f(x)=x3−3x2−3x+1 の極値は −4+42 と −4−42 です。
極値をとる x は 1±2。これを 3 乗して代入するのは骨が折れます。
f を f′ で割った余りに代入すれば、計算は 1 次式への代入だけで終わります[1]。
余りに代入してよい理由
f(x) を f′(x) で割ると、f′ が 2 次式なので余りは 1 次以下です。
f(x)=f′(x)Q(x)+R(x)
極値をとる x=α では f′(α)=0。第 1 項が丸ごと消えます。
f(α)=R(α)
3 次式への代入が、1 次式への代入に変わりました。次数が下がるので次数下げと呼びます。
例:x3−3x2−3x+1
導関数は f′(x)=3x2−6x−3=3(x2−2x−1) です。
f′(x)=0 の解は x2−2x−1=0 から x=1±2。無理数になりました。
f(x) を x2−2x−1 で割ります。商は x−1 です。
(x2−2x−1)(x−1)f(x)−(x3−3x2+x+1)=x3−3x2+x+1=−4x
余りは −4x。したがって f(α)=−4α です。
α=1−2 なら −4+42、α=1+2 なら −4−42。
x3 の係数が正なので、小さいほうの x で極大、大きいほうで極小です。
例:x3−6x+4
f′(x)=3x2−6=3(x2−2) なので、極値をとるのは x=±2 です。
f(x) を x2−2 で割ります。商は x。
x3−6x+4=(x2−2)x+(−4x+4)
余りは −4x+4 です。f(α)=−4α+4。
α=−2 で極大値 4+42、α=2 で極小値 4−42 になります。
| 関数 | 割った余り | 極値 | | x3−3x2−3x+1 | −4x | −4±42 |
| x3−6x+4 | −4x+4 | 4∓42 |
| x3−3x2−6x+2 | −6x | −6∓63 |
3 つめは f′=3(x2−2x−2) で、極値をとるのは x=1±3 です。
対称性の結果と合っているか
余りが R(x)=px+q のとき、極値の和は R(α)+R(β)=p(α+β)+2q です。
x3−6x+4 では p=−4、q=4、α+β=0。和は 8 になります。
一方、対称の中心は m=0 で f(0)=4。和は 2f(0)=8 です。一致しました。
差のほうも見ます。R(β)−R(α)=p(β−α)=−4×22=−82。
極大から極小を引く向きにすると 82 です。係数から出す式でも同じ値になります。
余りが 1 次式なので、極値の和と差が α+β と β−α だけで書ける。
解と係数の関係がそのまま使える形。無理数を最後まで持ち歩かずに済む。
赤い直線は曲線と離れていますが、極値の 2 か所だけ高さが一致します。だから代入の相手を入れかえてよい。
例:文字を含む場合
f(x)=x3+3ax2+3x の極値を、a を残したまま出します。
f′(x)=3x2+6ax+3=3(x2+2ax+1) です。極値をもつ条件は a2>1。
f(x) を x2+2ax+1 で割ります。商は x+a です。
(x2+2ax+1)(x+a)f(x)−これ=x3+3ax2+(2a2+1)x+a=−2a2x−a
余りは (2−2a2)x−a。極値は (2−2a2)α−a の形になります。
α+β=−2a なので、和は (2−2a2)(−2a)−2a=4a3−6a です。
対称の中心は m=−a で、f(−a)=−a3+3a3−3a=2a3−3a。その 2 倍と一致します。
割り算をどこまでやるか
商は使いません。必要なのは余りだけです。
f が 3 次、f′ が 2 次なので、商は必ず 1 次。f′ の最高次の係数が 3a なので、商の係数に分数が出ることもあります。
分数を避けたいときは、f′ を 3 で割った 2 次式で割ります。f′(α)=0 と 3f′(α)=0 は同じ条件なので、結果は変わりません。
f(x)=x3−3x2−9x+2 の極値を次数下げで求めるとき、f(x) を x2−2x−3 で割った余りはどれですか。
__RESULT__
商は x−1 です。(x2−2x−3)(x−1)=x3−3x2−x+3 なので、引くと −8x−1 になります。極値は −8α−1 で、α=−1 なら 7、α=3 なら −25 です。
うまくいく理由も確かめます。
次数下げで余りに代入してよいのはなぜですか。
- 極値をとる x で f′(x) が 0 になるため
- 余りともとの式が同じ関数だから
- 商がいつも 1 になるため
__RESULT__
f(x)=f′(x)Q(x)+R(x) の第 1 項が、f′(α)=0 によって消えます。余りともとの式は別の関数で、値が一致するのは極値をとる点だけです。
3 次式への代入を 1 次式への代入に落とす。f′(α)=0 という 1 行が、そのための道具になります。
参考文献
Extremum. Encyclopedia of Mathematics. 3.3 Differentiation Rules. Calculus Volume 1, OpenStax.
$x^3 - 3x^2 - 3x + 1$ の極値をとる $x$ は $1 \pm \sqrt{2}$。3 乗して代入すると計算が重くなります。$f(x) = f'(x)Q(x) + R(x)$ と割っておけば、$f'(\alpha) = 0$ で第 1 項が消えて $f(\alpha) = R(\alpha)$。余りは 1 次式なので代入が一瞬で終わります。この例では $-4x$ が余りで、極値は $-4 \pm 4\sqrt{2}$。余りが 1 次だと極値の和と差も解と係数の関係で書けて、対称の中心から出した値と一致します。文字係数の場合まで扱いました。
商は x−1 です。(x2−2x−3)(x−1)=x3−3x2−x+3 なので、引くと −8x−1 になります。極値は −8α−1 で、α=−1 なら 7、α=3 なら −25 です。