ω100=ω です。100 を 3 で割った余りが 1 なので、指数がそこまで落ちます。
ω は 1 の 3 乗根のうち、実数でないほうを指します[1]。
ω=−21+23i
この数には ω3=1 と ω2+ω+1=0 という 2 本の関係があり、計算はほぼこの 2 本で片づきます[3]。
指数は 3 で割った余りだけ見る
ω3=1 なので、ω を 3 回掛けるたびに 1 に戻ります。指数は 3 周期でくり返す。
ω0=1,ω1=ω,ω2=ω2,ω3=1,ω4=ω,…
ωn を出すには、n を 3 で割った余りを見れば足ります。100=3×33+1 なので ω100=ω。
3 で割った余りは、各位の数を足してから調べても出ます。2024 なら 2+0+2+4=8、8 の余りが 2 なので ω2024=ω2 です。
canvas: 式は呼び出しにそのまま書いてください。この引数は焼けません -> drawMath(… cycleName[index] …)
もう 1 本の関係で次数を下げる
ω2+ω+1=0 は、x3−1=(x−1)(x2+x+1) の右側の因数から出ます[4]。ω=1 なので、ω はこの 2 次式の解になる。
この式を移項すると、次数を下げる道具になります。
ω2=−1−ω,1+ω=−ω2,1+ω2=−ω
1+ω や 1+ω2 が出たら、ω の 1 つの累乗にまとめてしまう。この置きかえが計算をいちばん短くします。
| ω3 | 1 |
| ω100 | ω(余り 1) |
| 1+ω | −ω2 |
| 1+ω2 | −ω |
| ω+ω2 | −1 |
| ω⋅ω2 | 1 |
| ω | ω2 |
例:(1+ω)6
1+ω=−ω2 に置きかえます。
(1+ω)6=(−ω2)6=ω12
12 は 3 で割り切れるので ω12=1。展開せずに 1 が出ました。
(−1)6=1 なので、途中の符号も消えます。偶数乗のときは符号を気にせず済む。
例:(1−ω+ω2)3
ω2=−1−ω を入れます。
1−ω+ω2=1−ω−1−ω=−2ω
3 乗すると (−2ω)3=−8ω3=−8 です。
1+ω+ω2=0 を先に思い出しておくと、1+ω2=−ω から −ω−ω=−2ω とも出せます。
例:(1−ω)(1−ω2)
そのまま展開します。
1−ω2−ω+ω3=1−(ω+ω2)+1
ω+ω2=−1 なので、1+1+1=3 になります。
きれいに整数へ落ちました。ω を含む積が実数になるのは、ω と ω2 が共役どうしだからです[2]。
ω と ω2 が共役どうしなのは、絶対値が 1 で偏角が ±120∘だからです。
例:ω100+ω200
100 の余りが 1、200 の余りが 2 です。200=3×66+2 になります。
ω100+ω200=ω+ω2=−1
−1 です。大きな指数でも、余りを 2 つ出せば終わります。
例:1+ω+ω2+⋯+ωn
3 個ずつまとめると、それぞれが 1+ω+ω2=0 で消えます。項数 n+1 を 3 で割った余りだけが残る。
余りが 0 なら和は 0、1 なら 1、2 なら 1+ω=−ω2 です。
n=100 なら項数は 101、余りが 2 なので和は −ω2 になります。
canvas: 式は呼び出しにそのまま書いてください。この引数は焼けません -> drawMath(… foldName[index % 3] …)
例:3 次の因数分解に使う
a3+b3+c3−3abc は、ω を使うと 1 次式 3 つの積に分かれます。
a3+b3+c3−3abc=(a+b+c)(a+ωb+ω2c)(a+ω2b+ωc)
a=2、b=1、c=0 で確かめます。左辺は 8+1+0−0=9。
右辺は 3×(2+ω)(2+ω2)=3×(4+2ω2+2ω+ω3) です。ω+ω2=−1、ω3=1 を入れると 3×(4−2+1)=9 になります。
実数の範囲では (a+b+c)(a2+b2+c2−ab−bc−ca) までしか割れません。ω を許すと 1 次まで割り切れる。
例:2 次方程式の解として現れる
x2+x+1=0 を解の公式で解きます。
x=2−1±−3=−21±23i
この 2 つが ω と ω2 です[1]。ω をどちらに決めても、残りが自動的に ω2 になります。
ω の定義を覚えるより、x2+x+1=0 の解と覚えておくほうが使いやすい。関係式がそのまま手に入ります。
ω50+ω25+1 の値はどれですか。
__RESULT__
50=3×16+2 なので ω50=ω2、25=3×8+1 なので ω25=ω です。合わせると ω2+ω+1=0 になります。3 は指数をすべて 3 の倍数だと見たときの値、−1 は最後の 1 を足し忘れた値です。
よくある誤り
指数を 3 で割った商のほうを使う。要るのは余りです。
ω2 を ω の共役でないと考える。ω=ω2 になります。
和の項数と指数の最大値をとり違える。ωn までなら項数は n+1 です。
ω を 1 の 3 乗根すべてだと考える。1 は含めず、虚数のほうを指します。
ω3=1 で指数を折りたたみ、ω2+ω+1=0 で次数を下げる。この 2 本だけで、ω の計算はほぼ暗算に落ちます。
参考文献
$\omega^3 = 1$ なので指数は 3 周期でくり返し、$100$ を $3$ で割った余り $1$ から $\omega^{100} = \omega$ とすぐ出ます。もう 1 本の $\omega^2+\omega+1 = 0$ は次数を下げる道具で、$1+\omega = -\omega^2$、$1+\omega^2 = -\omega$ と置きかえると式が一気に短くなる。$(1+\omega)^6$、$(1-\omega+\omega^2)^3$、$(1-\omega)(1-\omega^2)$ を展開せずに片づけ、$\omega^{100}+\omega^{200}$ や項数の余りで決まる等比和も追いました。$a^3+b^3+c^3-3abc$ が 1 次式 3 つに割れるのも同じ関係式から。
50=3×16+2 なので ω50=ω2、25=3×8+1 なので ω25=ω です。合わせると ω2+ω+1=0 になります。3 は指数をすべて 3 の倍数だと見たときの値、−1 は最後の 1 を足し忘れた値です。