楕円 25x2+16y2=1 の上に点 P をとり、2 つの焦点と結んで三角形を作ります。
∠F1PF2=90∘ なら、面積は 16。60∘ なら 316 です。角度だけで決まり、P の座標は要らない。
分かっているのは和と底辺
焦点までの距離を r1、r2 とすると、r1+r2=2a は分かります。F1F2=2c も分かる。
いっぽう r1 と r2 を個別に知るには、P の座標が要ります。ところが面積の式に必要なのは積だけ。
S=21r1r2sinθ
和が分かっていて積が知りたい。この形なら余弦定理が使えます。
余弦定理で積を出す
F1F2 を第 3 辺として余弦定理を書きます[1]。
4c2=r12+r22−2r1r2cosθ
r12+r22=(r1+r2)2−2r1r2=4a2−2r1r2 を代入して整理する。
4c2=4a2−2r1r2(1+cosθ)
a2−c2=b2 なので r1r2=1+cosθ2b2。積が角度だけで書けました。
半角に直す
面積の式に戻します。S=21⋅1+cosθ2b2⋅sinθ。
1+cosθsinθ=tan2θ という半角の関係を使うと、形がそろいます。
S=b2tan2θ
a も c も消えました。残ったのは短半軸の b と、見込む角の半分だけ。
a と c が消えるのは、a2−c2 がまとめて b2 になるからです。
楕円の形を決める 3 つの量のうち、面積に効くのは b だけ。長軸の長さは関係しません。
例:a=5、b=4 で計算する
c2=25−16=9 なので焦点は (±3,0)。b2=16 です。
θ=90∘ なら tan45∘=1 で S=16。積のほうも r1r2=12×16=32 で、21×32=16 と合います。
θ=60∘ なら tan30∘=31 で S=316≈9.24。
θ=120∘ では tan60∘=3 で S=163≈27.7。角が開くほど面積が増えます。
面積が最大になる位置
底辺 F1F2=2c は動かない。高さは P の y 座標の絶対値なので、S=c∣y∣ とも書けます。
∣y∣ の最大は b。つまり P が短軸の端に来たときが最大で、面積は bc です。
tan2θ は θ について増加するので、面積が最大なら角も最大。2 つの言い方が同じ点を指しています。
短軸の端では tan2θ=bc。b2×bc=bc で、たしかに一致しました。
内接円の半径
三角形の面積は、内接円の半径 r と周の半分 s を使って S=rs とも書けます。
周は r1+r2+2c=2a+2c なので s=a+c。半径は次の形になります。
r=a+cb2tan(θ/2)
a=5、b=4、c=3 で θ=90∘ なら r=816=2。短軸の端では S=12、s=8 で r=1.5 になります。
周の長さが P によらず 2a+2c で一定。ここが効きどころです。
双曲線でも同じ手が通る
双曲線では ∣r1−r2∣=2a が一定です[2]。余弦定理の使い方は変わりません。
4c2=(r1−r2)2+2r1r2−2r1r2cosθ
c2−a2=b2 を使うと r1r2=1−cosθ2b2。分母の符号だけが入れかわりました。
S=b2⋅1−cosθsinθ=tan(θ/2)b2
楕円が tan で、双曲線は tan の逆数。角が小さいほど面積が大きくなり、増減が逆になります。
双曲線
面積は tan(θ/2)b2。角が閉じるほど大きい
例:双曲線で計算する
9x2−16y2=1 をとります。a=3、b=4、c2=9+16=25 で c=5。
θ=90∘ なら tan45∘16=16。楕円のときと同じ値になりました。
tan45∘=1 なので、逆数をとっても変わらないため。θ=90∘ は 2 つの式が出会う角度です。
θ=60∘ では tan30∘16=163。楕円では 316 だったので、3 倍の開きがあります。
つまずきやすいところ
θ は P での角であって、焦点での角ではない。どの頂点の角かをまちがえると、余弦定理の形も変わります。
楕円で r1r2 を出すとき、(r1+r2)2 の展開を忘れて r12+r22=4a2 としてしまう誤りも多い。−2r1r2 が抜けます。
双曲線では r1+r2 が一定ではありません。一定なのは差のほうで、和は P ごとに変わります[4]。
16x2+9y2=1 の上の点と 2 焦点が作る三角形で、見込む角が 60∘ のときの面積はどれですか。
__RESULT__
b2=9 なので 9tan30∘=39=33 です。b ではなく a を使うと 316 になってしまいます。
双曲線の側も確かめます。
4x2−5y2=1 の焦点三角形で、見込む角が 90∘ のときの面積はどれですか。
__RESULT__
b2=5、tan45∘=1 なので 15=5 です。4 は a2、9 は c2 にあたります。
和か差のどちらが一定かを押さえ、余弦定理で積に持ちこむ。座標を置かずに答えが出る、という形の問題です[3]。
参考文献
Ellipse. Wolfram MathWorld. Hyperbola. Wolfram MathWorld. Daniel Perrin. *Un memento sur les coniques*. Université Paris-Saclay.
楕円上の点から 2 焦点を見込む角が $\theta$ なら、三角形の面積は $b^2\tan(\theta/2)$。長軸の長さも点の座標も出てきません。$r_1 + r_2 = 2a$ と余弦定理を組み合わせると、$r_1r_2$ が角度だけで書けるためです。双曲線では差が一定なので分母の符号が入れかわり、$b^2/\tan(\theta/2)$ になる。面積が最大になるのは短軸の端で値は $bc$、内接円の半径が $b^2\tan(\theta/2)/(a+c)$ になる話まで。
b2=9 なので 9tan30∘=39=33 です。b ではなく a を使うと 316 になってしまいます。