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オイラーの公式(指数関数が円を回りだす)

指数関数に虚数を入れると、値は円の上を回りだします。

オイラーの公式です。左辺は指数関数、右辺は三角関数。まったく別の場所で育った 2 つが、虚数を挟んだだけで同じものになります。

なので、 を動かしたときの は単位円の上だけを動く。 は円周に沿って進んだ長さそのものです。

濃い横棒が実部の 、縦棒が虚部の 。円上の点を実軸と虚軸へ落とした影が、そのまま三角関数の値になります。

級数を突き合わせる

公式が出てくる筋道はいくつかありますが、いちばん見通しがよいのは級数です。 の展開に を入れる。

の累乗は を繰り返すので、実数の項と の付く項が交互に並びます。実数だけを集めると

となり、 の付く項を集めると の級数が出る。この 2 つを足し戻したものがオイラーの公式です[3]。

項を継ぐたびに、折れ線が渦を巻きながら灰色の目標点へ寄っていきます。目標は に対応する単位円上の点。 項ほどで見た目には重なります。

指数法則が加法定理になる

オイラーの公式のありがたみは、指数法則がそのまま使えるところです。

左辺は 、右辺は 。展開して実部と虚部を比べると、加法定理が 本まとめて出ます[3]。

覚えにくい符号の並びが、指数の足し算 本に化ける。三角関数の公式を指数の言葉へ翻訳する、という見方です。

累乗はド・モアブルになる

乗も同じです。指数法則から

で、これを三角関数に戻せば 。ド・モアブルの定理は、指数法則の言いかえだったことになります。

極形式が短くなる

絶対値 、偏角 の複素数は と書きますが、公式を使えば の 文字で済みます。

絶対値は掛け、偏角は足す。この規則が式の形にそのまま現れる。 の 乗根も と一列で書けます[3]。

θ を π まで動かす

を入れると、, なので 。移項すれば有名な形になります。

点は円の上半分をたどって に着き、そこへ を足すと原点に落ちます。, , , , が 本の式に並ぶ形。別々に定義された定数どうしが、こうして結びつきます。

微分でも同じ景色になる

を で微分すると 、つまりもとの値に を掛けたものです。 を掛けることは 度の回転なので、速度がつねに位置と直角を向く。

円運動そのものの言いかえです。実部と虚部を比べれば , も同時に出ます[3]。

だれが先に書いたか

対数の形でこの関係に触れたのはロジャー・コーツで、1714 年の論文 Logometria に が現れます[1]。

指数の形にまとめ、解析の体系へ組み込んだのがオイラーです。1748 年の Introductio in analysin infinitorum で を与えました[2]。複素数を平面の点として描く見方が広まるのは、さらにあとになります。

参考文献

O'Connor J J, Robertson E F. Roger Cotes. MacTutor History of Mathematics Archive, University of St Andrews.
O'Connor J J, Robertson E F. Leonhard Euler. MacTutor History of Mathematics Archive, University of St Andrews.
Deiser O. Einführung in die Mathematik 1.2 — Anwendungen der Eulerschen Formel. aleph1.
指数関数に虚数を入れると値は単位円の上を動きます。級数を突き合わせれば実部が cos、虚部が sin。指数法則はそのまま加法定理になり、n 乗はド・モアブルの定理に、極形式は re^{iθ} の 4 文字に縮みます。θ を π まで運ぶと e^{iπ} + 1 = 0。コーツが 1714 年に対数の形で触れ、オイラーが 1748 年に指数の形へまとめました。