4 次対称群 S4 とは|巡回型による分類・符号・交代群と立方体の回転
は の並べかえ全体がなす群で、位数は です。どの置換も、交わらない巡回の積に一通りに分かれる。
その巡回の長さを並べたものが巡回型で、 の元はこれで 5 つに分かれます。
巡回記法の読み方
は、 を へ、 を へ、 を へ送る置換です。書かれていない は動かない。
なら、 と を入れかえ、同時に と を入れかえる。交わらない巡回どうしは、順番を変えても同じ結果になる。
同じ置換に書き方が何通りかある。 と と は、どれも同じものです。

巡回型で 5 つに分かれる
を正の整数の和に分ける方法が、そのまま巡回型になる。、、、、 の 5 通りです。
恒等置換は にあたる。動かない番号も、長さ 1 の巡回として数に入れる約束です。
固定点を落として数えると型がずれるので、 の中では を 型として扱う。
例:個数を公式で数える
長さ の巡回が 個ある型について、その型に属する置換の個数は次の式で出ます。
分母の は、各巡回をどの番号から書き始めてもよいぶん。 は、同じ長さの巡回どうしを入れかえてもよいぶんである。
| 巡回型 | 個数 | 符号 |
|---|---|---|
| 1 | 偶 | |
| 6 | 奇 | |
| 3 | 偶 | |
| 8 | 偶 | |
| 6 | 奇 |
合計すると で、 に一致する。
例:4 次巡回が 6 通りになる理由
公式を使わずに数えても、同じ答えになります。 文字を一列に並べる方法は 通り。
ところが と は同じ置換なので、書き始めの 4 通りぶんを割る。 で、たしかに 6 通りです。
3 次巡回も同じ要領で出る。 文字から 文字を選ぶ 通りに、書き方 通りを掛けて 通りになる。
符号で偶と奇に分かれる
置換を互換の積に書いたとき、必要な互換の個数の偶奇は書き方によらない。これを符号といい、偶なら 、奇なら とします。
長さ の巡回は 個の互換の積になる。固定点まで数えた巡回の個数を とすると、符号はこの形にまとまります。
なら、恒等置換と二重互換と 3 次巡回が偶、互換と 4 次巡回が奇。長さ 4 の巡回は互換 3 個の積なので、名前に反して奇置換です。
どの置換も 互換 の積に書けますが、その書き方は一通りではありません。決まるのは個数の偶奇だけで、そこから符号が定まる。
2 つの番号だけを入れかえる置換のこと。
交代群 A4
符号は から への準同型です。その核が交代群 になる。
偶の型は 、、 で、個数を足すと になる。全体のちょうど半分で、指数は 2 になる。
指数 2 の部分群はいつでも正規なので、 は の正規部分群。
クラインの四元群 V は正規
二重互換 3 つに単位元を足した集合を と書きます。
位数は 4 で、どの元も 2 乗すると単位元になる。巡回群ではなく、 と同型です。
は 型の共役類を丸ごと含み、単位元も入っているので の正規部分群になる。 の正規部分群は 、、、 の 4 つだけです。
正規部分群は と と の 3 つだけになる
これに加えて位数 4 の が正規部分群になり、商が になる
S4 から S3 への全射
で割った商を見ます。位数は で、非可換なので と同型になる。
具体的な作用も書けます。 を 2 つずつに分ける方法は 、、 の 3 通りで、 はこの 3 つを置換する。
この作用の核がちょうど になる。 が 5 以上の には、こうして小さい対称群へ落ちる道がない。
元の位数の分布
巡回型が決まると、位数も決まります。位数は巡回の長さの最小公倍数になる。
恒等置換が位数 1、互換と二重互換が位数 2、3 次巡回が位数 3、4 次巡回が位数 4。個数で言えば 、、、 個です。
位数 6 の元はない。 をどう分割しても、最小公倍数が になる形は作れないからです。
S4 の部分群は 30 個
部分群を全部数えると 30 個あります。共役で移り合うものをまとめると、11 種類になる。
位数 2 が 9 個、位数 3 が 4 個。どれも巡回群で、正規にはならない。
巡回群 が 3 個、クラインの四元群と同型なものが 4 個。そのうち正規なのは の 1 個だけである。
と同型なものが 4 個、 と同型なものが 3 個。 が Sylow の 2 部分群にあたる。
自明な部分群と と が 1 個ずつ。ここまで足すと 30 個になる。
位数 3 の 4 個が Sylow の 3 部分群です。Sylow の定理が言う個数の条件を、実際に満たしている。
A4 には位数 6 の部分群がない
Lagrange の定理は、部分群の位数が全体の位数を割るとしか言いません。逆は成り立たない。
は位数 12 で、 は の約数。それでも位数 6 の部分群はありません。
指数 2 の部分群 があるとすると、どの でも になる。 のとき剰余類は と の 2 つで、 とすると に戻ってしまうからです。
ところが 3 次巡回はどれも平方になっている。位数が 3 なので と書けるためです。
すると が 8 個の 3 次巡回を全部含むことになり、位数 6 には収まらない。Lagrange の定理の逆が破れる、いちばん小さい例です。
立方体の回転群として見る
立方体には、向かい合う頂点を結ぶ対角線が 4 本あります。回転はこの 4 本を並べかえる。
回転は全部で 24 通りで、対角線の置換も 24 通り。この対応が同型になり、立方体の回転群は と同型です。

軸の種類が、そのまま巡回型に対応する。面の中心を通る軸の 90 度回転が 4 次巡回で 6 個、その 180 度回転が二重互換で 3 個です。
頂点を通る軸の 120 度と 240 度が 3 次巡回で 8 個、辺の中点を通る軸の 180 度回転が互換で 6 個になる。置換の側で数えた と、ぴたり合う。
共役類は巡回型そのもの
共役をとると番号が付けかわるだけなので、巡回型は変わりません。逆に同じ型なら、番号の対応を選べば移り合う。
だから共役類と巡回型が一対一に対応する。 の共役類は 5 個で、大きさは 、、、、。
の中に、位数 6 の元はいくつありますか。
- 1 個
- 4 個
- 1 個もない
- 6 個
正規部分群が共役類の合併になることを使うと、、、、 の 4 つしかないことも数え上げで確かめられる。










置換の位数は、巡回の長さの最小公倍数です。4 をどう分割しても最小公倍数が 6 になる形はないので、位数 6 の元は存在しません。