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1 次分数変換で円はどこへ写るか|メビウス変換の基本

1 次分数変換は、分子も分母も 1 次式にした対応である。

メビウス変換とも呼ばれる[1]。円と直線をまとめて円と直線へ写す。

条件が外れると変換にならない

のとき、分子と分母が比例する。 と書ける形になる。

すると で、どの も同じ点へ落ちる。写像としてつぶれてしまう。

は「つぶれない」という条件である。行列式と同じ形をしているのは偶然ではない。

3 つの動きに分かれる

とする。分子を分母で割る形に整理する。

内側から読むと、平行移動して定数倍し、逆数をとり、また定数倍して平行移動する形になっている。

つまり 1 次分数変換は、平行移動と回転拡大と の 3 つを組み合わせたものである[1]。新しい動きは入っていない。

なら で、回転拡大と平行移動だけになる。

平行移動して定数倍する

逆数をとる

また定数倍して平行移動する

例:分解してみる

をとる。 で条件をみたす。

を引き、逆数をとり、 倍して を足す。4 段の手順に落ちた。

なら 、 なら である。もとの式に入れても同じ値になる。

円と直線をまとめて写す

平行移動も回転拡大も、円を円に、直線を直線に写す。 だけが円と直線を入れかえる。

3 つを組み合わせた 1 次分数変換も、円と直線をあわせた仲間の中で閉じる[1]。

直線を「無限に遠い点を通る円」と見ると、区別せずに「円は円に写る」と言える。無限遠点を 1 つ足した平面で考える置き方である[1]。

角度も保たれる。分母が になる点を除けば微分が にならないので、等角写像になっている[3]。

例:単位円がどこへ行くか

で単位円を写す。特徴のある 4 点を入れる。

では 、 では 、 では である。 では分母が になり、無限に遠くへ飛ぶ。

、、、無限遠を通る円は虚軸である。単位円は虚軸へ写った。

を入れても、 で虚軸の上に来る。判定どおりである。

例:内側と外側

は へ移る。原点は単位円の内側なので、内側は虚軸の左半分へ行くと分かる。

は で、外側は右半分へ移る。境界の円が直線になり、内と外が 2 つの半平面に分かれた。

円の内部を半平面に写す。この使い方は、領域の問題で扱いやすい形へ持ち込むときに効く。

複比は変わらない

1 次分数変換をかけても、4 点の複比は同じ値のままである[2]。

複比が実数であることは 4 点が同一円周上か一直線という条件だった。変換で複比が動かないなら、その性質も動かない。

円が円に写ることの別の言い方になっている。保たれる量を 1 つ見つけると、保たれる性質がまとめて出てくる。

例:3 点を決めると変換が 1 つに決まる

異なる 3 点の行き先を指定すると、1 次分数変換はただ 1 つに決まる。

、、 となる変換を作る。 で分母が になるので、分母は の定数倍である。

で になるから分子は の定数倍。 と置いて を入れる。

なので、 から である。

3 点の行き先だけで係数が決まった。 を計算すると で、条件もみたしている。

形
条件
分解平行移動、回転拡大、逆数
写るもの円と直線をあわせた仲間
保たれる量複比、角度
決まり方異なる 3 点の行き先で 1 つ

は 1 次分数変換になるか。

  • なる。 で ではない
  • ならない。分母に があるため
  • ならない。 になるため
__RESULT__

である。 ではないので変換になる。分母に が入るのはこの形の特徴で、除外される理由にはならない。

平行移動と回転拡大と逆数。この 3 つを組み合わせただけの対応が、円と直線をまとめて扱う枠を作っている。

出典

Fractional-linear mapping. Encyclopedia of Mathematics.
Cross Ratio. Wolfram MathWorld.
Conformal Mapping. Wolfram MathWorld.
$w = \dfrac{\alpha z+\beta}{\gamma z+\delta}$ に $\alpha\delta-\beta\gamma \neq 0$ を付けるのは、これが $0$ だと分子と分母が比例して定数写像につぶれるためです。分子を分母で割ると、平行移動と回転拡大と $\frac{1}{z}$ の 3 つに分かれる。新しい動きは入っていません。円と直線をあわせた仲間の中で閉じ、複比と角度が保たれます。$w=\frac{z+1}{z-1}$ では単位円が虚軸へ写り、内側が左半平面に落ちる。異なる 3 点の行き先を決めると変換がただ 1 つに定まります。