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複素数の不等式が表す領域|数学Ⅲ

等式が線を描くのに対して、不等式は面を塗ります。 が円周そのものを表すなら、 はその円周と内側をまとめた円板。

から までの距離が を超えない、と読めば形はすぐ決まります。中心 、半径 の円の内部と周。

半径を伸び縮みさせても、塗られる場所は円板のまま。中心からの距離という 1 つの量だけで、内と外が分かれています。

境界を含むかどうか

と の違いは、円周そのものを入れるかどうかです。

は円周を含む。図では実線で描く。
は円周を含まない。図では破線で描く。
は円周と、その外側すべて。

答案では線の種類まで指定されることが多いので、不等号を見た時点で実線か破線かを決めておくと迷いません。

境界が入るかどうかは、最大値や最小値を答えるときにも効いてきます。周を含まない領域では、いちばん外側の値に到達できない。「 未満」と「 以下」は図の上では線 1 本の差ですが、答えの書き方は変わります。

偏角で挟むと扇形になる

距離ではなく向きを縛ると、原点から広がる形が出ます。

これは原点から 度の方向と 度の方向に伸びる 2 本の半直線に挟まれた部分。角度だけの条件なので、原点からいくら遠ざかっても条件は変わりません。

開き具合を変えると扇の広さが変わります。原点そのものは が定まらないので、この手の領域からは外れる。答案では原点を除くと書き添えておく場面です。

実部と虚部で切る

とおいたときの や に条件を付けると、まっすぐな境界が出ます。

これは直線 の右側。2 つ重ねて とすれば、幅 の帯になります。

2 点からの距離を比べる

は、 のほうが近いか等しい点の集まりです。等号だけを見れば と を結ぶ線分の垂直二等分線。不等号にすると、その線で分けた 側の半平面になります。

境界が直線になるので、円や扇形と組み合わせても扱いやすい条件。

重ねると共通部分になる

条件が 2 つ以上並んだら、それぞれの領域を描いて重なりをとります。

円のほうは なので周を実線、扇形のほうは なので 2 本の半直線を破線で描いています。共通部分だけが濃く残る。この描き分けが答案の点になります。

例で通す

次の 2 つを同時に満たす領域を図示します。

前半は原点を中心とする半径 の円と半径 の円に挟まれた輪。後半は実軸と虚軸の正の向きに挟まれた、第 1 象限ぶんの扇形です。

重ねると、第 1 象限にある幅 の弧状の帯が残ります。境界はすべて等号を含むので、 本の円弧と 本の線分をどれも実線で描く。

原点を除くという但し書きは要りません。 が原点をあらかじめ外しているためです。 の条件だけが並んでいる問題との違いになります。

が表す領域はどれでしょうか。

  • 中心 、半径 の円の内部と周
  • 中心 、半径 の円の外部と周
  • 中心 、半径 の円周だけ
__RESULT__

と の距離が 以上、と読みます。距離が を超える点は円の外側、ちょうど の点は円周そのもの。等号が入っているので、外部と周の両方が答えになります。

座標に戻して確かめる

形が読みにくい不等式は、 を代入して整理すると正体が見えます。

両辺を 乗して展開すると

となり、整理して 、つまり次の形になります。

中心 、半径 の円の外側と周。もとの式からは想像しにくい答えですが、代入して 2 乗すれば機械的に出せます。

手順は 3 つでよい

領域の問題は、条件を 1 つずつ図形に翻訳し、境界の実線と破線を決め、最後に重ねる。この 3 手で片づきます。

翻訳が難しいときだけ に戻す。先に代入から入ると計算が膨らむので、まず幾何で読もうとする姿勢が近道になります。

等式が線を描くのに対して、不等式は面を塗ります。距離の条件は円板、偏角の条件は扇形、実部や虚部の条件は半平面。不等号が ≤ か < かで境界を実線に描くか破線に描くかが決まり、条件が並んだときは重なりだけを残します。形が読みにくい式は x + yi を代入して 2 乗すると正体が見えました。