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English

電気ポットの「1000 W」が意味するのは 1 秒あたりのジュール数

の電熱器で、 の水を から沸騰まで温めます。かかる時間は 分です。

熱がまったく逃げない場合の値なので、実際はもう少しかかります。 割が水に入るとすれば 分。

電気の側で計算した仕事と、熱の側で計算した必要量を等しいと置く。この 1 本の等式が問題の骨組みになります。

電気が出す熱

抵抗に電流が流れると、電気エネルギーが熱に変わります[1]。1 秒あたりの量が電力です。

3 つの式はどれも同じ値を返します。与えられている量に合わせて選ぶ。

時間を掛ければ、その間に出た熱の総量になります[3]

水が受けとる熱

温度を だけ上げるのに要る熱は、質量と比熱で決まります[2]

水の比熱は [2]。ほかの物質と比べてかなり大きく、温まりにくく冷めにくい性質のもとになっています。

電気の側で を書く

熱の側で を書く

等しいと置いて、聞かれている量を解く

例:1 リットルを沸かす

の水を から まで上げます。 です。

は 1 秒あたり を出すので、必要な時間は割り算で出ます。

分でした。 割しか水に入らないとすれば で、 分になります。

例:電熱線の抵抗を出す

の電熱器なら、抵抗は次の式で決まります[1]

流れる電流は 。家庭の回路のほぼ上限にあたる大きさです。

電熱器の表示にある「 - 」は、電圧と電力の組 です。

につないだときに になる、という意味。変わらないのは抵抗のほうで、電圧が下がれば電力も下がる。

例:電圧が下がるとどうなるか

同じ電熱器を につなぎます。抵抗は のままです。

電圧が 割下がっただけで、電力は 割近く落ちました。2 乗で効くためです。

沸かす時間は 倍になります。 分が 分。

例:2 本つなぐと発熱が変わる

の電熱線を 2 本用意し、 につなぎます。

直列なら合成抵抗は 。全体の電力は です。

並列なら で、

つなぎ方合成抵抗全体の電力
1 本だけ
2 本を直列
2 本を並列

同じ電熱線を 2 本使っても、つなぎ方で 倍の差が出ます。電圧が固定されている場面では、抵抗が小さいほど発熱が増える。

例:電熱線を半分に切る

の電熱線を半分に切ると、抵抗は につなげば になります。

短くしたのに発熱が増える。同じ電圧をより短い距離に掛けるので、電場が強くなって電流が増えるためです。

切った電熱線は、そのぶん早く焼き切れます。定格を超えて使うと寿命が縮む理由がここにあります。

かかる時間は電力に反比例

同じ湯を沸かすなら、必要な熱の量は決まっています。あとは 1 秒あたりどれだけ入れるかだけ。

分母に があるので、電力を 2 倍にすれば時間は半分。単純な反比例です。

の電熱器なら 分、 なら 分。時間だけを比べると差が大きく見えますが、使う電力量はどれも同じ です。

急いで沸かしても、ゆっくり沸かしても、電気代は変わらない。変わるのは熱が逃げる量のほうで、時間が長いほど損が増えます。

例:電流から出す

電圧が分からず、電流と抵抗だけが与えられる場合もあります。

流したときの熱を出します[1]

さきほどと同じ値になりました。 でも でも でも、同じ状況なら同じ答えが出ます。

直列につないだ複数の抵抗を比べるときは が便利です。電流が共通なので、抵抗の大きいものほど熱くなると即座に分かる。

並列なら を使います。電圧が共通なので、こんどは抵抗の小さいものほど熱くなります。

例:比熱を実験で測る

式を逆に使えば、比熱そのものを測れます[3]

水に浸したヒーターに電圧 を掛け、電流 を時間 だけ流します。与えた仕事は

上がった温度を測れば、比熱が出ます。ただし容器も一緒に温まるので、そのぶんを引く必要がある。

容器の熱容量 は、別の実験で先に求めておきます。温度の違う水を混ぜて、落ち着く温度から逆算する方法が使われます[3]

単位の換算

家庭の電気料金では、 ではなくキロワット時を使います[1]

回沸かすのに要る は、 にあたります。

円だとすれば、 回あたり 円。 分使ったぶんです。

ジュール

物理の計算で使う単位。 続けたぶん

キロワット時

料金で使う単位。 時間続けたぶんで、 倍にあたる

検算のしかた

電気の側と熱の側で、単位がそろっているかを見ます。どちらも になるはず。

比熱の値の桁も確かめます。水は で、 上げるのに なら 秒かかる計算です。

実験で比熱そのものを測るときは、容器が受けとる熱も足します[3] の形になり、 が容器の熱容量です。

質量を のまま、比熱の の式に入れる。
温度差を絶対温度に直そうとする。差なので摂氏のままで合います。
電力と電力量を混ぜる。 は 1 秒あたり、 は総量です。
電圧が変わっても電力が変わらないと考える。抵抗のほうが変わりません。
電熱線を短くすると発熱が減ると考える。

の電熱器で の水を から まで温めます。熱が逃げないとすると、かかる時間はどれですか。

__RESULT__

で、 です。 上げる場合の値になります。

電気で出した熱と、水が受けとる熱を等号でつなぐ。あとは聞かれている文字について解くだけです。

参考

Electrical Energy and Power. University Physics Volume 2, OpenStax.
Temperature Change and Heat Capacity. College Physics 2e, OpenStax.
*Versuch 21: Spezifische Wärme von Wasser*. Praktikum für Nebenfächler, Karlsruher Institut für Technologie.
$1000\ \mathrm{W}$ で $1.0\ \mathrm{kg}$ の水を $20\ ^\circ\mathrm{C}$ から沸かすと $5.6$ 分。熱の $8$ 割しか入らないとすれば $7.0$ 分になります。電気の側の $Q = VIt$ と、熱の側の $Q = mc\Delta T$ を等号でつなぐだけ。水の比熱 $4186\ \mathrm{J/(kg \cdot K)}$ が大きいので、温度の上がり方はゆっくりです。$100\ \mathrm{V}$ で $1000\ \mathrm{W}$ の電熱線は $10\ \Omega$、それを半分に切ると発熱が $2$ 倍になる。$2$ 本を直列にするか並列にするかで $4$ 倍の差が出ることや、キロワット時への換算まで。