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帯電した金属球の電場と電位:内側と外側のグラフ

半径 の金属球に を与えます。表面の電位は で、中心も です。

電場のほうは、中がどこでも 。表面のすぐ外側で に跳ね上がります。

同じ場所で、電場は飛び、電位は折れるだけ。この違いがグラフの形を分けます。

導体の中は電場が 0

金属の中に電場が残っていると、自由電子が力を受けて動き続けます。静電気の状態では動きが止まっているので、中の電場は [1]。

表面に付いた電荷が、内部でちょうど打ち消し合う配置に落ち着いた結果です。

中空の球でも同じ。中に空洞があっても、そこに電荷を置かないかぎり電場は になります[1]。

外は点電荷と同じ

球の外側では、電荷がすべて中心に集まっているかのように見えます[1,2]。

対称性が高いので、外から見るかぎり球の大きさは関係ありません。半径を変えても、 での値は変わらない。

外側は点電荷とみなして式を当てる

表面の値を で計算する

内側は電場 、電位は表面と同じ値で埋める

電位は折れるが飛ばない

表面で電場が から へ一気に変わります。グラフは縦に跳ぶ。

電位のほうは跳びません。 で外側の式と内側の一定値がつながり、傾きだけが変わります。

電場は電位の傾きにあたるので、傾きが から急な下りへ切り替わる点が、電場の跳びに対応している。

例:半径 0.10 m の金属球

、 とします。

表面の電位は次のとおり。

表面のすぐ外側の電場も出します。

という関係になっています。 で確かに合う。

の点なら、距離が 2 倍なので電位は半分の 、電場は 4 分の 1 の です。

中心 電場 、電位
内部 電場 、電位
表面 電場 、電位
外部 電場 、電位
外部 電場 、電位

一様に帯電した球とは違う

金属ではなく、電荷が体積全体に一様に散らばった絶縁体の球を考えます。同じ と でも、中の様子が変わります[2]。

内側では、半径 の球面より内にある電荷だけが効きます。その量は に比例するので、電場は次の形。

中心で 、表面へ向かって直線的に増えます。電位のほうは中心が最も高くなる。

中心の値は で、表面の 倍。今回の数値なら です。

外側の では、2 つの球の値がぴたりと一致します。外から測るだけでは、中身が金属か絶縁体かを見分けられません。

金属球

電荷は表面だけ。内部は電場 、電位は表面と同じ一定値

一様に帯電した球

電荷は体積に散らばる。内部の電場は に比例、電位は中心で 倍

例:2 つの球を導線でつなぐ

半径 と の金属球を、細い導線でつなぎます。

つながった全体が 1 つの導体になるので、電位はどこでも同じ値に落ち着きます。

電荷は半径の比で分かれました。大きい球のほうに 2 倍の電荷が集まります。

表面の電場を比べると、話が逆になる。

電荷が少ないほうの球で、電場が 2 倍強い。半径に反比例します。

表面の電場は と書けるので、電位が共通なら 半径が小さいほど電場が強い。

針の先や角のように曲率半径の小さい場所に電場が集中する。避雷針が尖っている理由がここにある。

例:空洞の中は外の影響を受けない

金属球の中をくり抜いて、空洞を作ります。空洞に電荷を置かなければ、そこの電場は のままです[3]。

外から強い電場を掛けても変わりません。導体の表面に電荷が並び直して、内部でちょうど打ち消す配置になるためです。

金属の箱に入れた測定器が外来の電場を拾わないのは、この性質によります。網目でもかなり効く。

例:接地するとどうなるか

帯電した金属球を導線で大地につなぎます。大地の電位を と決めるので、球の電位も に落ちます。

まわりに他の帯電体がなければ、電荷はすべて逃げていく。 だった球が になり、外部の電場も消えます。

近くに別の帯電体があると話が変わります。球の電位を に保つために必要なぶんの電荷が、逆符号で残る。

接地は「電荷を にする操作」ではなく、「電位を にする操作」です。この違いが答えを分けます。

例:表面の電荷密度から電場を出す

表面のすぐ外側の電場は、電荷密度からも書けます[3]。

球の表面積は なので、。これを入れると に戻ります。

を使って直接確かめてみます。 で、割ると 。合いました。

検算のしかた

と の関係を当てる手が最も速い。球の外側では が成り立つので、 を掛けて電位に戻るかを見ます。

グラフの形も手がかりになります。電位は必ず連続で、どこにも段差ができません。段差が出たなら、内側の値を書き間違えています。

表面での一致も確かめる。内側の式に を入れた値と、外側の式に を入れた値は、電位なら必ず同じになります。

電場が跳ぶ

表面で から へ。面に電荷が張り付いているため

電位は跳ばない

で両側の値が一致する。跳ぶには無限の電場が要るため

外側は同じ形

金属球でも一様帯電球でも、 では点電荷と区別が付かない

球の内部の電位を とする。電場が なだけで、電位は表面と同じ値です。
外側の式に球の半径を入れて、内部の電場を出す。
金属球に一様帯電球の内部の式を当てる。
2 つの球をつないだとき、電荷が等分されると考える。
表面の電場を とする。 です。

半径 の金属球が に帯電しています。中心から の点の電位はどれですか。

__RESULT__

導体の内部は電場が なので、どこへ動かしても仕事が要りません。電位は表面と同じ のままです。 は外側の の値にあたります。

内と外で式を分け、表面でつながるかを確かめる。この 2 段構えにしておけば、球でも円筒でも同じ手順で進みます。

出典

Richard Fitzpatrick. *Electric Field of a Spherical Conducting Shell*. Electromagnetism and Optics, The University of Texas at Austin.
Andreas Wipf. *Elektrodynamik*, Kapitel 2: Einführung in die Elektrostatik. Theoretisch-Physikalisches Institut, Universität Jena.
Conductors in Electrostatic Equilibrium. University Physics Volume 2, OpenStax.
半径 $0.10\ \mathrm{m}$ の金属球に $2.0 \times 10^{-8}\ \mathrm{C}$ を与えると、表面も中心も $1800\ \mathrm{V}$。電場のほうは中が $0$ で、表面のすぐ外で $1.8 \times 10^{4}\ \mathrm{V/m}$ に跳ねます。同じ場所で電場は飛び、電位は折れるだけ。電荷が中まで詰まった絶縁体球なら内部の様子が変わり、中心の電位が表面の $1.5$ 倍になる。外から測るかぎり両者は区別が付きません。2 つの球を導線でつなぐと電荷は半径の比で分かれ、表面の電場は逆に半径へ反比例する。避雷針が尖っている理由もここから出ます。