K=Q(−6) の類数を求めてください。
−6≡2(mod4) なので OK=Z[−6]、dK=−24 です[3]。虚二次体の限界は π2∣dK∣ なので π224≈3.119[1]。
どの類もこの値以下のノルムを持つイデアルで代表されるので、ノルム 3 以下の素イデアルだけを調べれば足ります[2]。2 と 3 はどちらも 24 を割るので分岐し、(2)=p22、(3)=p32 となります。ここで p2=(2,−6)、p3=(3,−6)。
単項かどうかを見ます。p2 が単項なら a2+6b2=2 を満たす整数が要りますが、b=0 で a2=2、∣b∣≥1 で左辺が 6 以上。解はありません。p3 も a2+6b2=3 が解けないので単項でない。
関係式を拾います。N(−6)=6=2⋅3 なので (−6)=p2p3 で、[p2][p3]=1。
p22=(2) から [p2]2=1 なので、[p3]=[p2]−1=[p2] です。類群は [p2] が生成する位数 2 の巡回群、hK=2。
Q(−23) で位数 3 を出す
dK=−23、限界は π223≈3.053 です。ノルム 3 以下を調べます。
−23≡1(mod8) なので 2 は完全分解し、−23≡1(mod3) で 1 が平方剰余なので 3 も完全分解します。(2)=p2pˉ2、(3)=p3pˉ3。
整数環は Z[21+−23] なので、ノルムは N(2a+b−23)=4a2+23b2 です。a と b の偶奇はそろえます。
p2 が単項なら a2+23b2=8。b=0 で a2=8、∣b∣≥1 で 23 以上。解なしで単項ではありません。p3 も a2+23b2=12 が解けないので同じ。
ここで手を止めず、p2 のべきを追います。
p22 はノルム 4 です。a2+23b2=16 の解は a=±4、b=0 で、対応する元は 2。ところが (2)=p2pˉ2 であって p22 ではないので、p22 は単項ではありません。
p23 はノルム 8。a2+23b2=32 に a=3、b=1 という解があり、α=23+−23 のノルムが 8 です。
α が 2 で割れるかを確かめます。2α=43+−23 はトレースが 23 で整数にならないので、割れません。だから (α) は片方の素イデアルだけの 3 乗、つまり p23 です。
[p2] の位数は 3 に決まりました。p3 も同じ類群に入ります。ω=21+−23 のノルムは 41+23=6 なので (ω)=p2p3、つまり [p3]=[p2]−1。
類群は位数 3 の巡回群で hK=3 です。
Q(−21) では巡回群にならない
−21≡3(mod4) なので OK=Z[−21]、dK=−84。限界は π284≈5.835 です。
ノルム 5 以下の素イデアルを並べます。2 と 3 は 84 を割るので分岐し、5 は −21≡4(mod5) が平方剰余なので完全分解します。
| p2=(2,1+−21) | p22=(2)、ノルム 2 |
| p3=(3,−21) | p32=(3)、ノルム 3 |
| p5=(5,2+−21) | p5pˉ5=(5)、ノルム 5 |
a2+21b2 は 2 にも 3 にも 5 にもなりません。b=0 なら平方数、∣b∣≥1 なら 21 以上だからです。3 つとも単項ではない。
関係式を探します。N(3+−21)=9+21=30=2⋅3⋅5 なので、(3+−21)=p2p3p5 です。よって [p5]=[p2][p3]。
[p2] と [p3] はどちらも位数 2。積が単位元になるかを見ます。[p2][p3]=1 なら p2p3 が単項で、ノルム 6 の元が要ります。a2+21b2=6 に解はないので、単位元ではありません。
したがって類群は位数 2 の元 2 つで生成され、Z/2Z×Z/2Z になります。hK=4 で、巡回群ではない。
類数が 4 でも、群が Z/4Z か Z/2Z×Z/2Z かは位数を数えるだけでは決まりません。
どの元も 2 乗して単位元になるかを、1 つずつ確かめる必要がある。
実二次体では単数が邪魔になる
K=Q(10) の類数を求めてください。10≡2(mod4) なので OK=Z[10]、dK=40。
実二次体の限界は 21∣dK∣ なので 240≈3.162[1]。ノルム 3 以下を調べます。
2 は 40 を割るので分岐し、(2)=p22、p2=(2,10)。3 は 10≡1(mod3) が平方剰余なので完全分解します。
単項性の判定でひと工夫が要ります。a2−10b2=±2 は左辺が負にもなるので、大きさで絞れません。
そこで 5 を法として見ます。a2≡±2(mod5) が要りますが、5 を法とする平方数は 0,1,4 の 3 つ。2 も 3 も入らないので解なしです。p2 は単項ではありません。
p3 も同じで、a2−10b2=±3 は 5 を法として 3 か 2 を要求するので解けません。
関係式は N(2+10)=4−10=−6=−2⋅3 から拾えます。(2+10)=p2p3 なので [p3]=[p2]−1=[p2]。
類群は [p2] が生成する位数 2 の群で、hK=2 です。
限界が 2 を切れば即決
限界が 2 より小さいと、調べるべき素イデアルが 1 つもありません。その場で類数 1 が確定します[1]。
虚二次体では π2∣dK∣<2 すなわち ∣dK∣<π2≈9.87、実二次体では ∣dK∣<16 が条件です[1]。
| K | dK | 限界 | | Q(−3) | −3 | 1.103 |
| Q(i) | −4 | 1.273 |
| Q(−7) | −7 | 1.684 |
| Q(−2) | −8 | 1.801 |
| Q(5) | 5 | 1.118 |
| Q(2) | 8 | 1.414 |
| Q(3) | 12 | 1.732 |
| Q(13) | 13 | 1.803 |
この 8 つはどれも類数 1 です[1]。ほかにも類数 1 の体はありますが、限界が 2 以上になるので個別の議論が要ります[1]。
Q(−6) で p2=(2,−6) が単項でないと示すには、何を確かめますか。
- p22=(2) であること
- a2+6b2=2 に整数解がないこと
- 2 が判別式 −24 を割ること
__RESULT__
p2 のノルムは 2 なので、単項なら生成元のノルムの絶対値が 2 になります。a2+6b2=2 に解がないので、そんな元は存在しません。p22=(2) は位数が 2 の約数だと言うだけで、単項性の判定にはなりません。
限界を出す、その下の素イデアルを並べる、単項性を判定する、関係式を拾う。4 手のうち最後だけが探し物で、そこはノルムが限界より少し大きい元を試すと見つかります。
参考
$\mathbb{Q}(\sqrt{-6})$ は限界 $3.119$ でノルム $3$ 以下の $2$ つを調べ、$N(\sqrt{-6}) = 6$ から関係式を拾って $h_K = 2$。$\mathbb{Q}(\sqrt{-23})$ では $\mathfrak{p}_2$ のべきを追い、$a^2+23b^2 = 32$ に $a = 3, b = 1$ が見つかる 3 乗ではじめて単項に戻るので $h_K = 3$。$\mathbb{Q}(\sqrt{-21})$ は位数 $2$ の元が 2 つ出て $\mathbb{Z}/2 \times \mathbb{Z}/2$、実二次体 $\mathbb{Q}(\sqrt{10})$ は $5$ を法として矛盾を出します。限界が $2$ を切って即決できる 8 例つき。解答は各問のすぐ後に置いています。
p2 のノルムは 2 なので、単項なら生成元のノルムの絶対値が 2 になります。a2+6b2=2 に解がないので、そんな元は存在しません。p22=(2) は位数が 2 の約数だと言うだけで、単項性の判定にはなりません。