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円に戻すと見える楕円の面積と最大・最小の問題

楕円 に内接する長方形で、面積が最大になるのは です。接線と座標軸が作る三角形の最小面積は 。

どちらも という同じ形をしています。楕円を円に戻して考えると、その理由が見えてくる。

楕円は円を縦に縮めた形

円 の各点を、 座標だけ 倍します。 が へ移る変換です。

移った先は 。円が楕円になりました[1]。

この変換は 1 次変換なので、直線は直線に、線分の中点は中点に写ります。接することも保たれる。円の接線は、楕円の接線に写ります[1]。

そして面積は、どの図形でも一律に 倍になります。ここが最大最小の問題で効いてくる。

面積が一律に倍されるので、どの図形がいちばん大きいかの順位は変わらない。

円で最大だった図形は、写した先でも最大。円の問題として解いて、最後に を掛ければ終わります。

変換で保たれないもの

長さと角度は保たれません。縦だけ縮めるので、斜めの線分は縮み方が向きによって違う。

だから「長さの最大」や「直角になる位置」を円で考えて写す、という使い方はできません。使えるのは面積と、面積どうしの比だけです。

楕円の面積

円の面積 に を掛けると 。積分を使わずに出せます[3]。

なら で円に戻る。式の形も自然です。

例:内接する長方形の面積の最大

円 に内接する長方形で、面積が最大になるのは正方形。対角線が直径 なので、面積は です[4]。

これを 倍して、楕円に内接する長方形の最大面積は になります。

媒介変数でも確かめられます。第 1 象限の頂点を とすると、長方形は縦横がその 2 倍。

の最大が なので 。等号は 、つまり頂点が のときです。

円では正方形だった図形が、楕円では正方形になりません。長さは保たれないので、当然の結果になる。

例:内接する三角形の面積の最大

円に内接する三角形でいちばん大きいのは正三角形。1 辺が で、面積は です。

楕円に写すと 。この値が、楕円に内接する三角形の面積の最大になります[1]。

写った先の三角形は正三角形ではありません。それでも面積は最大のまま。順位が変わらないという性質だけを使っています。

接線と座標軸が作る三角形

楕円上の点 における接線は、次の形に書けます[1]。

とすると 、 とすると 。この 2 点と原点で三角形ができます。

なので 。最小値は で、やはり のときです。

内接長方形は最大が 、この三角形は最小が 。どちらも同じ で起こる。

接線が切りとられる長さの最小

同じ接線で、今度は 2 つの切片を結ぶ線分の長さを見ます。三平方の定理から次のようになります。

と置くと 。コーシー・シュワルツの不等式を当てます。

左の第 2 因子は なので 、つまり です。

最小値は 。等号は 、すなわち のときに成り立ちます。

面積のほうは で最小でしたが、長さは違う角度で最小になる。長さが変換で保たれない、という話とつながっています。

例:楕円と直線の距離

上の点と、直線 との距離を考えます。

直線に平行な接線を探すと早い。傾き の接線は と書けます[1]。

、、 を入れると 。接線は と です。

最大が 、最小が 。接点が最大と最小を与える点になります。

例: の最大

の上で が最大になる値を求めます。

と置くと 。合成すると です。

最大は 。直線 を動かして楕円に接するところを探す、という見方と同じ答えになります。

外側から囲む長方形

楕円に外接する長方形を考えます。4 辺がすべて接線で、隣り合う辺が直交している形。

軸に平行に置けば で面積は 。これが最小になります。

傾けたときが最大で、面積は 。相加相乗の関係から となり、順序が合います。

4 つの頂点は、直交する 2 本の接線の交点です。この点は中心から の距離にある円の上に並びます[2]。

対角線の長さが で固定される、ということ。長方形の面積は対角線が直交するときに最大なので、 が上限になります。

内側から詰める長方形

面積は最大で 。頂点は の位置

外側から囲む長方形

面積は最小で 。辺が軸に平行なとき

まちがえやすい点

円に戻す変換で解けるのは面積の問題だけです。長さや角度をそのまま持ち帰ると答えが合わない。

内接長方形を「正方形が最大」と思いこむのもよくある誤り。楕円では ですが、辺の長さは と で違います。

の形に持ちこむ計算では、 の動く範囲を確かめる。第 1 象限に限るなら で、 は まで動きます。

に内接する長方形の面積の最大値はどれですか。

__RESULT__

、 なので です。 は 、 は で外接長方形の面積にあたります。

接線の側も確かめます。

の接線が座標軸から切りとる線分の長さの最小値はどれですか。

__RESULT__

、 なので です。 は で、これは接線の切片間の長さの最小ではありません。

面積なら円に戻す。長さなら媒介変数か不等式に持ちこむ。道具を選び分ければ、この手の問題はほとんど同じ形に収まります。

参考文献

Jean-Marc Decauwert. *Coniques*. Maths en Ligne, Université Joseph Fourier, Grenoble.
Cercle orthoptique. Bibm@th.
Ellipse. Wolfram MathWorld.
The Ellipse. Precalculus 2e, OpenStax.
楕円に内接する長方形の面積は最大で $2ab$、接線と座標軸が作る三角形の面積は最小で $ab$。どちらも $\theta = 45^\circ$ で起こります。円を縦に $b/a$ 倍すると楕円になり、この変換は面積を一律に $b/a$ 倍するので、順位が変わらない。だから円の問題として解いて最後に掛ければ済みます。ただし長さと角度は保たれないので、接線が切りとられる長さの最小 $a+b$ はコーシー・シュワルツで別に出す。外接長方形の頂点が 1 つの円に並ぶ話まで。