糸で吊るした帯電球と力のつり合い〜張力を消す解き方
質量 の小球を糸で吊るし、 の電荷を与えます。水平な一様電場に入れると、糸が鉛直から 傾きました。
この角度だけで電場の強さが決まります。 です。
糸の張力は分かっていません。それでも答えが出るのは、 をとると張力が消えるためです。
つり合う 3 つの力
小球に働く力は 3 つ。下向きの重力、水平の静電気力、糸に沿った張力です。
静止しているので、3 つのベクトルを足すと になります。首尾をつないで並べれば、三角形が閉じる。
静電気力は です[1]。電場の向きが水平なら、力も水平になります。

三角形の直角をはさむ 2 辺が と です。その比が傾きの になります。
張力は斜辺なので、この式には出てきません。未知数が 1 つ減る。
重力と静電気力を直角の 2 辺に置く
をとって張力を消す
残った 1 つの未知数を解く
例:45 度から電場を出す
なので です。
張力も出せます。直角三角形の斜辺なので、次のとおり。
より大きくなりました。横から押されるぶん、糸はよけいに張ります。
角度の伸び方は一定ではありません。 は を超えると急に立ち上がるので、そこから先は角度が動きにくくなります。
| 角度 | の値 | 必要な力の比 |
|---|---|---|
| 重力の 倍 | ||
| 重力と同じ | ||
| 重力の 倍 |
まで開かせるには重力の 倍の力が要ります。 にするには無限の力が必要で、糸は水平になりません。
例:2 つの球が反発して開く
同じ点から長さ の糸を 2 本垂らし、質量 の小球を吊るします。両方に同じ電荷を与えると、鉛直から ずつ開きました。
この配置でも力の三角形は同じ形です。違うのは、横向きの力が相手の球から来ることと、その大きさが距離に依存すること[2]。
2 球の間隔は、糸の長さと角度から出ます。
つり合いの式から、働いている力が分かります。
あとはクーロンの法則を逆に解くだけ。
角度と長さと質量だけを測って、電荷の大きさが出ました。クーロン自身の測定も、ねじり秤で同じ関係を使っています[3]。
間隔は電荷の 3 分の 2 乗
角度が小さいときは、 と をほぼ同じとみなせます。 なので、つり合いの式は次の形になる。
について整理します。
間隔は電荷の 乗でしか伸びません。電荷を 2 倍にしても、開きは 倍ほど。
が 両辺に現れる ので、この式は比例では解けません。
左辺の分母にも右辺の分子にも が入っている。まとめて 3 乗の形にしてから初めて解ける。
例:電荷が漏れて減ると
湿った日には、球の電荷が空気中へ逃げていきます。開いた角がゆっくり閉じていく。
電荷が まで減ったとします。間隔は 倍。
開いていたものが まで閉じます。電荷の減り方より、見た目の変化はゆるやか。
横向きの力が場所によらず一定。角度は 1 回の で決まる
横向きの力が間隔で変わる。角度と間隔が互いを決めるので 3 乗の式になる
検算のしかた
電場を に戻したとき、式が を返すかを見ます。 に を入れれば で、糸は鉛直に戻る。
張力の値も手がかりになります。 は必ず 以上。これより小さい答えが出たら、どこかで成分を落としています。
質量の単位もよく見ます。 のまま を掛けると、力が 倍ずれる。
と のとり違えは、角度が小さいと数値がほぼ同じになるので見つけにくい。 で試すと差がはっきりします。
質量 の帯電した小球を糸で吊るし、水平な電場に入れると鉛直から 傾きました。糸の張力はどれですか。
張力を消すか、張力を求めるか。前者なら 、後者なら を使う。この使い分けだけで、糸で吊るす問題はほぼ片づきます。
















鉛直方向のつり合いから Tcos60∘=mg で、T=mg/cos60∘=2mg です。1.96×10−2 は mg そのもの、3.4×10−2 は mgtan60∘ にあたる静電気力の値になります。