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交代級数の和はどこから来るのか?π csc πz が符号を運ぶ

符号が交互に付いただけで、値がちょうど半分になりました。符号なしの和は 。

この 分の は偶然ではありません。留数で計算すると、 を に置きかえるだけで両方が出ます[1]。符号を運ぶ役目を、重みの側が引き受ける。

留数が交互に になる

の極は、 と同じくすべての整数です。違うのは留数のほう。

の近くで なので、 の留数は になります。

のときは分子の が分母の と打ち消し合って でした。 には分子がないので、符号がそのまま残る。

極の位置は変わらず、留数の符号だけが交互に入れかわります。この 箇所の違いで、拾える級数が交代級数になる。

正方形の上での大きさ

と同じ正方形 を使います。頂点は 。

上下の辺、つまり では、 でおさえられます。 と の差が下から効く。

左右の辺、つまり では です[1]。

どちらも に依存しません。 とまったく同じ形の評価で、証明もそのまま通ります。

が に落ち着くのに対し、 は実軸から離れると へ向かいます。 のほうが上下の辺で有利。

この差のおかげで、 の減衰が 程度しかない場合でも、 側は通ることがあります。

交代和の定理

条件は のときと同じで、()です[1]。

証明の流れは変わりません。 上の積分が へ落ち、 種類の留数の和が符号違いで等しくなる。

を出す

をとります。原点は の極でもあるので、その項を外して留数側で数える。

なので、次のようになります。

の展開と見比べると、 の係数の符号が逆で、大きさは 倍です。 に対して 。

で割ると の係数は 。総和定理から次を得ます。

左辺は なので、符号を直して 。冒頭の値です。

半分になる理由

と の比が になったのは、偶数の項を 回引くからです。

偶数の項だけ集めると 。これを 倍して引けば交代和になります。

なら で、確かに半分。 なら で、 です。

では が発散するのに、 が掛かって という有限値が残る。 の形が意味を持つ、めずらしい場所です。

収束の速さが違う

同じ を足しているのに、交代させると収束がずっと速くなります。

交代級数は目標をまたぎながら寄るので、次の 項が誤差の上界になります。片側から近づく和には、この手軽な目安がない。

数値計算では交代形に書きかえてから足す、という手が使えます。 を計算して で割れば が出る。

分母に定数を入れる

をとると、双曲線正弦が出ます。

側では が出たところに が来ます。 から出る形。

を大きくすると、右辺は の速さで消えます。 側が でゆっくり落ちたのと対照的。

つの曲線の離れ方が、双曲線余接と双曲線余割の違いです。 は に、 は に向かう。

ライプニッツの級数

をとると、減衰が しかないので の条件から外れます。それでも の側では、対称に足すという条件を付ければ通る。

の極 での留数は です。

を入れます。左辺の項は で、 の側と の側が同じ値になる。

ライプニッツの級数です。円周率の古典的な表示が、重みを にした総和定理の 例として出てきます。

と の使い分け

符号が交互に付く和なら 、付かないなら
展開係数は のほうが符号が正で、 の 倍の大きさ
実軸から離れたところでは が へ、 が へ向かう
減衰が弱い でも なら通ることがあります。対称に足す条件は要ります
が偶関数なら と が同じ符号を持つので、和が 倍で残ります
が奇関数だと打ち消し合い、 のときと同じく中身のない式になります

の展開が と符号違いで 倍になるところが、 と の比 の正体です。同じ事実を、展開係数の側から見るか、偶数項を引く操作の側から見るか。

参考

Noah A. Hughes. Infinite Series and the Residue Theorem. Appalachian State University, 2013.
Jerry Shurman. Contour Integrals, Math 311 Complex Analysis. Reed College.
Dirichlet eta function, Digital Library of Mathematical Functions §25.2. NIST.
Leibniz series. OEIS Foundation.
符号を交互に付けるだけで、$1/n^2$ の和は $\pi^2/6$ から $\pi^2/12$ へ半分になります。留数の側では、重みを $\pi\cot\pi z$ から $\pi\csc\pi z$ へ置きかえるだけ。極の位置は同じで、留数が $1$ から $(-1)^n$ に変わるためです。展開係数が $\cot$ と符号違いで $2$ 倍という事実が、そのまま $\eta(s) = (1-2^{1-s})\zeta(s)$ の正体になる。実軸から離れると $\csc$ は $0$ へ向かうので評価が緩く、減衰の弱い $f$ でも通ります。ライプニッツの級数、$\pi/(a\sinh\pi a)$、収束の速さの違いまで。