f(x)=x3−3x2−9x+5 の極大値と極小値の差は 32 です。極値そのものを計算しなくても出ます。
差を決めているのは、極値をとる 2 つの x がどれだけ離れているかだけ。その距離は解と係数の関係から出せます[1]。
極大値−極小値=2a(β−α)3
α と β は f′(x)=0 の 2 解です。a は x3 の係数。
中心へ移して形を見る
対称の中心 m=−3ab で x=m+u とおくと、u2 の項が消えて次の形になります。
f(m+u)−f(m)=au3+pu
p=f′(m) です。極値をとるのは 3au2+p=0 のとき、つまり u=±r の 2 か所。
r は中心から極値までの距離で、3ar2=−p を満たします。p=−3ar2 と書けます。
u=±r を代入します。
a(±r)3+p(±r)=±ar3∓3ar3=∓2ar3
中心から上へ 2ar3、下へ 2ar3。差は 4ar3 です。
r は α と β の間隔の半分なので r=2β−α。代入すると冒頭の式になります。
上と下に同じ量だけ離れているので、差はその 2 倍。中心が上下の真ん中にいることの言い換えです。
間隔を係数から出す
f′(x)=3ax2+2bx+c の 2 解に、解と係数の関係を当てます。
α+β=−3a2b,αβ=3ac
差の 2 乗は、和の 2 乗から積の 4 倍を引いて出します。
(β−α)2=(α+β)2−4αβ=9a24b2−3a4c=9a24(b2−3ac)
b2−3ac は f′(x)=0 の判別式の 41 にあたる量です。これが正のとき極値をもちます。
例:数値で確かめる
f(x)=x3−3x2−9x+5 は a=1、b=−3、c=−9 です。
b2−3ac=9+27=36。(β−α)2=94×36=16 なので β−α=4。
差は 21×43=32 です。実際の極値 10 と −22 の差と一致します。
f(x)=2x3−3x2−12x なら a=2、b=−3、c=−12。
b2−3ac=9+72=81。(β−α)2=9×44×81=9 で β−α=3。
差は 22×27=27。極値 7 と −20 の差です。
| 関数 | b2−3ac | 極値の差 | | x3−3x | 9 | 4 |
| x3−3x2−9x+5 | 36 | 32 |
| 2x3−3x2−12x | 81 | 27 |
定数項は効かない
差の式に d が現れません。定数項を変えてもグラフが上下に動くだけで、上下の間隔は変わらないためです。
x3−3x と x3−3x+100 の極値の差は、どちらも 4。
x の係数や x2 の係数を変えると差が動きます。効くのは a、b、c の 3 つだけです。
間隔が広がると差も広がります。3 乗で効くので、間隔が 2 倍なら差は 8 倍です。
例:差から係数を決める
f(x)=x3−3ax(a>0)の極値の差が 4 になる a を求めます。
b=0、c=−3a なので b2−3ac=9a。(β−α)2=94×9a=4a で、間隔は 2a。
差は 21×(2a)3=4aa です。
4aa=4 から aa=1。両辺を 2 乗して a3=1 で a=1。
例:x2 の係数が動く場合
f(x)=x3+ax2+1 の極値の差が 4 になる a を出します。
b=a、c=0 なので b2−3ac=a2。間隔は 94a2=32∣a∣ です。
差は 21×278∣a∣3=274∣a∣3。
274∣a∣3=4 から ∣a∣3=27 で a=±3。
a=3 で確かめます。f′=3x2+6x=3x(x+2) なので極値は f(−2)=5 と f(0)=1。差は 4 です。
差の式には ∣a∣ が入るので、符号の違う 2 つの答えが出ることがある。
x2 の係数の符号を変えると、グラフは左右に裏返るだけ。上下の間隔は変わらない。
f(x)=x3−12x+5 の極大値と極小値の差はいくつですか。
__RESULT__
a=1、b=0、c=−12 なので b2−3ac=36。(β−α)2=94×36=16 で間隔は 4、差は 21×64=32 です。定数項の 5 は差に効きません。
定数項の扱いも確かめます。
極値の差が変わらないのは、次のうちどの操作をしたときですか。
- 定数項だけを変える
- x の係数だけを変える
- x2 の係数だけを変える
__RESULT__
差の式は a、b、c だけで書けて、d が現れません。定数項を変えるのはグラフを上下に動かすだけなので、上下の間隔は変わりません。
極値を 2 つ計算して引くのではなく、間隔を出して 3 乗する。解と係数の関係が、平方根の計算 1 回に置きかえてくれます。
参考
Extremum. Encyclopedia of Mathematics. Josef Leydold. *Kapitel 7: Differentialrechnung*. Mathematik für VW, Wirtschaftsuniversität Wien.
$x^3 - 3x^2 - 9x + 5$ の極大値と極小値の差は 32。極値そのものを計算せずに出せます。中心へ移すと $au^3 + pu$ の形になり、極値は中心から上下へ $2ar^3$ ずつ離れる。差は $\dfrac{a}{2}(\beta - \alpha)^3$ で、間隔は解と係数の関係から $(\beta - \alpha)^2 = \dfrac{4(b^2 - 3ac)}{9a^2}$ と出ます。定数項は差に効きません。間隔が 2 倍なら差は 8 倍。差が 4 になる条件から $x^3 - 3ax$ の $a$ を決める例も入れました。
a=1、b=0、c=−12 なので b2−3ac=36。(β−α)2=94×36=16 で間隔は 4、差は 21×64=32 です。定数項の 5 は差に効きません。