一直線に並ぶ 3 電荷とクーロンの法則(合力の求め方)
を 離して 2 個置き、そのまん中に を置きます。まん中が受ける力は です。
右側だけを に入れ替えると になる。符号を 1 つ変えただけで、 が最大値に変わりました。
一直線に並んだ 3 個の電荷は、力を 1 本ずつ出して向きをそろえて足すだけで片づきます。
力は 1 本ずつ出して足す
クーロンの法則が与えるのは、電荷 2 個のあいだに働く力です[1]。
電荷が 3 個あるときは、この式を 2 回使う。まん中の電荷が受ける力は、左の電荷から受ける 1 本と、右の電荷から受ける 1 本の合成です。
3 個目がいるからといって、他の 2 個のあいだの力が変わることはありません。これを重ね合わせの原理といいます[2,3]。
自然界の力がすべてこう振る舞うわけではないので、当たり前ではない性質です。クーロン力については実験でよく確かめられています[3]。
矢印の長さはどちらも同じです。変わるのは向きだけで、それが合力を にも にもします。
符号は向きにだけ使う
計算でつまずくのは、電荷の符号を式にそのまま入れてしまうときです。
クーロンの法則の分子は で、絶対値が入ります。マイナスを代入して負の力を出しても、その符号は一直線上の左右と対応しません。
手順を分けておくと崩れない。
大きさを絶対値で出す
同符号なら反発、異符号なら引力と決める
右向きを正として足す
向きを決めるのは、相手がどちら側にいるかと、符号の組み合わせの 2 つだけです。
反発なら相手から遠ざかる向き、引力なら相手に近づく向き。この対応さえ守れば、あとは足し算になります。
例:両端が同じ電荷なら打ち消す
に 、原点に 、 に を置きます。
左の電荷が原点の電荷に及ぼす力の大きさは、次のとおり。
同符号なので反発で、向きは右。右の電荷からも同じ大きさの力を受けますが、そちらは左向きです。
対称な配置なので、計算する前から だと分かります。左右で電荷も距離も同じなら、力は必ず釣り合う。
例:片方の符号を変えると足し算になる
右の電荷だけを に変えます。大きさは変わらないので のままです。
変わるのは向きだけ。異符号になったので引力で、原点の電荷は右へ引かれます。
左からの反発も右向きなので、2 本がそろって右を向きました。
まん中を押す向きと引く向きが逆になり、大きさが同じなら になる
押す向きと引く向きがそろい、大きさが同じなら 2 倍になる
大きさの計算をどれだけ丁寧にやっても、この向きの判断を間違えると答えは と のあいだで振れます。
例:距離が違っても打ち消せる
左右で電荷の大きさが違っても、距離を調節すれば釣り合います。
に 、原点に 、 に とします。
右の電荷は 4 倍ですが、距離が 2 倍あります。
こちらも でした。電荷が 4 倍になっても、距離が 2 倍なら で割られて元に戻る。
電荷の比が距離の比の 2 乗と等しければ、まん中の電荷は動きません。

まん中の電荷は向きを反転させるだけ
原点の電荷を に変えても、釣り合いは崩れません。
左の電荷とのあいだは引力に変わり、原点の電荷は左へ引かれる。右の電荷とのあいだも引力になって、今度は右へ引かれます。
2 本とも向きが反対になっただけで、大きさは変わらない。合力は のままです。
まん中の電荷 は 2 本の力に 共通の因子 として掛かっています。
どちらの力にも同じ が掛かるので、 の大きさを変えても比は動かない。符号を変えれば 2 本ともそろって反転する。
つまり釣り合いの条件に、まん中の電荷は出てきません。両端の電荷と距離だけで決まります。
例:端の電荷が受ける力
まん中だけでなく、端の電荷が受ける力も同じ手順で出せます。
に 、 に 、 に とします。
左端の電荷は、となりからも遠くからも押されます。どちらも左向き。
合わせて で、向きは左。端の電荷は、すべて同符号なら必ず外向きに押されます。
まん中の電荷はどうか。左から で右へ押され、右からは次の力で左へ押されます。
差し引き で左向き。大きいほうへ引き寄せられるのではなく、大きいほうから逃げる向きになります。
| 電荷の位置 | 受ける合力 | 向き |
|---|---|---|
| 左 | ||
| 左 | ||
| 右 |
3 つの合力を全部足すと になります。 で、系全体には外から力が働いていない。
距離が 2 倍なら力は 4 分の 1
分母が なので、距離の効き方は電荷の効き方より急です。
電荷を 2 倍にすれば力も 2 倍。距離を 2 倍にすると力は になります。
一直線の問題では、この差が結果をひっくり返します。電荷が大きいほうが強いとは限らない。
グラフが左端で立ち上がる形が の効き方です。近づけるほど、わずかな差が大きな違いになります。
検算のしかた
出した合力が正しいかどうかは、極端な場合に戻すと分かります。
片方の電荷を にすれば、残った 1 本だけの力になるはず。両端をそっくり入れ替えれば、合力の向きだけが反転するはずです。
対称な配置に戻して になるかを見るのも早い。左右で電荷も距離も同じにしたとき、答えの式が にならなければ、途中で符号をとり違えています。
単位のとり違えはとくに多い。 は で、掛け算では になります。
に 、原点に 、 に を置きます。原点の電荷が受ける合力はどれですか。
大きさは絶対値で、向きは配置で。この 2 段に分けておけば、電荷が何個並んでも同じ手順で答えが出ます。
















左の電荷とは反発なので右向きに 5.4 N、右の電荷とは引力なのでこちらも右向きに 5.4 N です。向きがそろうので足して 10.8 N になります。0 は両端が同符号のときの答えです。