三角形 αβγ の形は、次の商ひとつで決まります。
w=β−αγ−α
絶対値が ∣αβ∣∣αγ∣ という辺の比、偏角が角 βαγ です[1]。比と角の両方を 1 つの複素数が抱えています。
w=i なら、角が 90∘ で 2 辺の長さが等しい。直角二等辺三角形だと 1 行で分かります。
値ごとに形が決まる
絶対値と偏角を別々に読むと、条件が素直に並びます。
| w が実数 | 3 点が一直線に並び、三角形にならない |
| w が純虚数 | α の角が直角 |
| ∣w∣=1 | ∣αβ∣=∣αγ∣ の二等辺 |
| w=±i | 直角二等辺 |
| w=cos60∘±isin60∘ | 正三角形 |
∣w∣=1 かつ純虚数なら w=±i です。2 つの条件が重なった形が直角二等辺になります[3]。
符号の違いは、γ が αβ のどちら側にあるかを表します。形は同じで、向きが裏返る。
canvas: 式は呼び出しにそのまま書いてください。この引数は焼けません -> drawMath(… formName[index] …)
例:直角二等辺かを調べる
α=1+2i、β=4+3i、γ=5i とします。
β−α=3+i、γ−α=−1+3i です。分母を実数化して割ります。
w=10(−1+3i)(3−i)=1010i=i
w=i なので直角二等辺です。角度も長さも別々に測らずに済みました。
γ を −1+3i 回転させた位置と読むこともできます。i を掛けることが 90∘ の回転だからです。
正三角形の条件を式に直す
w が cos60∘±isin60∘ になる条件を、対称な形へ書き直します。
この 2 つの値は x2−x+1=0 の解です。w を代入して分母を払います。
(γ−α)2−(γ−α)(β−α)+(β−α)2=0
展開して整理すると、α だけが特別扱いされない形になります。
α2+β2+γ2=αβ+βγ+γα
どの頂点から見ても同じ式です。w の形では α が基準になっていましたが、その偏りが消えました。
例:正三角形の条件を数値で見る
α=0、β=1、γ=21+23i とします。1 辺が 1 の正三角形です。
左辺は 0+1+γ2 で、γ2=cos120∘+isin120∘=−21+23i。合わせて 21+23i です。
右辺は 0+γ+0=21+23i。両辺が合いました。
γ=i に変えると、左辺が 0、右辺が i でずれます。正三角形ではないと判定できる。
相似の条件
2 つの三角形が同じ向きに相似なのは、それぞれの商が等しいときです[1]。
β−αγ−α=β′−α′γ′−α′
商が角と辺の比を両方持っているので、この 1 本で対応する角の相等と辺の比例がそろいます[2]。
向きが逆の相似では、右辺の共役をとった形になります。鏡に映した図形が該当する。
例:相似かどうか調べる
0、1、i の三角形と、3、5、3+2i の三角形を比べます。
前者の商は 1−0i−0=i。後者は 5−3(3+2i)−3=22i=i です。
一致したので同じ向きに相似。後者は前者を 2 倍して 3 だけずらした図形になります。
3+2i を 3−2i に変えると商が −i になり、共役の関係。向きが逆の相似で、実軸に関して裏返っています。
例:二等辺三角形の判定
α=2、β=5+i、γ=3+3i とします。
β−α=3+i、γ−α=1+3i です。どちらも絶対値が 10。
商の絶対値が 1 なので ∣αβ∣=∣αγ∣ の二等辺三角形です。頂角は α にあります。
商そのものは 10(1+3i)(3−i)=106+8i で、純虚数ではありません。直角ではない二等辺です。
例:頂点の順番を変える
同じ 3 点でも、どの頂点を基準にするかで商が変わります。α−γβ−γ なら γ の角を見ることになる。
正三角形の条件 α2+β2+γ2=αβ+βγ+γα は順番に依存しません。3 文字を入れかえても式が同じ形に戻ります。
判定したい角が決まっているなら商、形そのものを問うなら対称式。使い分けると計算が短くなります。
α=1、β=4、γ=1+3i の三角形はどんな形ですか。
- 直角二等辺三角形
- 正三角形
- 直角だが二等辺ではない三角形
__RESULT__
β−α=3、γ−α=3i なので商は i です。純虚数なので α の角が直角、絶対値が 1 なので 2 辺の長さが等しく、直角二等辺になります。正三角形なら商が cos60∘±isin60∘ になるはずです。
よくあるミス
商の絶対値だけを見て形を決める。角のほうは偏角に入っています。
純虚数と虚部が 0 でないことを同じ意味だと考える。純虚数は実部が 0 の数です。
正三角形の条件を α+β+γ=0 と覚える。それは重心が原点にある条件です。
相似の判定で、頂点の対応をそろえずに商をとる。対応する頂点を基準にします。
向きが逆の相似を見落とす。共役をとった値と比べる必要があります。
商が実数になったときに計算ミスと決める。3 点が一直線に並んだ合図です。
商をとって、絶対値と偏角を別々に読む。この 2 段で、二等辺も直角も正三角形も相似も同じ道具で判定できます。
出典
Similar Triangles. Wolfram MathWorld. Marc Deisenroth. *Complex Numbers*. Revision Notes, Imperial College London, Department of Computing, 2017.
$w = \dfrac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}$ の絶対値が辺の比、偏角が角 $\beta\alpha\gamma$ です。1 つの複素数が比と角を両方抱えているので、$w=i$ と出れば直角と等長が同時に読めます。実数なら 3 点が一直線、純虚数なら直角、絶対値 $1$ なら二等辺。正三角形は $w$ が $x^2-x+1=0$ の解になる条件から $\alpha^2+\beta^2+\gamma^2 = \alpha\beta+\beta\gamma+\gamma\alpha$ という対称な形へ落ちます。2 つの三角形の商が等しければ同じ向きに相似、共役どうしなら裏返しの相似になる。
β−α=3、γ−α=3i なので商は i です。純虚数なので α の角が直角、絶対値が 1 なので 2 辺の長さが等しく、直角二等辺になります。正三角形なら商が cos60∘±isin60∘ になるはずです。