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行列を書けばノルムもトレースも機械的に出る(3 次体まで手で計算する)

のノルム、トレース、最小多項式を求めてください。

を掛ける写像を行列にします。基底は 。

なので 列目は 。 なので 列目は 。

対角の和が 、行列式が 。トレースが 、ノルムが です[1]。

最小多項式は特性多項式から読めます。。 なので、これがそのまま最小多項式です[1]。

検算します。共役 との和が 、積が 。行列から出した値と一致します。

列の作り方を言葉にすると

手順は つだけです。基底の各元に を掛け、結果を基底で書き直して係数を縦に並べる[2]。

行と列をとり違えると転置行列になります。行列式は変わりませんが、トレースも変わらないので実害は出ません。それでも手順を固定しておくほうが安全です。

次体で同じことをする

で ()のノルムとトレースを求めてください。

基底は です。 を使って書き直します。

、、。

対角の和は 。行列式は です。

答えは 、。

別の道でも確かめられます。 に を入れると 、展開して 。 の係数が なのでトレースが 、定数項が なので です[1]。

は の係数の符号を変えたもの
は定数項に符号を掛けたもの
どちらも基底のとり方によらない相似変換で不変だから

単数かどうかを行列式で見る

で が単数かを判定してください。

が右上に来ます。

行列式は 。 で は可逆なので、 は単数です[2]。

判定はいつもこの形です。 が で可逆であることと、 が で可逆であることが同値になる[2]。 なら が条件です。

逆元も行列から出ます。行列式が なので、逆行列は余因子だけで書けます。

列目が なので、逆元は です。

次数が下がると特性多項式が重なる

で を求めてください。

と答えたくなります。 の最小多項式が で、定数項が だからです。

ところが で、 が生成するのは次数 の部分体だけ。特性多項式は最小多項式の 乗になります[1]。

定数項が で次数が偶数なので 。トレースは の係数が なので です。

一般には 、 になります[1]。 が全体の次数、 が の次数です。

共役の和と積で書くときも、各共役を 回ずつ数える必要があります[1]。

の共役は の つだが、 次体では 回ずつ現れて合計 個になる。

トレース形式から判別式を出す

の判別式を求めてください。

を基底 で行列にします[2][3]。成分は です。

、、、、。

行列式は 。 の判別式 と一致します。

なので、 で分岐するのは と だけです[3]。

で のノルムはいくつですか。

__RESULT__

有理数 を掛ける写像の行列は です。行列式は 、対角の和は になります。 なので 、 です。 という答えは 次体のつもりで計算したものになります。

基底の像を書き直して列に並べる。この 手で、ノルムもトレースも最小多項式も単数の判定も、行列の計算に落ちます。

出典

Keith Conrad, *Trace and norm*, University of Connecticut
B Edixhoven, L Moret-Bailly, *Théorie algébrique des nombres*, Université de Rennes 1
Discriminant - Encyclopedia of Mathematics
$3 + 2\sqrt{-6}$ を掛ける写像を基底 $\{1, \sqrt{-6}\}$ で行列にすると、対角の和が $6$、行列式が $33$ と出ます。$\mathbb{Q}(\sqrt[3]{2})$ で $1 + \theta$ なら $3$ 次の行列になり、トレースもノルムも $3$。$8 + 3\sqrt{7}$ は行列式が $1$ なので単数で、逆行列の 1 列目から $8 - 3\sqrt{7}$ が読めます。$\mathbb{Q}(\sqrt{2},\sqrt{3})$ で $N(\sqrt{2})$ が $-2$ でなく $4$ になるわけ、トレース形式の行列式から判別式 $-108$ を出すところまで。解答は各問のすぐ後に置いています。