糸と折り紙で二次曲線を作る……包絡線としての見方
紙に円を描き、内側に点 を打ちます。円周上の点 を にぴったり重ねて、紙を折る。
を少しずつずらしながら何十回も折ると、折り目の重なりの中に楕円が浮かび上がります[1]。折り目の 1 本 1 本が、その楕円の接線です。
折り目は垂直二等分線
と が重なるように折ると、折り目は線分 の垂直二等分線になります。
折り目の上のどの点 も、 を満たす。ここが出発点です。
楕円が出てくる理由
円の中心を 、半径を とします。折り目と半径 の交点を とする。
は半径の上にあるので 。ここに を入れます。
距離の和が一定。 と を焦点とする楕円の定義そのものです[2]。
折り目の上でこの条件を満たすのは の 1 点だけ。ほかの点では和が より大きくなるので、折り目は楕円の外側にあります。
1 点だけで触れて、あとは外にいる。それが接線です[1]。
折り目が接線になるのは、楕円と 1 点だけを共有するからです。
折り目上のほかの点では になり、楕円の外へ出ます。
点が円の外なら双曲線
を円の外に打って同じことをします。すると折り目が包むのは双曲線[1]。
今度は という引き算の形になり、差が一定という条件が出ます。
が円の内にあるか外にあるかで、楕円と双曲線が切りかわる。円周上に置けば、折り目はすべて 1 点を通ります。
円を直線に替えると放物線
円ではなく 1 本の直線 を引き、その上の点 を に重ねて折ります。
出てくるのは放物線で、 が焦点、 が準線[1]。円の半径を無限に大きくした極限、と見られます。
折り目が接線になる理由も同じです。放物線の接線は を二等分するので、 と を入れかえる折り目とぴったり重なります[3]。
式で確かめる
準線を 、焦点を とします。準線上の点を とする。
中点は 、 の向きは 。垂直二等分線の式は次のようになります。
いっぽう の点 における接線を書くと、まったく同じ式が出ます。
折り目が接線だと、計算でも確かめられました。、 なら折り目は で、接点は です。

包絡線という言葉
直線を何本も引くと、線の混みぐあいで縁ができます。この縁を、直線の族の包絡線と呼ぶ。
包絡線は族のどの直線とも接する曲線。折り紙で出てくる楕円や放物線は、折り目の族の包絡線です[1]。
法線の族が包む星形も同じ考え方。曲線が線の集まりから浮かぶ、という点で仲間です。
包絡線を式で出す
族を と書き、 で微分した式と連立します。
放物線の場合なら で、 について微分すると 。
を代入して 、つまり 。もとの放物線が戻りました。
糸とピンの作図
折り紙が接線から作るのに対して、糸を使う作り方は点から作ります。
2 本のピンに糸の輪をかけ、鉛筆で内側から張って一周させる。 が糸の長さで一定なので、描かれるのは楕円です[4]。
庭師が花壇の楕円を引くのに使う手で、定義をそのまま道具にしています。
双曲線を糸で引く
双曲線にも糸の作図があります。長い定規を で回るように留め、糸の一端を定規の先に、もう一端を に結ぶ。
糸を定規に沿わせて鉛筆で押さえると、 が「定規の長さ引く糸の長さ」で一定になります。
差が一定なので双曲線。楕円が和、双曲線が差、という定義の違いが、道具の違いにそのまま出ています。
接線を集める。曲線そのものは線の縁として見える
点を直接たどる。曲線が鉛筆の跡として出る
つまずきやすいところ
折り目は の垂直二等分線であって、 と を結ぶ直線ではありません。折るときにできる線は、結ぶ線と直交する。
円の内側に を置いたつもりで、円周の外に出てしまうと双曲線になります。位置を確かめてから折る。
包絡線は曲線であって、折り目そのものではない。どの折り目も曲線の一部にはなりません[3]。
円の内側の点 に円周上の点を重ねて折ったとき、折り目が包む曲線はどれですか。
- と円の中心を焦点とする楕円
- を中心とする円
- を焦点とする放物線
作図の道具も確かめます。
2 本のピンに糸をかけて鉛筆で張ると、どんな曲線が描けますか。
- 双曲線
- 楕円
- 放物線
が糸の長さで一定になるためです。差が一定になる仕掛けにすると双曲線が描けます。
紙を折る。糸を張る。どちらも定義を手の動きに置きかえたもので、式を書く前に曲線の性質を体で確かめられます。












PF′+PF=2a が出るので楕円です。放物線になるのは、円ではなく直線を使ったときになります。