電池から引き出せる最大電力〜外部抵抗と内部抵抗をそろえる
起電力 、内部抵抗 の電池に、外部抵抗をつなぎます。 をつないだとき、消費電力が で最大になります。
に下げても に上げても 。抵抗を小さくすれば電流は増えますが、電圧が落ちて差し引きで損をします。
最大になるのは、外部抵抗が内部抵抗と等しくなったときです[1]。相加相乗平均の関係から出てきます。
外部抵抗の関数として書く
内部抵抗 を含めた回路の電流は、起電力を全抵抗で割った値です[2]。
外部抵抗が消費する電力は なので、次の形になります。
が小さいと分子が小さく、 が大きいと分母が効いてくる。どこかに山があるはずです。
電力を外部抵抗だけの関数として書く
分母を で割って、和の形に直す
相加相乗平均で和の最小を出す
分母を分解する
分子と分母を で割ります。
を最大にするには、分母を最小にすればよい。 は定数なので、動くのは の部分だけです。
正の 2 数の和なので、相加相乗平均の関係が使えます。
等号が成り立つのは 、つまり のとき。分母の最小値は になります。
例:12 V と 2 Ω
数値を入れます。
このときの電流は 、端子電圧は 。掛けて で合っています。
端子電圧が起電力のちょうど半分になっている点も、 の目印です。
山の左右は対称ではない
を横軸にとると、山は左右非対称に見えます。ただし別の見方をすると対称になる。
分母の は、 と を入れかえても変わりません。積が になる 2 つの抵抗は、同じ電力を与えます。
なら、 と が組。どちらでも です。
| 外部抵抗 | 電流 | 電力 |
|---|---|---|
と も積が の組です。表の上下が同じ値になっているのは偶然ではありません。
最大でも効率は半分
電池が出している全電力は で、そのうち外部が受けとるのは 。残りは内部抵抗で熱になります。
効率を比で書きます。
を入れると 。最大の電力を引き出しているとき、同じだけの電力が電池の中で捨てられています。
最大電力の条件は、効率が最大になる条件ではありません。
効率は を大きくするほど へ近づく。ただし電力そのものは下がっていく。何を優先するかで答えが変わる。
例:効率を優先する場合
にすると、効率は \dfrac{18}{20} = 90\ \mathrm{%} まで上がります。
そのときの電力は次のとおり。
の 3 分の 1 ほどに落ちました。送電線のように損失を嫌う場面では、この形をとります。
逆に、電池の容量よりも瞬間の出力が要る場面では に近づける。スピーカーやアンテナの整合がその例です[1]。
にそろえる。効率は 50\ \mathrm{%} で、電池の中でも同じだけ熱になる
を よりずっと大きくする。効率は上がるが、引き出せる電力は減る
例:内部抵抗を測る
外部抵抗を変えながら電力を測り、山の頂点を探します。頂点の位置がそのまま内部抵抗です。
の電池で頂点が にあったなら、。頂点の高さからも確かめられます。
2 通りの読み方が一致すれば、測定が正しかったと分かる。
微分でも同じ答えになる
相加相乗平均を使わずに、 を で微分しても出せます[1]。
分子が になるのは 。 では正、 では負なので、そこが山の頂点だと分かります。
高校の範囲では相加相乗平均のほうが速い。ただし、なぜ等号で最大になるかを確かめたいときは微分が確実です。
両端では電力が 0 になる
山の形を確かめるなら、両端を見ると早い。
は短絡です。電流は と最大になりますが、外部の電圧が なので消費電力も 。すべて電池の中で熱になります。
は開放です。端子電圧は起電力そのままの になりますが、電流が なので電力も 。
両端で 、途中に山が 1 つ。この形が見えていれば、頂点を探す問題だと気づけます。

例:電池を増やす
同じ電池を 2 個直列にすると、起電力も内部抵抗も 2 倍。、 です。
並列にした場合は、起電力が のままで内部抵抗が半分の 。
どちらも でした。電池が 2 個あれば引き出せる電力は 2 倍で、つなぎ方は関係ありません。
変わるのは、そろえるべき外部抵抗のほうです。直列なら 、並列なら 。手元の負荷に近いほうを選びます。
例:抵抗を足して整合させると
の負荷しかない場面で、 にそろえたくなります。並列に を足せば、合成は です。
全体の消費電力は まで上がります。ところが、その内訳を見ると話が変わる。
端子電圧は なので、 の負荷が受けとるのは 。残りの は、足した抵抗が熱にしています。
抵抗を足さずに だけをつないだ場合はどうか。
のほうが多い。抵抗を足して整合させても、負荷そのものが受けとる電力は減ります。
整合が効くのは、負荷側の抵抗を作り変えられる場合だけです。あとから抵抗を並べても、そこで捨てるぶんが増えるだけになる。
検算のしかた
を代入したときに、端子電圧が起電力の半分になるかを見ます。ならなければ、内部抵抗の置き方が違う。
積が になる 2 つの抵抗で電力が一致するかも確かめられます。 なら と 、 と が組です。
最大値の式も覚えておくと早い。 で、外部抵抗の値は入りません。
起電力 、内部抵抗 の電池から引き出せる最大の電力はどれですか。
電力を外部抵抗だけの式にして、分母の和に相加相乗平均を当てる。この 2 手で、山の位置も高さも一度に出ます。
















Pmax=4rE2=1236=3 W です。このとき外部抵抗は 3 Ω、電流は 1 A、端子電圧は 3 V になります。12 W は内部抵抗を無視して短絡した場合の値にあたります。