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相加相乗平均は双曲線と直線が接する話だった

のとき 。等号が成り立つのは のとき。

この不等式を図にすると、双曲線 と直線 が でちょうど接する、という話になります。

直線を下ろしていく

の第 1 象限の枝を描き、傾き の直線 を重ねます。

が大きいと直線は右上にあり、双曲線と 2 点で交わる。 を小さくしていくと、2 つの交点が近づきます。

でひとつに重なり、それより小さくすると直線は双曲線から離れる。交点がなくなります。

つまり がとれる値は 以上。これが相加相乗平均の不等式そのものです[1]。

判別式で言い直す

を代入すると 。分母を払って整理します。

実数解を持つ条件は 。 から なので です。

が「接する」にあたり、そこが等号成立。判別式が になる位置と、等号が成り立つ位置が一致しています。

不等式の等号が成り立つ場所は、直線が曲線に接する位置にあたります。

交わっているうちは、まだ を動かせる。動かせなくなったところが限界です。

一般の相加相乗

()で同じことをします。 を代入すると 。

判別式は で 。接点は です。

、 と読みかえれば 。相加平均と相乗平均の関係になりました。

積が一定という条件が双曲線、和を測る道具が直線。2 つの図形の位置関係が、そのまま不等式になっています。

傾きを変えると係数が入る

直線を にします。 に接する条件を出す。

を代入して 、分母を払って 。

判別式 から 。これが の最小値です。

、 なら 。実際 で、等号は のとき。 で合っています。

例:条件つきの最小

、、 のとき の最小値を求めます。

と の積は で一定。相加相乗から です。

等号は のとき。 と連立すると で 、。

図でいえば、双曲線 に直線 を近づけ、接する位置を探したことになります。

負のほうの枝

では になります。不等号の向きが逆になる。

第 3 象限の枝と、直線 が で接する。今度は の最大値が になります。

の判別式は同じ ですが、 から が付く。 です。

符号の場合分けを忘れやすいところですが、図を見れば枝が 2 本あることがすぐ分かります[2]。

楕円なら別の不等式が出る

同じ見方を楕円でやります。 に直線 を近づける。

接する条件から 。だから曲線上では が成り立ちます。

これはコーシー・シュワルツの不等式にあたる形です。双曲線からは相加相乗、楕円からは別の不等式が出てくる。

不等式を「直線が曲線に届く限界」として読む。この見方は、曲線が変わっても使えます[3]。

双曲線

積が一定。 が出る

楕円

乗の和が一定。 が出る

つまずきやすいところ

という条件を落とすと、 という結論が出せません。判別式だけでは の側も残ってしまいます。

等号成立の値を書き忘れるのも多い誤り。接点の座標を求めるところまでが答えです。

「和が一定なら積が最大」という別の話と混ざりやすいところ。こちらは直線を固定して双曲線を動かす形で、役割が入れかわっています[4]。

のとき の最小値はどれですか。

__RESULT__

で一定なので です。等号は 、つまり のとき。

図としての意味も確かめます。

相加相乗平均の等号が成り立つとき、図の上では何が起きていますか。

  • 直線が双曲線と 2 点で交わる
  • 直線が双曲線に接する
  • 直線が双曲線の漸近線と重なる
__RESULT__

判別式が になる位置なので、交点が 1 つに重なります。2 点で交わっているうちは、まだ を動かせます。

不等式を式のまま眺めると覚える対象になりますが、図にすると「直線がどこまで下りられるか」という 1 つの問いに変わります。

参考文献

Hyperbola. Wolfram MathWorld.
Daniel Perrin. *Un memento sur les coniques*. Université Paris-Saclay.
Jean-Marc Decauwert. *Coniques*. Maths en Ligne, Université Joseph Fourier, Grenoble.
*Kegelschnitte*. linalg.ch.
$x > 0$ で $x + 1/x \geq 2$。これは $xy = 1$ に $x + y = k$ を近づけ、$k = 2$ で接するという図です。代入して $x^2 - kx + 1 = 0$ の判別式が $0$ になる位置が、そのまま等号成立。傾きを変えて $px + qy = k$ にすると最小値は $2\sqrt{pq}$ になります。$x < 0$ の枝では向きが逆になること、同じ見方を楕円に当てるとコーシー・シュワルツ側の不等式が出ることまで。