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log x を含む実積分:鍵穴では log z を 2 乗してかける

被積分関数は の前後で符号が変わり、 から までが 、 から までが になる。 はカタラン定数で、初等関数では書けない値です[1]。

という値は、初等関数では書けない値どうしの打ち消し合いから来ています。

対数の入った積分は、鍵穴の経路をそのまま使っても求められません。切れ目の上と下で の差が定数になり、欲しい項が引き算で消えてしまうため[2]。そこで を 2 乗してからかけます。

を に置きかえる

複素解析を持ち出す前に、置換で確かめます。

とすると 、、。区間の向きもいれかわる。

自分自身の 倍に等しいため、値は に決まる。収束さえ言えれば、複素解析は要りません。

に直すと奇関数になる

と置くと、この打ち消し合いが目で見える形になります。 で、分母は 。

分母と分子を で割ると、分母が に変わる。

は偶関数で、 は奇関数。積は奇関数だから、 軸の左右で符号だけが逆の同じ形になります。

の折り返しが、もとの にあたります。 になる条件も、この形で言える。 が偶関数なら、 をかけた積分は です。

は になり偶関数。 も で偶関数。こちらの積分も になる。

分母を 2 乗した と、定数を入れた は偶関数になりません。この 2 つの値は、あとの節で計算します。

鍵穴に を 1 乗でかける

一般の に向けて、複素平面での計算を組み立てる。まず素直な形が通らないことを見ておく。

切れ目を正の実軸にとった鍵穴で、 を 1 周させます。切れ目のすぐ上では 、すぐ下では 。

の項どうしが引き算で消え、残るのは だけの積分です[2]。

消えてしまう形にも使い道があります。この式は、有理関数を から まで積分する公式そのもの[3]。偶関数でなくても半直線のまま扱えます。

2 乗すると が残る

そこで をかけます。上下の差を展開する。

第 1 項に が入っています。第 2 項は だけの積分で、1 乗の式から既知として片づけられる。

左辺は留数で計算できます。右辺の第 2 項が分かっていれば、未知は第 1 項だけ[3]。

1 周で の虚部が 増えます。1 乗では差が定数の になり、2 乗では交差項として が残る。次数を 1 つ上げるたびに、1 つ下の次数の値を使って新しい値が決まります。

使える条件は、 が有理関数で、 の次数が より 2 以上高く、 に極を持たないことです[3]。

大きい円では が で落ち、周の長さと をかけ合わせても へ向かう。小さい円も で消えます。

鍵穴で を計算する

で実際に回します。極は の 2 つで、 ととった分枝では 、 になる。

どちらも 1 位の極だから、留数は分母を微分した で割れば求められる。 では 、 では です。

和は で、 をかけると左辺は 。

右辺に要る は から と分かるため、第 2 項は になります。

両辺から を引くと、積分は 。置換で計算した値と一致する。

を と読むと、この計算は合いません。分枝を と決めた以上、 の偏角は です。

切れ目を負の虚軸へ向ける

切れ目を置く場所は、正の実軸に限らない。 と決めると切れ目は負の虚軸へ移り、上半平面の半円だけで経路が閉じる[4]。囲む極は の 1 つだけ。

負の実軸の上では偏角が なので、 になります。 をこの経路で積分すると、直線 2 本の寄与が次の形にまとまる。

右辺は で です。左辺の第 2 項も 。差し引きで第 1 項が に決まります。

この経路では を 1 乗のままかけても対数が消えません。負の実軸で が足されるだけなので、実部と虚部を分ければ 2 つの積分が同時に決まる。

の積分まで上げる

同じ経路で を回すと、次数が 1 つ上の値も決まります。負の実軸の上では になる。

右辺は で です。左辺の第 2 項は前の節の 、第 3 項は 。

両辺を 2 で割ると になります[4]。次数が 1 つ下の の積分が だったため、値を決めたのは の項だけ。

分母に定数を入れる

として一般化すると、 になった理由がはっきりします。

と置くと に分かれます。

の項は との積として残り、 の項が前の節の になる。

で右辺が 、 で負、 で正です。 の形に直すと で、偶関数になるのは のときだけ。

を大きくすると重みが の大きい側へ移り、 が正の領域を強く数えるようになる。ただし分母全体も同時に大きくなるため、 での が上限。

で微分して分母の 2 乗へ

一般形は、分母が 2 乗の積分ともつながっている。両辺を で微分します。

を入れると、左辺は 、右辺は 。

にならないのは、 が偶関数でないためです。 は より速く落ちるため、 が負である 側の重みが残り、値も負になる。

まちがえやすい点

分枝を決めたら、極の偏角もその範囲で読みます。 をとったなら は です。
切れ目の上に極を置きません。 で正の実軸を切れるのは、極が にあるためです。
既知として使う を先に確かめます。この値が違うと 側の答えも狂う。
の落ち方が より遅いと、 をかけたぶん大きい円の寄与が消えません。

どれも分枝の決め方から来ています。切れ目をどこに置き、偏角をどの範囲で読むかを先に書いてから、計算に入る。

参考文献

Catalan's constant. Wolfram MathWorld.
Complex Methods: Example Sheet 1. University of Cambridge, Mathematical Tripos IB.
Michael Eisermann. Integralsätze für komplexe Funktionen, Höhere Mathematik 3. Universität Stuttgart.
Gérald Tenenbaum. Analyse complexe, notes de cours. Université de Lorraine.
$\int_0^{\infty}\log x/(1+x^{2})\,dx$ は $0$ です。$x = e^{u}$ と置くと被積分関数が $u/(2\cosh u)$ という奇関数になり、左右の面積が同じで符号だけ逆と分かる。片側だけならカタラン定数 $G$ が残り、初等関数では書けない値どうしが足すと消えます。鍵穴に $\log z$ を 1 乗でかけると上下の差が $-2\pi i$ の定数になって対数が落ちるため、2 乗してかけ、交差項として $\log$ を残す。切れ目を負の虚軸へ向けて上半平面の半円で済ませる道、同じ経路で $(\log x)^{2}$ の積分が $\pi^{3}/8$ に決まる仕組み、分母に定数 $a$ を入れた一般形を $a$ で微分して $-\pi/4$ を取り出すところまで。