ね合わせだが、足す対象が違う

中心までの距離

一辺 の正方形なら、対角線は 。中心は対角線の中点なので、頂点までは です。

なら 。2 乗すると で、こちらは根号が消えます。

電場の計算で使うのは だけなので、根号は消えたまま進む。電位では そのものが要ります。

各頂点の電荷が中心に作る電場の大きさは、どれも同じです。

4 本の矢印は、それぞれ対角線に沿って外向き。向かい合う 2 本が正反対を向くので、対で消えます。

電位のほうは打ち消しようがありません。

緑の矢印が 4 本を合成した電場です。薄い矢印は 1 個ずつの寄与を表しています。

例:隣り合う 2 つを負にする

上の 2 隅を 、下の 2 隅を にします。

正電荷からは離れる向き、負電荷へは近づく向き。4 本とも下向きの成分を持ちます。

左右の成分は対で消える。残るのは下向きの成分だけです。

電位は なので、掛ける前から と分かります。

例:対角が同符号

左上と右下を正、右上と左下を負にします。

対角どうしの 2 本は正反対を向いて消え、もう 1 組も同じように消える。電場は です。

電位も 。この配置だけは、両方そろって消えます。

4 つとも正電場 、電位
上が正で下が負電場 、電位
対角が同符号電場 、電位
1 つだけ負電場 、電位

符号の配り方は 4 通りしかないのに、結果は と有限のあいだで組み合わせが変わります。

例:1 つだけ符号を変える

4 つとも正の状態から、左下だけ に変えます。

まともに 4 本足してもよいのですが、差だけを見ると速い。 を にする操作は、 を重ねて置く操作と同じです。

もとの 4 つは を作っていたので、残るのは重ねたぶんだけ。

向きは、負電荷にした左下へ向かう向き。電位は にあたる量が残ります。

対称な配置に 差だけを重ねる 見方をとると、成分の分解が要らなくなります。

もとの配置が を作るなら、変えた分の寄与がそのまま答え。角度を使わずに済む。

この見方は、頂点が 6 個でも 8 個でも通ります。対称な土台があるかどうかだけが条件です。

中心に電荷を置くとどうなるか

中心に を置いたとき、受ける力は で出ます。

4 つとも正の配置なら なので、力は働きません。ただし少しでもずれると、押し戻されるのではなく外へ逃げる向きの力が出ます。

位置エネルギーは です。 なので、 なら 。

力が でもエネルギーは残る。この 2 つは別の量です[3]。

電場と力

向きを持つので対で消える。消えた点では、置いた電荷が動き出さない

電位とエネルギー

向きを持たないので符号だけで決まる。消えるのは正と負が同量のときに限られる

例:正三角形でも同じ手順

頂点が 3 つでも、対称なら同じ結論になります。

一辺 の正三角形の 3 頂点に を置きます。中心までの距離は 。

3 本の矢印は ずつずれているので、足すと になる。正方形での対どうしの打ち消しとは消え方が違いますが、結果は同じです。

頂点を増やすと電位は上がる

一辺を に固定したまま、頂点の数を増やしてみます。

正六角形では、中心までの距離が一辺と等しくなる。 です。

配置中心までの距離中心の電位
正三角形
正方形
正六角形

電荷の数が増えるほど電位も上がりますが、距離も伸びるので上がり方はゆるやか。電場のほうは、どれも のままです。

例:中心から少しずらす

4 つとも正の配置で、中心から右へ だけずらした点を考えます。

左の 2 隅は遠くなり、右の 2 隅は近くなる。近いほうの寄与が強くなるので、合成した電場は右向きに残ります。

中心は電場が の点ですが、安定な位置ではありません。少しずれると、ずれた向きへさらに押し出される。

正電荷だけで囲んだ内側に、正電荷を静かに留めておける点は作れない。電場が という条件だけでは、そこに留まる保証になりません。

単位はどちらも同じものを見ている

電場の単位は 、電位の単位は です。 なので、 は と一致します。

電場は とも書ける。電位が距離あたりどれだけ変わるかが電場、という関係になっているためです[2]。

一様な電場なら の形で結べます。今回のように場所ごとに向きが変わる配置では、この単純な式は使えません。

検算のしかた

対称性の確認が最も早い。中心を通る軸で配置を折り返したとき、正負の並びまで同じに重なれば、その軸に垂直な成分は です。

電位の検算は符号の合計を見るだけ。正電荷と負電荷が同じ量なら、中心の電位は必ず になります。距離がそろっているためです。

数値の桁も見ておきます。 の に を入れるところを で割ってしまうと、答えが 7 倍ずれる。

電位の式に絶対値を付けて、負電荷も正の寄与として足す。
電場を大きさだけで足して、向きを見ない。
中心までの距離に一辺の をそのまま使う。
電場が だから電位も だと決める。
を掛け忘れて、成分ではなく大きさをそのまま合計する。

正方形の 4 隅のうち、左上と右上に 、左下と右下に を置きます。中心について正しいものはどれですか。

  • 電場も電位も
  • 電場は でなく、電位は
  • 電場は で、電位は でない
__RESULT__

正と負が同量なので電位は です。電場のほうは 4 本とも下向きの成分を持ち、足し合わさって残ります。両方 になるのは、対角どうしを同符号にした配置です。

電場は矢印を描いてから足し、電位は符号を並べて足す。どちらを聞かれているかで手順が変わります。

参考

Andreas Wipf. *Elektrodynamik*, Kapitel 2: Einführung in die Elektrostatik. Theoretisch-Physikalisches Institut, Universität Jena.
Étienne Thibierge. *Potentiel électrostatique, condensateur*. Cours 13, PT, Lycée Blaise Pascal.
Electric Potential Energy. University Physics Volume 2, OpenStax.
一辺 $0.20\ \mathrm{m}$ の正方形の 4 隅に $+2.0\ \mu\mathrm{C}$ を置くと、中心の電場は $0$ でも電位は $5.1 \times 10^{5}\ \mathrm{V}$ 残ります。下の 2 隅を負に変えると立場が入れかわり、電場が $2.5 \times 10^{6}\ \mathrm{N/C}$ で電位が $0$。対角どうしを同符号にしたときだけ、両方そろって消える。頂点を 1 つだけ変える場合は、差を重ねて考えると成分の分解が要りません。正三角形と正六角形まで並べ、中心までの距離が $\dfrac{a}{\sqrt{3}}$、$\dfrac{a}{\sqrt{2}}$、$a$ と伸びる様子も見ます。