差をとって最小値を調べる〜微分による不等式の証明
のとき が成り立ちます。示すには、左辺から右辺を引いた関数の最小値を見ます。
とおくと、 での最小値が 。だから で、もとの不等式が出ます[1]。
2 つの式を直接くらべるのではなく、差を 1 つの関数にして底を調べる。これが微分を使う証明の形です。
差を関数にする
を示すことと、 を示すことは同じです。
差を と名づければ、あとは 1 つの関数の最小値を求める問題になります。最大最小はすでに微分で扱える。
差の関数 を作る
微分して増減を調べる
指定された範囲での最小値が 以上だと言う
最小値が より大きければ、等号のない不等式になります。 ちょうどなら等号つきです。
例: で
差は です。導関数を出します。
の範囲で になるのは だけ。 で負、 で正です。
で最小になり、 です。
では なので、 が成り立ちます。等号は のときだけ。
赤い縦線が 2 つのグラフの差です。 で長さが になり、そこ以外では正のままになります。
因数分解で確かめる
答えが出たら、差の関数を因数分解して確かめます。
は で になるので を因数にもちます。割ると次の形。
では 、 なので積は 以上です。増減表と同じ結論になりました。
が平方になっているのは、 で 軸に触れて戻るためです。等号がそこだけで成り立つことと対応します。
範囲の指定が要る理由
という条件を外すと、この不等式は崩れます。
で をとると、 が負になるので全体も負。たとえば なら です。
実際に を入れると左辺は 、右辺は 。左辺のほうが小さくなっています。
不等式の証明では、与えられた範囲を最後まで持ち歩く。
最小値を求めるときも、範囲の外にある極値は候補から外す。範囲が変われば結論も変わる。

例: で
差は です。。
の範囲で になるのは だけ。 で負、 で正です。
最小値は 。したがって で、不等式が成り立ちます。
因数分解すると 。 なら なので、やはり 以上です。
例: で
差は で、 です。
では が極小で、。左端の より小さい。
最小値が なので成り立ちます。因数分解は です。
| 不等式 | 差の関数 | 等号 |
|---|---|---|
どれも平方の因数が出ています。等号が成り立つ不等式では、差が 軸に触れる形になるためです。
例:区間が指定される場合
のとき を示します。
向きが逆なので、差を とおいて 以上を示します。
なので、区間の中の が極大です。
最小値は端で起きます。、。どちらも です。
区間の中では なので、不等式が成り立ちます。等号は と の 2 か所。
因数分解すると 。区間の中で なので、確かに 以上です。
極小値を計算して符号を見る。等号は 1 か所になることが多い
両端の値を計算して比べる。等号が 2 か所になることもある
で を示すとき、等号が成り立つのはどの ですか。
範囲の扱いも確かめます。
が成り立たない はどれですか。
差の関数は です。 では が負なので、全体が になります。左辺は 、右辺は で、確かに不等号が逆向きです。
引いて 1 つの関数にする。あとは最大最小の問題と同じ手順で、最小値が 以上かどうかを見るだけになります。

















差は f(x)=x3−12x+16 で、f′(x)=3x2−12=3(x+2)(x−2)。x>0 では x=2 が極小で、f(2)=8−24+16=0 です。因数分解すると (x−2)2(x+4) になります。