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偏角をまちがえない象限の見かた〜複素数の極形式

の絶対値は で一発で決まります[1]。

偏角のほうは から候補が 2 つ出ます。 の周期が なので、逆にたどると 違う 2 つが残る[1]。

どちらを選ぶかは、点がどの象限にあるかで決めます[3]。

絶対値は迷わない

は原点からの距離なので、正の数がただ 1 つ決まります。

なら 。符号を気にする場面がありません。

偏角は 2 つの候補から選ぶ

を解くと、 離れた 2 つの角が出ます。

は と の符号を両方とも反転させても変わりません。原点をはさんで反対側の点が、同じ比を与えるためです。

比だけでは足りない。 と それぞれの符号を見て、点がどの象限にいるかを確かめます[3]。

絶対値 を出す

から候補を 2 つ出す

と の符号で象限を決める

例:

です。。

候補は と になります。実部が正、虚部が負なので第 4 象限です[1]。

を選ぶと になってしまう。値が原点対称の位置へ飛びます。

例:

、 です。候補はさきほどと同じ 2 つ。

実部が負、虚部が正なので第 2 象限。 を選びます[1]。

の値が同じでも、答えが違う。比だけを見て決められない理由がここにあります。

例:実部が のとき

では が計算できません。分母が になります。

で、点は虚軸の負の側にあります。偏角は です[3]。

軸の上に乗る点は、象限で決めるのではなく直接読みます。 軸の正なら 、負なら 。 軸の正なら 、負なら になる。

第 1 象限、。 から
第 2 象限、。 から
第 3 象限、。 から
第 4 象限、。 から

範囲を先に決めておく

偏角に の整数倍を足しても同じ点を指します[2]。書き方が何通りもある。

そこで範囲を 1 つ決めて使います。 以上 未満か、 より大きく 以下か。後者は主値と呼ばれます[3]。

どちらでも同じ点を表しますが、途中の計算で答え合わせをするときに食い違います。問題ごとに 1 つ選び、最後までそろえます。

canvas: 置き場が受け取りませんでした

例:極形式から直交形式へ戻す

、 の点を に直します。こちらは迷いません。

、 です[1]。

戻すときは代入するだけ。行きだけが象限の判断を必要とします。

例:極形式が効く場面

を出します。極形式は でした。

絶対値は 、偏角は 。 で 3 周ぶん引いて です。

偏角をまちがえていたら、ここで符号が反転します。最初の象限の判断が最後まで効いてくる。

の偏角はどれですか。ただし 以上 未満とします。

__RESULT__

なので候補は と です。実部も虚部も負なので第 3 象限、よって 。 は符号を見なかった値、 は第 4 象限と読みちがえた値になります。

まちがえやすい点

の値だけで偏角を決める。 違う候補が残ります。
の符号だけを見る。 と それぞれの符号が要ります。
実部が のときに を使おうとする。軸の上なので直接読みます。
偏角の範囲を決めずに進める。同じ点が違う値で書けて、答え合わせが合わなくなります。
絶対値に を付ける。距離なのでつねに正です。
の値をそのまま答えにする。返る角は から の範囲に限られます。

絶対値は計算、偏角は判断。この 2 つを分けておけば、極形式に直すところでつまずかなくなります。

参考

Marc Deisenroth. *Complex Numbers*. Revision Notes, Imperial College London, Department of Computing, 2017.
Jörn Dunkel, Jeremy Orloff. *18.04 Complex Analysis with Applications*. MIT, Spring 2019.
Complex Argument. Wolfram MathWorld.
絶対値 $\sqrt{x^2+y^2}$ は正の数がただ 1 つ決まりますが、偏角は $\tan\theta = \frac{y}{x}$ から $180^\circ$ 離れた候補が 2 つ出ます。$\frac{y}{x}$ は $x$ と $y$ を同時に反転させても変わらないため。比だけでは足りず、それぞれの符号で象限を決めます。$2-2i$ と $-1+i$ は $\tan$ が同じ $-1$ でも $315^\circ$ と $135^\circ$ に分かれる。実部が $0$ の点は軸の上なので直接読み、偏角の範囲は $0^\circ$ 以上 $360^\circ$ 未満か主値かを先に決めておきます。