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対称群の共役類と既約表現|巡回型・分割・Young 図形とフック長

の 2 つの置換が共役かどうかは、巡回型だけで決まります。巡回型とは、交わらない巡回に分けたときの長さを大きい順に並べたもの。

これは の分割そのものなので、共役類と分割が一対一に対応する。同じ対応が既約表現にもあり、そこから Young 図形が出てきます。

共役かどうかは巡回型だけで決まる

共役をとる操作は、番号の付けかえです。

巡回の中身が入れかわるだけで、長さは変わらない。逆に巡回型が同じなら、番号を対応させる をとれば移り合う。

だから共役類と巡回型がぴたり重なる。

例:巡回型が同じなら移り合う

で と を見ます。どちらも巡回型 で、5 文字すべてを動かす。

を 、、、、 と定めると、前者が後者に移ります。

固定点も長さ 1 の巡回として数える約束。 の中で を見れば、巡回型は になる。

共役類の個数は分割数

を大きい順の正の整数の和に分ける方法を、 の分割といいます。その個数が分割数 。

共役類の個数はこの に一致する。 から順に 、、、、、、 と増えていきます。

例:S4 の 5 つの共役類

分割代表元類の大きさ
6
8
3
6
1

の共役類は の分割 5 つに対応する。大きさを足すと になる。

共役類の大きさの公式

長さ の巡回が 個ある型について、類の大きさは次の式で出ます。

分母は中心化群の位数。 が巡回をどの番号から書き始めてもよいぶん、 が同じ長さの巡回どうしを並べかえてもよいぶんです。

型なら になる。

Young 図形と標準盤

分割 に対して、 行目に 個のマスを左詰めで並べた図形を Young 図形といいます。行の長さが、下へ行くほど増えない形。

Young 図形

分割から作る、マスを左詰めで並べた図形。行の長さは下へ行くほど増えない。

標準盤

から までを 1 つずつ入れ、行も列も増えるように並べたもの。

フック長

そのマスの右にあるマスと下にあるマスの個数に、自分の分の を足した数。

標準盤の個数が、そのまま既約表現の次元になる。数えにくいので、次の節の公式を使います。

フック長で次元が出る

すべてのマスのフック長を掛け、 を割ると次元が出ます。

これがフック長の公式。1954 年に Frame、Robinson、Thrall が見つけた式です。

の 5 つを計算すると、次元は 、、、、 になる。2 乗して足すと で、群の位数と一致する。

例:S5 の次元を計算する

をとります。1 行目のフック長が 、、、2 行目が 、3 行目が 。

掛けると で、 になる。実際に標準盤を書き出しても、ちょうど 6 通りです。

の分割 に対応する既約表現の次元はいくつですか。

  • 3
  • 5
  • 6
  • 10
__RESULT__

フック長は 、、、、 で、掛けると です。 を で割って になります。

の 7 つの次元は 、、、、、、 で、2 乗の和は になる。

既約表現は分割と一対一

有限群では、複素既約表現の個数が共役類の個数に一致します。 ではどちらも 個。

しかもこの対応は数の一致にとどまらず、分割から表現を直接組み立てられる。

共役類

巡回型で決まる。 では 5 つ

既約表現

分割で決まる。 では 5 つで、次元は 、、、、

Young 図形の標準盤を基底にして作ったこの表現を、Specht 加群といいます。

自明表現と符号表現

分割 は自明表現に対応します。1 行のマスだけの図形で、すべての置換を に写す。

分割 は符号表現。1 列のマスだけの図形で、 を に写す。

どちらもフック長が 、、、 と並ぶので、積が になって次元は 。

標準表現

は に置換行列として作用します。座標をすべて足す写像の核が 次元の部分空間で、そこが既約になる。

これが標準表現で、分割 に対応する。置換行列の表現そのものは、自明表現と標準表現の直和に分かれる。

指標は数え上げで出ます。動かない番号の個数から を引けば、その値になる。

例:S4 の指標表

には 5 つの既約表現があり、次元は 、、、、 です。

の列は次元そのもの。標準表現の行は、動かない番号の個数から を引くと出ます。

は 2 個動かさないので 、 は 0 個なので になる。 の行は、この行に符号を掛けたものです。

指標表の直交性

異なる既約表現の行どうしは、類の大きさで重みを付けると直交します。同じ行どうしの内積は、群の位数になる。

指標表の行どうしが 直交 するので、1 行でも書き間違えるとすぐ分かります。検算の道具として使える。

類の大きさを重みにして掛け合わせ、和が になること。

の自明表現と符号表現で試すと、 でたしかに直交する。

分割数の増え方

は とともに速く増えます。、、 は 万を超える。

だから の既約表現も、 が少し大きくなるだけで一気に増えていく。

それでも 1 つ 1 つの次元がフック長で書けるところが、対称群の表現論の強みです。

よくある誤り

固定点を落として巡回型を書くと、分割になりません。 の は 型です。
共役類の個数が に比例する、とは言えません。分割数 で、 ですでに 個です。
既約表現の次元が分割の長さで決まる、とは言えません。フック長の積で決まります。
標準表現が置換行列の表現そのもの、とは言えません。自明表現を除いた 次元の部分です。
分割 と を同じ表現と思うと外します。次元は同じでも、符号を掛けた別の表現です。
指標がいつでも整数になるのは、対称群に限った話です。ほかの群では複素数が出ます。
指標表の行を足すと位数になる、とは言えません。位数になるのは、類の大きさで重みを付けた自分自身との内積です。

参考文献

Jeremy Booher, Representations of the symmetric group via Young tableaux(フロリダ大学)
Representation theory of the symmetric group - Wikipedia
Hook length formula - Wikipedia
Young-Tableau - Wikipedia(ドイツ語)
Tableau de Young - Wikipédia(フランス語)
Sn の 2 つの置換が共役かどうかは巡回型だけで決まり、巡回型は n の分割そのものです。だから共役類の個数は分割数 p(n) になり、S4 では 5 つ。同じ 5 つが既約表現の個数でもあり、Young 図形のフック長を掛けて 24 を割ると次元 1、3、2、3、1 が出ます。