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絶対値の 2 乗は共役との積……そこから展開が一本道に

絶対値のままでは展開できない。 乗して共役との積に直すと、ふつうの式の計算になる[1]。

なら 。根号が消えて多項式になる[2]。

根号を先に外す

絶対値の入った等式は、両辺を 乗してから開く。 なので、 乗しても同値のまま残る。

乗した先で に置きかえると、 と の 2 つの文字についての式になる。あとは展開と整理だけ。

両辺を 2 乗する

を に置きかえる

展開して と で整理する

例: を展開する

なので、次のように開ける。

、 に戻すと、次の形になる。

、 で確かめる。左辺は 。

右辺は 。合っている。

canvas: 式は呼び出しにそのまま書いてください。この引数は焼けません -> drawMath(… openStep[index] …)

例: を式に直す

両辺を 乗して 、置きかえて である。

なら 。原点を中心とする半径 の円になる。

複素数のまま扱うなら のほうが軽い。 と に割らずに済む。

例:

両辺を 乗して展開する。左は 、右は である。

と が消えて、 が残る。

を入れると、左が 、右が になる。よって 、直線 である。

と から等距離の点の集合なので、 点を結ぶ線分の垂直二等分線になっている[4]。

例:

乗すると である。左辺を開く。

移項して 。、 を入れる。

で割って平方完成すると 。中心 、半径 の円である。

を入れると 、 でそろう。

例:余弦定理が出てくる

を同じ手で開く。

と は共役どうしなので、足すと実部の 倍になる。

三角形の 3 辺を結ぶ余弦定理と同じ形である。最後の項が にあたる。

共役どうしを足すと実数になるのは、虚部が符号違いで打ち消し合うからである。

。この 1 行が展開の途中でよく効く。

積と商はそのまま分かれる

絶対値は掛け算と割り算を素通りする[3]。

たし算だけは分かれない。 は にならないので、和が出たら 乗して開くしかない。

例: の絶対値

展開する必要はない。 なので、 乗すれば済む。

である。実際に となり、絶対値が で合う。

例:単位円の上では

なら 。両辺を で割ると になる。

共役を逆数に置きかえられるので、 の入った式が分数式に直せる。単位円上の問題でよく使う手である。

で試す。 で、 を計算しても同じ値になる。

例:実数であることを示す

の絶対値を求める。 なので、比は である[3]。

絶対値が でも実数とは限らない。実数かどうかは で調べる別の話になる。

絶対値は大きさだけの情報で、向きを見ていない。 乗して展開する手は、大きさの条件にしか使えない。

をみたす点の集合はどれか。

  • 直線
  • 直線
  • 原点を中心とする円
__RESULT__

と から等距離の点の集合なので、この 2 点を結ぶ線分の垂直二等分線である。 乗して開くと となり、 が出る。 は と を選んだときの答え、円になるのは片方が原点のときである。

検算

展開の途中では、 の項が消えたかどうかを見る。 点からの距離が等しい形なら消えて直線、比が でなければ残って円になる。

まちがえやすい点

を に分ける。和では分かれない。
を と書く。共役を掛けるので である。
を とする。 にも共役が付く。
と を同じ項として足す。共役どうしなので、足して実部の 倍になる。
の項が残った式を直線だと決める。残っていれば円になる。

に置きかえる。この 1 手を最初に入れておけば、絶対値の式はすべて と の多項式に落ちる。

出典

Absolute value - Wikipedia
Komplexe Zahl - Wikipedia
Module d'un nombre complexe - Wikipédia
复平面 - 维基百科
絶対値のままでは展開できませんが、$|z|^2 = z\bar{z}$ に置きかえると根号が消えて多項式の計算になります。$|z-\alpha|^2$ を開くと $|z|^2-\bar{\alpha}z-\alpha\bar{z}+|\alpha|^2$。$\alpha\bar{z}$ と $\bar{\alpha}z$ が共役どうしなので、足すと実部の 2 倍に落ちます。$|z-1|=|z-i|$ が直線 $y=x$、$|z-1|=2|z|$ が中心 $-\frac{1}{3}$ 半径 $\frac{2}{3}$ の円になる過程を追い、$|z|^2$ の項が消えるかどうかで直線と円が分かれることを見ました。単位円の上では $\bar{z}$ を $\frac{1}{z}$ に置きかえられる。