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複素数のたし算とひき算は平行四辺形と矢印でつかむ

は、原点と でつくる平行四辺形の、4 つ目の頂点です。

のほうは点ではなく矢印を表します。 から へ向かう向きと長さ[1]

足し算は図形をつくり、引き算は図形をはかる。役割がはっきり分かれています。

足すと平行四辺形ができる

複素数のたし算は、実部どうし虚部どうしを足すだけです。座標のたし算と同じ形なので、ベクトルのたし算にあたります[1]

原点から へ引いた矢印の先に、 の矢印をつなぐ。着いた先が です[4]

つなぐ順番を変えても同じ点に着きます。 が先でも が先でも、四辺形の対角の頂点は 1 つしかありません。

を動かしても平行四辺形は崩れません。向かい合う 2 辺がいつも同じ矢印を表しているためです。

引くと矢印が残る

は、 の位置を原点へずらしたときの の位置にあたります[1]

図の上では、 から へ伸びる矢印そのもの。始点の情報が落ちて、向きと長さだけが残ります。

たし算

矢印をつなぐ。結果は点で、平行四辺形の対角にあたる

ひき算

矢印をとり出す。結果は向きと長さで、位置の情報は消える

例:2 点間の距離

の距離を出します。まず矢印を求める。

です。この絶対値が距離になります[2]

です。座標で を計算するのと同じ中身で、途中の式が短くなります。

例:平行移動として見る

を足す対応は、平面全体を の向きへずらす平行移動です[2]

なら、右へ 、下へ だけ動く。どの点も同じだけ動くので、図形の形と大きさは変わりません。

回転や拡大と違って、動かない点が 1 つもない。 ならすべての点が移ります。

平行移動に中心が要らないのは、足す量がどの点でも同じだからです。

回転や拡大では点ごとに動く量が違い、動かない点が中心として残る。

例:4 点が平行四辺形かを確かめる

が平行四辺形かどうかを見ます。

です。2 つの矢印が一致したので、 は平行で長さも等しい。

向かい合う 1 組が平行かつ等長なら平行四辺形になります。残りの組を調べなくても決まる。

例:ひし形かどうかを見分ける

同じ 4 点で、隣り合う 2 辺の長さを比べます。

等しいのでひし形です。平行四辺形であることが分かっていれば、隣り合う 2 辺だけ調べれば足ります。

対角線の長さがつくる等式

平行四辺形では、2 本の対角線の長さの 2 乗の和が、4 辺の長さの 2 乗の和と等しくなります[3]

左が対角線、右が辺です。和と差を両方使うところが特徴で、片方だけでは成り立ちません。

辺の長さから対角線の一方が出せる形なので、片方の対角線が分かればもう片方も決まります。

例:等式を数値で確かめる

で両辺を計算します。

なので なので 。左辺は です。

右辺は 。両辺が合いました。

例:足す順番を変える

は同じ点です。図では、平行四辺形の 2 通りの回り道が同じ頂点へ着くことにあたります。

3 つ以上でも同じで、 は一致する。矢印を継ぎ足す順番は結果を変えません。

引き算では順番が効きます。 は向きが逆の矢印になる。

平行四辺形の 4 つ目の頂点
から への矢印
2 点の距離
だけの平行移動

の 3 点があります。 が平行四辺形になる はどれですか。

__RESULT__

が条件です。 なので をとり違えた値、 は矢印の向きを逆にした値になります。

よくある誤り

を点として扱う。矢印なので、始点は決まっていません。
距離を で出す。原点からの長さの差にしかなりません。
平行四辺形の判定で、隣り合う 2 辺の矢印を比べる。比べるのは向かい合う組です。
頂点の順番を入れかえて の形で判定する。四角形が交差します。

足すと図形ができ、引くと物差しになる。この 2 つの役割を分けておけば、複素数平面の図形問題はほとんどが矢印の計算に落ちます。

参考

Komplexe Zahl - Wikipedia
Nombre complexe - Wikipédia
Parallelogram law - Wikipedia
复平面 - 维基百科
$\alpha+\beta$ は原点と $\alpha$ と $\beta$ がつくる平行四辺形の 4 つ目の頂点、$\beta-\alpha$ は $\alpha$ から $\beta$ へ向かう矢印です。足し算は図形をつくり、引き算は図形をはかる。$|\beta-\alpha|$ が 2 点の距離になる理由、$z+\gamma$ が動かない点を持たない平行移動になる理由を順に見ます。4 点が平行四辺形かは向かい合う辺の矢印が一致するかで決まり、ひし形かどうかは隣り合う 2 辺の長さで足りる。対角線と辺を結ぶ $|\alpha+\beta|^2+|\alpha-\beta|^2 = 2|\alpha|^2+2|\beta|^2$ も数値で確かめました。