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変換 w = βz + γ はなにを表しているか?

は、回転と拡大と平行移動を 1 本にまとめた式です。 とします。

の絶対値が倍率、偏角が回転角。 が最後のずらしにあたります[1]。

3 つの動きが 1 回の掛け算と 1 回のたし算に収まる。この形を見たら、まず を極形式で見ます。

を分解して読む

と書けば、 は を原点まわりに 回して 倍する動きです[2]。

長さがすべて 倍、角度はどこでも変わらない。図形は相似のまま写ります[3]。

そのあと を足して位置を直す。順番は回してから足すので、入れかえると別の変換になります。

倍率
回転角
最後にずらす量

形は変わらず、大きさと向きと位置だけが動きます。角度が保たれるので、直角は直角のまま写る。

例:

です。絶対値は 、偏角は 。

原点まわりに 回して 倍し、そのあと だけずらす動きになります。

を入れると 。 なら です。

中心はどこにあるか

のとき、この変換にも動かない点が 1 つだけあります[1]。

を解けば出ます。

この を使うと、式が中心つきの形に書き直せる[2]。

中心から見た矢印が 倍になるだけ、という読み方になります。平行移動の成分が消えて、動きが 1 つにまとまる。

中心が 1 つに決まるのは、 が 1 次方程式だからです。

なら解はただ 1 つ。 では方程式が壊れ、中心が消える。

例:中心を求める

の中心を出します。 なので 。

です。代入して確かめると となり、確かに動きません。

倍率は 、回転角は 。 を中心に 回して 倍する変換になります。

は平行移動

を入れると になり、回転も拡大も起きません。

このとき なので、中心の式が使えない。 なら動かない点は 1 つもありません。

平行移動だけが、中心を持たない例外になります。ほかの ではかならず中心が 1 つ残る。

例: が実数のとき

が正の実数なら回転角が で、拡大か縮小だけになります[3]。

なら中心は 。 を中心に 倍へ広げる動きです。

が負の実数なら偏角が なので、中心に関して反対側へ移ってから伸びます[3]。 はちょうど中心対称。

例: のとき

絶対値が なら倍率が で、長さが変わりません。回転そのものになります[4]。

なら中心は 。 を中心とする の回転です。

例:三角形が写る先

で三角形 、、 を写します。中心は原点です。

、、 になります。

辺の長さがすべて 倍。もとの直角がそのまま直角で残ります。

例:2 つの変換を続ける

のあとに を当てます。

まとめると で、同じ形に戻る。倍率は掛け算、回転角は足し算になります[1]。

倍と 倍を続ければ 倍、 と を続ければ です。中心は 2 つのどちらとも違う点へ移ります。

例:逆の変換

を について解くと、 です。

を掛ける形なので、倍率が逆数、回転角が符号反転になります。中心は同じ場所に残る。

なら、逆は 。倍率 、回転 の変換です。

はどんな変換ですか。

  • を中心とする 倍の点対称な拡大
  • を中心とする 倍の拡大
  • を中心とする の回転
__RESULT__

中心は です。 は絶対値 、偏角 なので、 を中心に反対側へ移してから 倍します。 は の値、 は の値で、どちらも中心ではありません。

よくあるミス

を中心だと考える。中心は です。
でも中心を求めようとする。分母が になり、平行移動には中心がありません。
倍率を そのものとする。倍率は絶対値 です。
回転角を の実部から読む。角は偏角なので、極形式に直します。
が負の実数のとき、回転が起きないと考える。 の回転が入ります。

の極形式を見れば倍率と角が出て、 を計算すれば中心が出る。1 次式のままでは見えないものが、この 2 手で全部そろいます。

出典

Similitude (géométrie) - Wikipédia
Drehstreckung - Wikipedia
Homothety - Wikipedia
Rotation (mathematics) - Wikipedia
$\beta$ の絶対値が倍率、偏角が回転角、$\gamma$ が最後のずらし。1 次式に見えて、中身は回転と拡大と平行移動の三つ重ねです。$\beta \neq 1$ なら動かない点が $\dfrac{\gamma}{1-\beta}$ にただ 1 つあり、そこを中心にとると $w-c = \beta(z-c)$ という短い形へ書き直せます。$\beta$ が正の実数なら拡大だけ、負なら中心の反対側へ移ってから伸び、絶対値が $1$ なら回転だけ。$\beta=1$ の平行移動だけが中心を持ちません。2 つの変換をつなぐと倍率は掛け算、角は足し算になる。