x4 を (x−1)2 で割った余りは 4x−3 です。
一方、y=x4 の x=1 における接線も y=4x−3。同じ式になりました。
偶然ではありません。整式を (x−a)2 で割った余りは、いつでもその点の接線の式です[1]。
余りを文字でおく
(x−a)2 は 2 次式なので、余りは 1 次以下です。px+q とおきます。
f(x)=(x−a)2Q(x)+px+q
まず x=a を代入します。(a−a)2=0 なので第 1 項が消えます。
f(a)=pa+q
次に両辺を微分します。積の部分は、(x−a)2 の微分が 2(x−a) になることを使います。
f′(x)=2(x−a)Q(x)+(x−a)2Q′(x)+p
ここに x=a を入れると、前の 2 項が消えて p だけが残ります。
f′(a)=p
p が接線の傾き、q=f(a)−af′(a) が切片です。まとめると余りはこう書けます。
f′(a)(x−a)+f(a)
これは接線の方程式そのものです。
例:割り算をせずに余りを出す
x10 を (x−1)2 で割った余りを求めます。実際に割るのは大変です。
f(1)=1、f′(x)=10x9 から f′(1)=10。余りは 10(x−1)+1=10x−9 です。
x5 を (x−1)2 で割るなら f(1)=1、f′(1)=5 で、余りは 5x−4。
次数がいくら上がっても手間が変わりません。代入を 2 回するだけです。
| 割られる式 | 割る式 | 余り | | x4 | (x−1)2 | 4x−3 |
| x5 | (x−1)2 | 5x−4 |
| x10 | (x−1)2 | 10x−9 |
xn を (x−1)2 で割った余りは nx−(n−1) です。f(1)=1、f′(1)=n から出ます。
赤い直線は曲線に触れて離れます。割り算の余りが、幾何の言葉では接線になっていました。
割り切れる条件
余りが 0 になるのは、f(a)=0 かつ f′(a)=0 のときです。
接線の式が 0 になるということは、その点で曲線が x 軸に触れているということ。x=a が重解になります。
(x−a)2 で割り切れる
f(a)=0 と f′(a)=0 の両方。x=a が重解だという条件
剰余の定理は 1 次で割った余りが f(a) になる、というものでした。2 乗で割ると、そこに f′(a) が加わります。
例:割り切れる条件から係数を出す
x3+ax+b が (x−1)2 で割り切れる a と b を求めます。
f(1)=1+a+b=0、f′(x)=3x2+a から f′(1)=3+a=0。
a=−3、b=2 です。x3−3x+2=(x−1)2(x+2) と因数分解でき、確かに割り切れます。
x4+ax2+b が (x−1)2 で割り切れる場合も見ます。f(1)=1+a+b=0、f′(1)=4+2a=0 です。
a=−2、b=1。x4−2x2+1=(x2−1)2=(x−1)2(x+1)2 になります。
余りの直線が横軸と重なる瞬間、曲線も横軸に触れています。2 つの条件が同時に満たされたところです。
例:中身の商まで出す
x3−2x2+3 を (x−2)2 で割ります。f(2)=8−8+3=3、f′(x)=3x2−4x から f′(2)=4。
余りは 4(x−2)+3=4x−5 です。
商を出すには、もとの式から余りを引いて (x−2)2 で割ります。
x3−2x2+3−(4x−5)=x3−2x2−4x+8
これを x2−4x+4 で割ると x+2。まとめると次の形になります。
x3−2x2+3=(x−2)2(x+2)+4x−5
例:余りが与えられて係数を決める
x3+ax+b を (x−2)2 で割った余りが 3x−4 になる a と b を求めます。
余りは f′(2)(x−2)+f(2) の形です。傾きを比べて f′(2)=3。
f′(x)=3x2+a なので 12+a=3 から a=−9 です。
x=2 を余りに入れると 6−4=2 なので f(2)=2。8−18+b=2 から b=12。
f(x)=x3−9x+12 を確かめます。f(2)=8−18+12=2、f′(2)=12−9=3。余りは 3(x−2)+2=3x−4 で合っています。
余りを比べるときは、x=a での値と傾きに分けて読む。
px+q の p と q を直接比べてもよいが、f(a) と f′(a) に直すほうが式が短い。
x6 を (x−1)2 で割った余りはどれですか。
__RESULT__
f(1)=1、f′(x)=6x5 から f′(1)=6 です。余りは 6(x−1)+1=6x−5 になります。x=1 を入れると 1 になり、f(1) と一致します。
割り切れる条件も確かめます。
x4+ax+b が (x+1)2 で割り切れるときの a はいくつですか。
__RESULT__
f(−1)=1−a+b=0 と f′(−1)=−4+a=0 が条件です。後者から a=4、前者から b=3。x4+4x+3=(x+1)2(x2−2x+3) になります。
割り算の余りと接線が同じものだった。剰余の定理に微分を 1 つ足すと、2 乗で割る場合まで届きます。
出典
3.3 Differentiation Rules. Calculus Volume 1, OpenStax. Derivative. Encyclopedia of Mathematics.
$x^4$ を $(x-1)^2$ で割った余りは $4x - 3$ で、これは $x = 1$ における接線の式と同じです。余りを $px + q$ とおいて代入すると $f(a) = pa + q$、両辺を微分してから代入すると $p = f'(a)$ が出るためです。だから余りは $f'(a)(x-a) + f(a)$。$x^{10}$ でも代入 2 回で $10x - 9$ と分かります。余りが $0$ になる条件は $f(a) = 0$ かつ $f'(a) = 0$ で、重解の条件そのもの。余りから係数を逆算する例も入れました。
f(1)=1、f′(x)=6x5 から f′(1)=6 です。余りは 6(x−1)+1=6x−5 になります。x=1 を入れると 1 になり、f(1) と一致します。