抵抗率と導線の形|引き伸ばすと抵抗が 2 乗で増える理由
直径 、長さ の銅線の抵抗は です。これを引き伸ばして にすると、 になります。
長さが 2 倍だから抵抗も 2 倍、とはなりません。伸ばしたぶん細くなるので、断面積が半分になる。掛け合わせて 4 倍です。
長さと断面積は、抵抗の式の分子と分母に別々に入っています。同時に動く場面では、両方の効き方を掛け合わせます。
長さと断面積で決まる
一様な導線の抵抗は、次の式で決まります[1]。
は抵抗率で、材料だけで決まる量。単位は です。
長い道ほど通りにくく、太い道ほど通りやすい。水が管を流れるときの抵抗と同じ形をしています。
材料から抵抗率を引く
長さを断面積で割る
掛け合わせて抵抗を出す
例:銅線 1 m
直径 の断面積を出します。半径は です。
銅の抵抗率は [1]。
です。回路の抵抗が数十 ある場面なら、導線のぶんは無視できます。
引き伸ばすと 2 乗で効く
金属を引き伸ばしても、体積は変わりません。長さと断面積の積が一定に保たれる。
長さを 倍にすれば、断面積は 倍。抵抗は次のように変わります。
倍に伸ばせば 倍、 倍なら 倍。長さだけを見て 倍と答えると外します。
例:3 倍に伸ばす
の銅線を まで引き伸ばします。
直径のほうも見ておきます。断面積が になるので、直径は 倍の 。
長さ、太さ、抵抗。3 つの変わり方をそろえて確かめると、計算の間違いが見つかります。
体積を固定した式
引き伸ばしの問題は、体積 を使って書き直すと 1 本の式になります。
同じ量の金属を使うかぎり、抵抗は長さの 2 乗に比例する。断面積を消してしまえば、変数が 1 つで済みます。
体積が変わらない場合にかぎり、抵抗は長さの 2 乗 に比例します。
金属を切って短くした場合は違う。体積も減るので、抵抗は長さに比例するだけ。
太さだけを変える場合
長さを変えずに直径だけを 2 倍にすると、断面積は 倍。抵抗は になります。
直径の 2 乗で効くので、わずかな太さの違いが大きく響く。屋内配線で太さを 1 段上げると、損失がはっきり減ります。
| 変える量 | 抵抗の変わり方 | 倍率の例 |
|---|---|---|
| 長さだけ 2 倍 | 2 倍 | |
| 直径だけ 2 倍 | 倍 | |
| 引き伸ばして 2 倍 | 4 倍 |
材料で決まる抵抗率
金属どうしを比べると、値は同じ桁に収まります[1]。
| 銀 | |
| 銅 | |
| 金 | |
| アルミニウム |
銀が最も低いのに銅が使われるのは、値段の差が大きいからです。アルミニウムは銅より抵抗率が高いものの軽いので、送電線では有利になります。
例:延長コードの電圧降下
の延長コードを使います。行きと帰りで ぶんの銅線を電流が通る。
直径 なら断面積は です。
を流すと、電圧降下は 。失われる電力は次のとおり[2]。
コードが温かくなる理由です。細いコードで大きな電流を流すと、この値が跳ね上がります。
例:アルミで銅と同じ抵抗にする
アルミニウムの抵抗率は銅の 倍です[1]。
同じ長さで同じ抵抗にするには、断面積を 倍にすればよい。直径なら 倍です。
銅線が直径 なら、アルミ線は 。太くはなりますが、送電線のように長さが桁違いの場面では、材料の重さのほうが効いてきます。
直径の効き方をグラフで見る
長さを固定して直径だけを動かすと、抵抗は直径の 2 乗に反比例します。

の線は の線の 4 倍の抵抗を持ちます。細い側では、わずかな差が大きく効く。
導電率という裏返しの量
抵抗率の逆数を導電率といいます[1]。
通りにくさで書くか、通りやすさで書くかの違いだけです。銅の導電率は ほど。
材料を比べるときは導電率のほうが直感に合う場面もあります。値が大きいほど電気を通す、という向きになるためです。
温度でも変わる
銅の温度係数は 。 で の線が になるとどうなるか。
3 割ほど増えました。半導体は逆で、温度が上がると抵抗が下がります[3]。
検算のしかた
単位で確かめます。 の単位が 、 が 、 が なので、割り算の結果は になるはず。
倍率の問題では、長さと断面積の変わり方を別々に書き出します。それぞれの倍率を掛け合わせれば、抵抗の倍率が出ます。
桁の見当も立ちます。金属の抵抗率は の桁。 単位の長さと 単位の断面積なら、答えは の前後に落ち着きます。
長さ 、抵抗 の導線を、引き伸ばして長さを にします。抵抗はどうなりますか。
長さと断面積を別々に追い、最後に掛け合わせる。引き伸ばしでも切断でも、この手順は変わりません。
















体積が変わらないので、断面積は 41 になります。長さが 4 倍で断面積が 41 倍なので、抵抗は 4×4=16 倍です。4R は長さだけを見た場合の答えになります。