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係数に i が入る 2 次方程式の解き方と判別式の限界

係数が複素数でも、解の公式はそのまま使えます[1]。

使えなくなるのは、判別式の符号で解を分類する部分です。 が複素数になると、正も負もありません。

公式のほうは生き残る

導き方が平方完成だけなので、係数がどんな数でも同じ変形が通ります[4]。

変わるのは の読み方です。実数のときは「 乗して になる正のほう」を指しましたが、複素数では正負が決められない。

は「 乗して になる つの数」をまとめて表す記号になります[1]。どちらを先に書いても、 が両方を拾う。

平方根そのものは、実部と虚部を置いて連立を解けば求まります[3]。

判別式 を計算する

の平方根を 2 つ求める

解の公式へ入れる

判別式の符号は意味を持たない

で実数解 個、 で重解、 で虚数解 個。この分け方は、係数がすべて実数のときだけの話です。

が複素数なら大小が比べられません。 と のどちらが大きいかは決まらない。

残るのは かどうかだけです。 なら重解、 なら異なる 解になります[4]。

実数係数

の符号で 3 通りに分かれる。虚数解は共役の対で現れる

複素数係数

かどうかだけが残る。解の対称性は消える

例:

判別式を計算します。、 です。

の平方根は 。 で戻ります。

をとると 、 をとると です。

解は と 。 の共役 は解になっていません。係数に が入ったせいで、対の関係が消えています[2]。

例: が負の実数でも対にならない

を解きます。 です。

は負の実数ですが、係数のほうが複素数のままなので、共役の対にはなりません。

を入れると、。 と になります。

どちらも純虚数ですが、 と は共役どうしではない。 という見た目にだまされやすいところです。

でも対にならないのは、実数係数だけが共役の対を生むからです。

共役をとると係数まで共役になる。係数に があると、別の方程式へ移ってしまう。

例: の重解

では です。

が重解になります。 と展開でき、確かに 乗の形です。

の判定だけは、係数が複素数でも意味を持ちます[4]。 が かどうかは、実数でも複素数でも決められる。

解と係数の関係は残る

の 解を 、 とすると、次が成り立ちます[4]。

導き方が係数の比較だけなので、係数が複素数でもそのまま通ります。

で確かめます。和は で、 と一致。積は で、 と一致します。

解の公式そのまま使える
判別式の符号による分類使えない
の判定使える
共役根の対実数係数のときだけ
解と係数の関係そのまま使える

例:因数分解で解く

は、 と分解できます。

展開すると で戻ります。定数項の を と見れば手がかりになります。

複素数の範囲では因数が見つけにくいので、判別式から進むほうが確実です。分解が見えたときだけ使う近道になります。

例:実数解をもつ条件

が実数解をもつような実数 を求めます。

実数解を とおいて代入し、実部と虚部に分けます。

複素数が になるのは実部と虚部が両方 のときなので、 と を同時にみたす。

を入れると から です。もとの式へ戻すと となり、 で成り立ちます。

よくあるミス

の符号で解の個数を分ける。係数が複素数なら符号がありません。
を見て共役の対だと決める。実数係数のときだけ成り立ちます。
を 1 つに決めようとする。 が つの平方根を拾います。
片方の解だけ求めて、残りを共役で埋める。もう一度公式に入れます。
実数解をもつ条件を、実部だけの式で立てる。虚部も にする必要があります。

公式は残り、符号による分類だけが落ちる。どこまでが実数係数に依存していた話かを切り分ければ、係数に が入っても手順は変わりません。

参考

Quadratic equation - Wikipedia
Complex conjugate root theorem - Wikipedia
Square root - Wikipedia
Quadratische Gleichung - Wikipedia
解の公式は係数が複素数でも生き残ります。導き方が平方完成だけなので、変形がそのまま通るため。落ちるのは判別式の符号による分類のほうで、$D$ が複素数になると正も負もありません。残るのは $D=0$ かどうかだけ。$z^2+(1-i)z-i=0$ の解は $i$ と $-1$ で、$i$ の共役は解になりません。$z^2+2iz+3=0$ は $D=-16$ と負の実数なのに、解は $i$ と $-3i$ で対になっていない。解と係数の関係はそのまま使え、実数解をもつ条件は実部と虚部を同時に $0$ にして立てます。