z^n の極限と収束条件 - 複素数の累乗が描く螺旋
複素数を何度も掛けると、点は回りながら中心へ寄るか、外へ逃げるかのどちらかになります。実数の等比数列が一直線に並ぶのに対して、こちらは渦を巻く。
を 乗すると、絶対値と偏角がそれぞれ別に動きます。
絶対値は で等比数列、偏角は で等差数列。原点からの距離が一定の割合で変わり、向きが一定の角度ずつ進むので、軌跡は対数螺旋になります。
の例です。 回掛けるごとに原点までの距離が 倍になり、向きは一定角ずつ進む。同じ形を保ったまま縮んでいくので、渦の巻き方はどこも相似です。
行き先は絶対値だけで決まる
が近づく先を決めるのは ひとつです。偏角は回り方を変えるだけで、遠いか近いかには関わりません。
実数の等比数列で が収束条件だったのと、そっくり同じ形です。複素数になっても、判定に使うのは絶対値だけ。
つの点が同じ角速度で回り、半径だけが違う運命をたどります。内へ巻く線、円をなぞる線、外へ開く線。分かれ目はちょうど です。
円の上に居続ける場合
のときの動きは、偏角 の性質で変わります。 が の有理数倍なら、有限回で出発点に戻る。
なら なので、 個の点をぐるぐる回るだけです。いっぽう が の無理数倍だと二度と同じ点に戻らず、円周を埋めるように点が散らばります。
どちらの場合も は か所に落ち着かないので、極限は存在しません。
足し合わせると別の螺旋になる
そのものより、足した のほうが試験ではよく出ます。 なら無限等比級数として収束する。
部分和を順に打つと、こちらも渦を巻きながら 点へ寄っていきます。
折れ線の 本 本が で、長さが 倍ずつ縮みながら向きを変えていきます。継いだ先が丸で示した へ吸い込まれる。
1 + i を累乗してみる
数を入れると動きがつかめます。 は絶対値が 、偏角が 度。
回掛けるごとに 倍へふくらみ、 度ずつ回ります。 回で偏角が 度に戻るので、 は正の実数。実際 から順に計算すると 、 です。
絶対値が を超えているので、外へ開く螺旋。向きだけは 回ごとに元へ戻ります。
円の上では和も収束しない
かつ のとき、部分和は等比数列の和として書けます。
分子の は単位円上をぐるぐる回るだけなので、この値は一定の範囲に収まったまま揺れ続けます。大きくはならないものの、 点には落ち着かない。
有界でありながら収束しない、という状態です。 で初めて となり、和が に定まります。
実部をとると三角関数の級数になる
この収束を使うと、実数の級数がまとめて計算できます。 とおけば
です。右辺は分母を実数化して になります。
, で試すと、分子が 、分母が なので、和は 。
虚部をとれば の級数も同時に出ます。三角関数の無限級数を、複素数の等比級数 本に押し込んでしまう手口です。
見るのは半径、次に角度
累乗が絡む問題では、まず を見る。 より小さいか、等しいか、大きいかで話の骨格が決まります。
そのあとに偏角へ目を移し、何周で戻るか、どの向きに巻くかを詰める。この順番で読むと、螺旋の絵が計算より先に浮かびます。








