磁場の中の荷電粒子の円運動〜半径と周期をわかりやすく解説
の電子を、 の磁場に垂直に打ち込みます。半径 の円を描きます。
1 周にかかる時間は 。速さを 2 倍にしても、半分にしても、この は動きません。
半径は速さで変わるのに、周期は変わらない。この食い違いが、粒子加速器の設計を支えています。
力がいつも中心を向く
磁場から受ける力は、速度にも磁場にも垂直です。速度に垂直な力は仕事をしないので、速さが変わりません[1]。
大きさが一定で、向きだけがつねに軌道の内側を向く。等速円運動の条件そのものです。
左辺が磁場から受ける力、右辺が円運動に要る向心力。等しいと置きます。
磁気力を向心力とみなす
を 1 つ約分して半径を出す
円周を速さで割って周期を出す
半径の式
両辺を で割って整理します。
速さに比例し、磁場に反比例する。質量が大きい粒子ほど曲がりにくく、電荷が大きいほど曲がりやすくなります。
分子の は運動量です。同じ運動量なら、粒子の種類によらず同じ半径になる。
周期は速さによらない
円周を速さで割れば、1 周の時間が出ます。
が約分で消えました[1]。速い粒子は大きな円を、遅い粒子は小さな円を描きますが、1 周にかかる時間は同じです。
逆数をとった をサイクロトロン振動数といいます。
速い粒子ほど 長い道のりを速く走る ので、時間が打ち消し合います。
半径が に比例するので円周も に比例する。それを で割れば が消える。
例:電子の半径と周期
、、、 とします[2]。
。手のひらに乗る大きさです。
振動数に直すと 、つまり 。ラジオの電波と同じ桁です。
例:陽子に入れかえる
同じ速さ、同じ磁場で陽子を打ち込みます。質量が 倍なので、半径もそのまま 倍。
になりました。周期も 倍の 、振動数は まで下がります。
| 粒子 | 半径 | 周期 | 振動数 |
|---|---|---|---|
| 電子 | |||
| 陽子 |
例:磁場を変える
磁場を 倍の にします。半径も周期も、どちらも半分になる。
半径だけを小さくしたい場面では、磁場を強くします。ただし周期も一緒に短くなるので、加速の周波数も上げなければなりません。
半径だけが変わる。周期と振動数は動かない
半径も周期も変わる。どちらも磁場に反比例する
加速電圧から直接出す
多くの問題では、速さではなく加速電圧が与えられます。 から を出し、半径の式へ入れる。
で加速した電子を に入れる場合を計算します。
。この式には比電荷 しか入らないので、半径を測れば比電荷が求まります。
例:磁場の領域を通り抜ける
幅 の帯状の磁場に、電子を垂直に打ち込みます。領域の中だけが円弧になり、出たあとは直線です。
曲がった角度は、幾何だけで決まります。半径 の円弧が幅 の帯を横切るとき、次の関係が成り立つ。
、 を入れます。
出口での横方向のずれも出ます。。
が より大きいと が を超えてしまいます。そのときは通り抜けられず、領域の中で半円を描いて戻ってくる。
例:半円を描いて戻る
境界から垂直に入った粒子が引き返す場合、出てくる位置は入った位置から 離れた点になります。
半円をちょうど描くので、かかる時間は周期の半分です。
電子なら 。速さがいくつでも同じ値で、入射した速さを知らなくても時間だけは決まります。
出てくる向きは、入った向きの正反対。境界に沿った距離 を測れば、そこから半径が読めて、速さも出ます。
らせんになる場合の図
磁場と斜めに入った粒子は、円運動と等速直線運動を重ねた動きになります。

の角度で入った場合、垂直成分は 、平行成分は 。
半径は垂直成分だけで決まるので、真横から入った場合の半分になります。ピッチのほうは平行成分と周期の積です。
磁場と斜めに入るとき
速度が磁場と直角でない場合は、成分に分けます[1]。
磁場に垂直な成分は円運動を作り、平行な成分はそのまま進み続ける。合わせるとらせんになります。
らせんの 1 巻きぶんの進み方をピッチといい、平行成分に周期を掛けた値です。
周期が速さによらないので、ピッチは平行成分だけで決まります。
検算のしかた
半径の式の分子が運動量になっているかを見ます。 が 、分母の が で、割ると になるはずです。
周期の式に が残っていないかも確かめます。残っていれば約分を忘れています。
桁の見当も立ちます。電子を 程度の磁場に入れれば半径は の桁。陽子なら の桁になります。
速さ の陽子が磁場 の中で半径 の円を描いています。速さを にすると、半径と周期はどうなりますか。
- 半径は 、周期は変わらない
- 半径は 、周期は 倍
- 半径は変わらず、周期は 倍
磁気力を向心力と等しいと置き、 を 1 つ約分する。それだけで半径が出て、周期からは が消えます。
















r=qBmv なので半径は速さに比例し、3r になります。周期は T=qB2πm で速さを含まないため、変わりません。円周が 3 倍になっても速さが 3 倍なので、1 周の時間が同じになります。