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単位円の内と外がひっくり返る - 反転変換 w = 1/z

は、絶対値を逆数にして偏角の符号を変える対応です。

、。単位円の内側にあった点は外へ、外にあった点は内へ移ります。

2 つの動きが重なっている

を 2 段に分けて読みます。まず を作り、そのあと共役をとる形です。

は偏角がそのままで、原点からの距離だけが逆数になります。単位円に関する反転と呼ばれる動きです[1]。

反転では、原点からの距離の積が半径の 乗になります。単位円なら という関係です[1]。

そのあと共役をとると、実軸で折り返されます。 はこの 2 つを続けた対応になっている。

偏角はそのままで距離を逆数にする

できた点を実軸で折り返す

合わせて 1 割る z になる

例:具体的な点で見る

なら です。実軸の上なので折り返しは効きません。

なら 。距離が半分になり、実軸をまたいで下へ移りました。

では なので 。 で、偏角が から に変わります。

円と直線が入れかわる

では、円が円か直線に写ります[1]。分かれ目は、もとの円が原点を通るかどうか。

原点を通る円は直線になります。原点は で無限に遠くへ飛ぶので、閉じた曲線でいられなくなる。

原点を通らない円は円のまま。原点を通る直線は自分自身に写り、原点を通らない直線は原点を通る円になります。

「円と直線をあわせて 1 つの仲間」と見ると、 はその仲間を仲間に写す対応だと言えます[3]。

例:原点を通る円

を考えます。両辺を 乗して開くと です。

を代入し、 を掛けます。

、つまり実部が の直線になりました。円が直線に化けています。

は へ、 は へ移ります。どちらも実部が です。

例:原点を通らない円

なら です。同じように代入して を掛けます。

を入れると 。両辺を で割って平方完成します。

中心 、半径 の円です。 は へ、 は へ移り、どちらも新しい円の上に乗ります。

例:単位円は動かない

なら です。像も単位円の上に乗ります。

このとき なので、点は実軸で折り返された位置へ移ります。円全体としては同じ場所に残る[1]。

動かない点は をみたす点、つまり と の 2 つです。

例: の像

になります。半径 の円が半径 の円へ縮む。

中心はどちらも原点です。原点を中心とする円は、原点を中心とする円に写ります。

半径 と半径 が入れかわるので、 だけが自分と組になる。単位円が境目になっている理由です。

原点を通る円直線に写る
原点を通らない円円に写る
単位円自分自身に写る
像がない

の円は でどこへ写りますか。

  • の円
  • の円
  • 実部が の直線
__RESULT__

絶対値が逆数になるので です。原点を中心とする円なので、原点を通らず、直線にはなりません。直線へ化けるのは原点を通る円だけです。

検算のしかた

もとの点と像で、原点からの距離を掛けます。 になっていれば反転の部分は合っています[1]。

偏角のほうは符号だけを見ます。 が上半分にあれば像は下半分に来るはずです。

像が円になったときは、もとの円が原点を通っていないかを確かめる。通っているのに円が出たなら、代入のどこかで項を落としています。

は距離をひっくり返し、実軸で折り返す。この 2 段に分けておけば、円が直線に化ける場面も驚かずに追えます。

参考

Inversion. Wolfram MathWorld.
Evan Chen. *Bashing Geometry with Complex Numbers*. 2015.
Fractional-linear mapping. Encyclopedia of Mathematics.
$\dfrac{1}{z} = \dfrac{\bar{z}}{|z|^2}$ なので、絶対値が逆数になり偏角の符号が変わります。単位円に関する反転と、実軸の折り返しを続けた動き。原点からの距離の積はつねに $1$ で、内側の点は外へ、外側の点は内へ移ります。円は円か直線に写り、分かれ目はもとの円が原点を通るかどうか。$|z-1|=1$ は原点を通るので実部 $\frac{1}{2}$ の直線に化け、$|z-2|=1$ は中心 $\frac{2}{3}$ 半径 $\frac{1}{3}$ の円のまま残ります。単位円だけが自分自身へ写る境目になる。