いろは3023070 views
ヒストリア294325 views
小学社会311406 views
高校倫理1443814 views
高校化学2931803 views
小学理科721461 views
高校物理162097 views
Computer369751 views
中学理科1633222 views
中学英語813308 views
Help
Tools

English

電位差計による起電力の測定(電圧計では測れない理由)

電池の起電力を電圧計で測ると、いつも本当の値より低く出ます。計器に電流が流れ、そのぶん内部抵抗で電圧が落ちるためです。

電位差計は、電流を にしたまま測ります。既知の起電力 の電池で平衡点が 、未知の電池で なら、答えは 。

割り算 1 回で出ます。目盛りの精度も、電源の安定も要りません。

電圧計が測っているもの

内部抵抗 の電池に電流 が流れているとき、端子に現れる電圧は起電力より小さくなります[1]。

電圧計をつなぐと、その計器自身にも電流が流れます。 が でないかぎり、読めるのは ではありません。

内部抵抗の小さい乾電池なら差はわずか。ところが、内部抵抗が大きい電源では無視できなくなります[2]。

電圧計で測る

計器に電流が流れる。読みは で、必ず起電力より低い

電位差計で測る

電流が の点を探す。 の項が消えて、読みがそのまま起電力になる

電流を 0 にする仕組み

長い抵抗線に、別の電源から一定の電流を流しておきます。線に沿って電位がなだらかに下がっていく。

測りたい電池を、線の一端と滑り接点のあいだにつなぎます。あいだには検流計を入れる。

接点を動かすと、線の一部が作る電位差が変わります。それが電池の起電力とちょうど等しくなったところで、検流計の振れが になる[3]。

抵抗線に一定の電流を流しておく

測る電池を検流計ごしにつなぐ

検流計が振れない接点の位置を探す

比べるだけでよい

抵抗線が一様なら、線の一部が作る電位差は長さに比例します。既知の電池と未知の電池で、それぞれ平衡点を探す。

作業電源が線に流している電流の値も、線の抵抗率も、この式には出てきません[3]。2 回の測定のあいだに変わらなければ、消えてしまいます。

例:60.0 cm で平衡

既知の起電力を 、その平衡点を とします。未知の電池は で平衡しました。

長さの比だけで答えが出ました。ものさしの読みが まで正しければ、起電力も 0.2\ \mathrm{%} の精度で決まります。

例:内部抵抗も測れる

同じ装置で、内部抵抗まで出せます。手順は 2 段です。

まず電池だけをつないで起電力を測ります。 でした。

次に電池に の外部抵抗をつなぎ、その両端の電圧を電位差計で測ります。 と出たとします。

流れている電流は 。 から内部抵抗が出ます。

内部抵抗を測るには、電流が流れている状態と流れていない状態 の両方が要ります。

起電力は電流 のとき、端子電圧は電流が流れているとき。差を電流で割れば が出る。

電圧計だとどれだけずれるか

内部抵抗 の電源を、内部抵抗 の電圧計で測ります。読みは分圧の形になる[2]。

乾電池のように が 程度で、電圧計が なら、ずれは の桁。無視できます。

問題になるのは、内部抵抗の大きい電源です。 の電源を の電圧計で測ると、次のようになる。

1\ \mathrm{%} 低く出ました。電位差計ならこのずれが です。

測る相手電圧計のずれ電位差計
乾電池 ほぼ ずれなし
の電源1\ \mathrm{%} 低いずれなし
の電源9\ \mathrm{%} 低いずれなし

検算のしかた

平衡点の長さの比が、起電力の比と一致するかを見ます。起電力の大きい電池ほど、平衡点は遠くなるはず。

作業電源の電圧も確かめておきます。線の全長が作る電位差が測る起電力より小さいと、平衡点が線の外に出てしまい、どこへ動かしても検流計が振れたままになります。

内部抵抗を出したときは、 に戻して端子電圧が再現するかを見る。 で合いました。

平衡点の長さの比を、起電力の比の逆にとる。
作業電源の電圧を答えに使う。式から消えています。
検流計の内部抵抗が答えに効くと考える。平衡していれば効きません。
起電力と端子電圧を同じものとして扱う。
内部抵抗を測るときに、電流を流さない側の測定だけで済ませる。

既知の起電力 の電池で平衡点が 、未知の電池で でした。未知の起電力はどれですか。

__RESULT__

です。 は比を逆にとった値、 は長さの差を足した場合の値になります。

検流計が止まる点を探し、長さの比を掛ける。電流を流さないという 1 点だけで、内部抵抗の影響が式から消えます。

参考

Richard Fitzpatrick. *Emf and Internal Resistance*. Electromagnetism and Optics, The University of Texas at Austin.
Electrical Measuring Instruments. University Physics Volume 2, OpenStax.
Null Measurements. College Physics 2e, OpenStax.
電池の起電力を電圧計で測ると必ず低く出ます。計器に電流が流れ、$V = E - Ir$ の $Ir$ だけ落ちるためです。電位差計は検流計が振れない点を探すので、電流が $0$ のまま読める。既知の $1.50\ \mathrm{V}$ が $50.0\ \mathrm{cm}$、未知の電池が $60.0\ \mathrm{cm}$ で平衡したなら $1.80\ \mathrm{V}$。作業電源の電圧も抵抗線の材質も、長さの比をとった時点で式から消えます。外部抵抗をつないだ端子電圧をもう一度測れば内部抵抗まで出ること、内部抵抗の大きい電源では電圧計が $9\ \mathrm{%}$ ずれることまで。