Z[7] の基本単数を求めてください。
総当たりでも出ます。a2−7b2=±1 に b=1,2,3 を順に入れると、b=3 で a2=64、つまり a=8 が見つかる。ε=8+37 です。
b が小さいうちに当たったので楽でした。d が変わると b が 10 桁まで伸びることもあります。順に試す代わりに、d の連分数を回します。
7 の連分数を作る
整数部分を抜き出しては逆数をとる、をくり返します。
7=2.6458… なので整数部分は 2。残り 0.6458 の逆数は 7−21=37+2=1.5486 で、整数部分は 1。
同じ操作を続けると 1.8229、1.2153、4.6458 と並び、整数部分は 1、1、4。ここで 4=2a0 になり、以降は同じ並びがくり返されます。
7=[2;1,1,1,4]
2 次の無理数の連分数は必ず途中から周期的になります。オイラーとラグランジュの定理です[3]。
収束分数を並べて値を見る
途中で打ち切った分数を収束分数と呼びます。pn=anpn−1+pn−2、qn=anqn−1+qn−2 で順に作れます。
| qp | p2−7q2 | 判定 | | 12 | −3 | まだ |
| 13 | +2 | まだ |
| 25 | −3 | まだ |
| 38 | +1 | 当たり |
| 1437 | −3 | 2 周目 |
| 1745 | +2 | 2 周目 |
38 で +1 が出ました。周期の 1 手前がちょうどこの位置です。答えは ε=8+37 で、ノルムは +1。
x2−7y2=−1 には解がありません。表の値に −1 が一度も現れないのがその印です。
周期の長さでノルムが決まる
d の連分数の周期が奇数なら x2−dy2=−1 が解け、偶数なら解けません。
| d | d の周期 | 基本単数のノルム | | 2 | 1(奇) | −1 |
| 3 | 2(偶) | +1 |
| 7 | 4(偶) | +1 |
| 10 | 1(奇) | −1 |
| 13 | 5(奇) | −1 |
| 61 | 11(奇) | −1 |
2=[1;2] は周期 1。最初の収束分数 11 で 1−2=−1 となり、ε=1+2 です。
10=[3;6] も周期 1 で、13 から 9−10=−1。ε=3+10 になります。
3=[1;1,2] は周期 2。収束分数は 11 で −2、12 で +1。ε=2+3 でノルムは +1 です。
d≡1(mod4) では手順が変わる
d=13 で基本単数を求めてください。
13≡1(mod4) なので整数環は Z[21+13]。分母 2 が許されるぶん、単数の候補が増えます。
解くべき式は x2−13y2=±4 で、x と y の偶奇をそろえます。y=1 とすると x2=13±4、つまり 17 か 9。x=3 が当たりです。
ε=23+13 で、ノルムは 49−13=−1。値は約 3.303 です。
13 の連分数から入ると別のものが出ます。収束分数を進めると 518 で 324−325=−1 となり、18+513≈36.03。これは ε3 です[2]。
d の連分数が拾うのは分母 2 を許さない範囲の単数だけです。
d≡1(mod4) では真の基本単数の 1 乗か 3 乗が出る。±4 を直接解くほうが速い。
d=5 でも同じことが起きます。5=[2;4] の最初の収束分数 12 から 4−5=−1、つまり 2+5。ところが x2−5y2=−4 には x=y=1 という解があり、ε=21+5 です。2+5=ε3 になります。
べきを並べると解が全部出る
基本単数が決まれば、あとはべきを並べるだけです。ノルムが +1 のべきがペル方程式 x2−dy2=1 の解になります。
ε=8+37 を 2 乗すると 64+487+63=127+487。実際 1272−7⋅482=16129−16128=1 です。
3 乗は 2024+7657 で、20242−7⋅7652=4096576−4096575=1。ペル方程式の解が無限に並びます[1]。
d=61 で何が起きるか
d=61 の基本単数を求めてください。
61≡1(mod4) なので x2−61y2=±4 を解きます。y を 1 から順に上げると、y=5 で 61⋅25−4=1521=392 が当たる。
ε=239+561 で、ノルムは 41521−1525=−1。値は約 39.03 です。
ここまでは軽い計算です。ところがノルムが −1 なので、x2−61y2=1 を解くには 2 乗が要ります。その最小解は x=1766319049、y=226153980。
d が 61 という小さい数なのに、解が 10 桁になる。±4 で止めておけば y=5 で済んだところが、±1 にこだわると y が 9 桁まで伸びます。
| d=60 は平方因子つき | 60=215 なので d=15 に直す |
| d=62 | ε=63+862、ノルム +1 |
| d=61 | ε=239+561、ノルム −1 |
| d=63 は平方因子つき | 63=37 なので d=7 に直す |
隣り合う d でも基本単数の大きさに規則がありません[2]。62 では 2 桁で収まり、61 ではペル方程式の解が 10 桁になります。
x2−7y2=−1 に整数解はありますか。
- ある。y を大きくすれば見つかる
- ない。7 の連分数の周期が偶数だから
- ない。7 が素数だから
__RESULT__
7=[2;1,1,1,4] で周期は 4、偶数です。周期が偶数のときは基本単数のノルムが +1 になり、すべての単数のノルムが +1。x2−7y2=−1 は解けません。周期が奇数の 2、10、13、61 では解けます。
連分数を回す、収束分数の値を見る、4 で割った余りで ±1 か ±4 を選ぶ。この 3 点さえ守れば、基本単数は手で出せます。
参考
$\sqrt{7} = [2; \overline{1,1,1,4}]$ の収束分数で $p^2 - 7q^2$ を並べると $-3, +2, -3, +1$ とくり返し、$\frac{8}{3}$ で当たって $\varepsilon = 8 + 3\sqrt{7}$。周期が偶数なので $x^2 - 7y^2 = -1$ は解けません。$d \equiv 1 \pmod 4$ では話が変わり、$d = 13$ は $x^2 - 13y^2 = \pm 4$ から $\frac{3+\sqrt{13}}{2}$、$\sqrt{13}$ の連分数が出す $18 + 5\sqrt{13}$ はその 3 乗です。$d = 61$ で $\varepsilon$ は 2 桁なのに、$x^2 - 61y^2 = 1$ の最小解が 10 桁になる話まで。解答は各問のすぐ後に置いています。
7=[2;1,1,1,4] で周期は 4、偶数です。周期が偶数のときは基本単数のノルムが +1 になり、すべての単数のノルムが +1。x2−7y2=−1 は解けません。周期が奇数の 2、10、13、61 では解けます。