x→1limx−1f(x)=3 という条件から、f(1)=0 と f′(1)=3 の 2 つが出ます。
条件は 1 つしか書かれていないのに、式が 2 本立つ。極限値が存在するという言葉自体が、1 本ぶんの条件になっているためです[1]。
f(x)=x3+ax+b なら、これで a と b が決まります。
分子も 0 に近づくしかない
分母の x−1 は x→1 で 0 に近づきます。
もし分子が 0 でない値に近づいたら、分数全体は限りなく大きくなってしまう。極限値をもてません。
だから分子も 0 に近づく必要があります。f は多項式なので、f(1)=0 ということです。
f(1)=0 が分かったら、もとの式に戻します。
x−1f(x)=x−1f(x)−f(1)
右辺は微分係数の定義そのものです。極限は f′(1) になります。
与えられた値が 3 なので f′(1)=3。これで 2 本目の式が出ました。
分子が x=1 で 0 にならないと、グラフは上下へ飛んでいきます。0 のときだけ 1 つの値に落ち着く。
例:3 次関数の係数を決める
f(x)=x3+ax+b で x→1limx−1f(x)=3 とします。
f(1)=1+a+b=0 が 1 本目。
f′(x)=3x2+a から f′(1)=3+a=3 で a=0。b=−1 になります。
f(x)=x3−1 です。確かめると x−1x3−1=x2+x+1 で、x→1 の極限は 3。
例:定数項がない形
f(x)=x3+ax2+bx で x→2limx−2f(x)=8 とします。
f(2)=8+4a+2b=0 から 2a+b=−4。
f′(x)=3x2+2ax+b より f′(2)=12+4a+b=8 で 4a+b=−4。
引くと 2a=0 で a=0、b=−4。f(x)=x3−4x です。
x−2x3−4x=x−2x(x−2)(x+2)=x(x+2) で、x→2 の極限は 8。合っています。
| 条件 | 式 1 | 式 2 | | limx−1f(x)=3 | f(1)=0 | f′(1)=3 |
| limx−2f(x)−5=3 | f(2)=5 | f′(2)=3 |
| lim(x−1)2f(x) が有限 | f(1)=0 | f′(1)=0 |
分子が 0 でない値に近づく形
x→2limx−2f(x)−5=3 では、分子が f(x)−5 です。
極限値があるので f(2)−5=0、つまり f(2)=5。
残りは x−2f(x)−f(2) の形なので、極限は f′(2)。値は 3 です。
引かれている定数がそのまま f(a) の値になります。
分子の定数は、f(a) がその値であることを表す。
f(x)−c が 0 に近づくには f(a)=c が要る。定数が条件を 1 つ運んでいる。
分母が 2 乗の場合
x→1lim(x−1)2f(x) が有限の値をもつとします。
分母は x→1 で 0 に近づき、しかも x−1 より速く小さくなります。
分子が f(1)=0 を満たすだけでは足りません。x−1f(x) が f′(1) に近づくので、全体は x−1f′(1) のように振る舞います。
これが有限になるには f′(1)=0 も必要です。f(x) が (x−1)2 で割り切れる条件と同じ。
f(x)=x3+ax+b なら 1+a+b=0 と 3+a=0 から a=−3、b=2。
f(x)=x3−3x+2=(x−1)2(x+2) で、極限は x→1lim(x+2)=3 になります。
分母の次数だけ条件が増えます。数学 II で扱うのは 2 乗までです。
例:分子が 2 次式
x→1limx−1x2+ax+b=4 となる a、b を求めます。
分子を g(x) とすると g(1)=1+a+b=0。
g′(x)=2x+a から g′(1)=2+a=4 で a=2。b=−3 です。
x−1x2+2x−3=x−1(x−1)(x+3)=x+3 で、x→1 の極限は 4。合っています。
因数分解して約分する道もありますが、微分係数を使うと文字を残したまま処理できます。
因数分解で解く
分子を (x−a) でくくり、残りに代入する。数値のときは速い
微分係数で解く
f(a)=0 と f′(a) の 2 式を書く。文字が入っていても同じ手順で進む
f(x)=x3+ax+b が x→2limx−2f(x)=5 を満たすとき、a の値はどれですか。
__RESULT__
f′(x)=3x2+a から f′(2)=12+a=5 なので a=−7 です。f(2)=8−14+b=0 から b=6 も出ます。
分母が 2 乗の場合も確かめます。
x→3lim(x−3)2f(x) が有限の値をもつために必要な条件はどれですか。
- f(3)=0 かつ f′(3)=0
- f(3)=0 だけ
- f′(3)=0 だけ
__RESULT__
f(3)=0 だけだと x−3f(x) が f′(3) に近づき、それをさらに x−3 で割ることになります。f′(3)=0 も要ります。(x−3)2 で割り切れる条件と同じです。
極限値があると書いてあれば、分子が 0 に近づくことが決まります。その一言が式を 1 本増やしてくれます。
出典
Paul Dawkins. *The Definition of the Derivative*. Paul's Online Notes, Lamar University. 3.1 Defining the Derivative. Calculus Volume 1, OpenStax. Derivative. Encyclopedia of Mathematics.
$\displaystyle\lim_{x \to 1} \frac{f(x)}{x-1} = 3$ という 1 行の条件から、$f(1) = 0$ と $f'(1) = 3$ の 2 式が出ます。分母が $0$ へ向かうので、極限値があるなら分子も $0$ に向かうしかない。残った式は微分係数の定義そのものです。$x^3 + ax + b$ なら $x^3 - 1$ に定まります。分子に定数が引かれていればそれが $f(a)$ の値、分母が $2$ 乗なら $f'(a) = 0$ も加わって $(x-a)^2$ で割り切れる条件と一致する。分子が 2 次式の場合も同じ手順で進みます。
f′(x)=3x2+a から f′(2)=12+a=5 なので a=−7 です。f(2)=8−14+b=0 から b=6 も出ます。