いろは3010814 views
りんご209490 views
高校倫理1440106 views
高校化学2924392 views
数学講師2886227 views
高校物理160203 views
中学英語811710 views
世界の国564520 views
小学理科719870 views
中学理科1630641 views
Help
Tools
NewsSpreadsheetCalendarBookkeepingSlidesTier ListPen ToolIllustrationCrayonWatercolorPixel ArtASCII ArtPerspectiveEndless StairsGraphMind MapER DiagramFamily TreeMemeCurved TextImage EditorMosaicRetro FilterPencil SketchSwirl EffectOCR/HighlighterMakeup EditorFaviconVideo TrimmerScrolling VideoVideo TitleColor PickerColor ExtractorBonfireFireworksWater RippleWater SplashBreaking GlassWood GrainMarble TextureCSS ButtonIcon MakerBar ChartGrouped Bar ChartStacked Bar ChartPie ChartLine ChartArea ChartStacked Area ChartScatter Plot3D Bar Chart3D Pie ChartBar Chart RaceBubble ChartPopulation PyramidPictogramEarningsCandlestick ChartInvestment RiskMortgage SimulatorCalculatorMatrix CalculatorFunction GraphPolynomial ExpansionVenn DiagramField VisualizerRubik's Cube Group TheoryTraveling SalesmanVoronoi and DelaunayFractalColumn ArithmeticDraw Math FiguresArithmetic AnimationArithmetic Word ProblemsCounting with Tree DiagramsCube NetsRolling DiceCross SectionsMotion PathMechanicsWavesElectromagnetic WavesLight and LensesThermodynamicsHow Semiconductors WorkMolecular StructuresAtomic OrbitalsElectrochemical CellsChemical EquilibriumCrystal LatticesBuffer pHPeriodic TableComplex IonsDNA Double HelixCell DivisionMembrane ChannelsNerve ImpulseMuscle ContractionHormones and HomeostasisRock ClassificationWeatherConstellationsSolar and Lunar Eclipses3D ModelingFloor PlanSeismic StructuresIntersection TurnMaglevCooking AnimationOrigamiLive Viewer CountGeoJSON MapRailway MapPopulation MapCrime MapLand Price MapSchool MapShrine and Castle MapHouse of Representatives MapWord MapSolitaireReversiHakoiri MusumeChessHamburgerRippleSlide Puzzle MakerNeon PinballNovel MakerJapanese Typing PracticePiano Score EditorMusic TheoryShogi StrategyPiano Rhythm Game

English

sin x/x の積分はなぜ π/2 になるのか?ディリクレ積分と原点をよける半円

です。ディリクレ積分と呼ばれます。

実数の範囲では手が出ません。 の原始関数は初等関数で書けず、部分積分も置換も効かない。値だけがきれいな に決まるのに、そこへ届く道が実軸の上にない[1]

複素平面へ出ると届きます。原点を小さくよけた半円を使い、消える部分と残る部分に分ける。残った部分が求めたい積分です。

のまま延ばすと発散する

まず、素直に を上半平面へ延ばして半円で閉じる、という道が塞がっていることを見ます。

とおくと です。上半平面では なので、後ろの項が で膨らむ。

半径 の半円のてっぺんでは ですから、 はおよそ になります。分母の で割っても を大きくすると弧の寄与が爆発する。

実軸の上でだけ有界だという性質は、複素平面へ持ち上げた瞬間に消えます。ここが最初の関門。

に置き換える

そこで に置き換え、最後に虚部をとります。

上半平面では なので、今度は膨らみません。 が大きいところではむしろ指数的に小さくなる。

替えてよいのは、虚部が求めたいものと一致するからです。 をそのまま使うと の側が残るので、同じ理由で失敗します[2]

替えたぶんの代償もあります。 は原点で に伸びるのに、 は原点で発散する。もとの積分にはなかった極が、途中で現れてしまいました。

原点をよけた半円

極が実軸の上に乗ってしまったので、経路をその点でくぼませます。半径 の小さい半円で原点を上からまたぎ、外側は半径 の大きい半円で閉じる。

小さい半円を上へ張り出させたので、原点は経路の内側に入りません。この向きのとり方が、あとで符号を決めます。

経路は 4 本です。実軸の 、原点をまたぐ小さい弧、実軸の 、外側の大きい弧。

内側に極はない

の特異点は ただ 1 つで、それを外へ追い出しました。囲まれた領域の中に極がないので、周積分は になります。

留数定理の右辺が空和になっただけの、いちばん素朴な使い方です。値が だと分かっているので、4 本の和が という等式が手に入る。

あとは、消える部分を消し、残る部分を計算するだけ。

大きい弧はジョルダンの補題で消える

外の弧では です。 の近くを除けば、 とともに指数的に小さくなる。

端の近くだけが残りますが、そこは弧の長さが短い。両方を合わせると、全体としてきちんと へ落ちます[2]

右辺の評価には )を使います[6]。ジョルダンの不等式と呼ばれ、 の弧を弦で下からおさえる形。

を大きくすると、山は両端の細い柱だけになります。柱の高さは で頭打ちですが、幅が の程度まで細る。

ここで効いているのは の減衰だけで、 の側は へ行きさえすればよい。分母の次数が しかなくても通ります。そこがこの補題の値打ち。

小さい弧は半周ぶんだけ残る

内側の弧は消えません。半径を小さくすると、留数の定数倍という決まった値へ寄っていきます。

のまわりでローラン展開すると、 です。 の項だけが半径によらない量を出し、残りは とともに消える。

角度 の弧なら 倍です[1]。1 周が 倍で、半周なら半分。ここでは上向きにまたぐぶん時計回りなので、符号が負になります。

この比例は 1 位の極でだけ成り立ちます。2 位以上だと が残って極限そのものがない。

角度と寄与がまっすぐ比例するところが、この定理の使いやすさです。 円なら 円なら

4 本を足す

材料がそろいました。周積分が で、外の弧が 、内の弧が です。

したがって主値は です[5]。実部と虚部に分けます。

のほうは奇関数なので、主値が になるのは見た目どおり。 は偶関数なので、半分にして が出ます。

特異点は途中で生まれ、途中で消える

もとの は原点で困りません。 ですから、割ると で、値は に伸びる。

除ける特異点しか持たない関数を、わざわざ極を持つ関数へ置き換え、その極の寄与を最後に回収した。回り道に見えますが、これが唯一つながる道です。

の主値が で、虚部だけが生き残る。実部の発散は、左右対称に近づけるという約束の中で打ち消し合っています。

条件収束であって絶対収束ではない

の積分は収束しますが、絶対値をとると発散します。

での の積分は です。分母は高々 なので、区間ごとの寄与は 以上。足すと調和級数になり、発散する。

つまり正と負が交互に打ち消し合って、はじめて有限の値が出ています。順番を入れかえてよい積分ではありません。

途中までの積分は と書かれ、正弦積分と呼ばれます[3] で最大の をとり、そこから振れ幅を狭めながら へ寄っていく。

この行き過ぎが、フーリエ級数のギブス現象で見える突き抜けの正体です。角の立った波形は、項をどれだけ増やしても 倍のところまで行ってしまう。跳びの高さに対して約 です。

係数を変えると符号だけが変わる

を実数として を積分すると、 の大きさによりません。

なら と置換するだけで、 が変わらないので値も変わらない。 なら が奇関数なので符号が裏返ります。

に近づけても のままで、 ちょうどでいきなり に落ちる。値が飛ぶこの性質から、ディリクレの不連続因子という名前が付いています。

複素解析の側から見ると、 の符号によって が減衰する半平面が上下入れかわり、閉じる側が変わっているだけ。飛びの正体は経路のとり方です。

2 乗しても値は変わらない

見た目にそぐわない一致があります。

こちらは絶対収束するので、扱いはずっと楽。部分積分で に落ち、置換すればもとの積分に戻る。

3 乗になると で、一致は途切れます。偶然に見えて、 が矩形関数のフーリエ変換であることから来ている[4]。2 乗の積分はパーセバルの等式で矩形の面積に移り、その面積がもとの積分と同じ値になる。

つまずきやすいところ

のまま延ばすと弧が消えません。 に直します
小さい弧の寄与は 倍ではなく、半周ぶんの 倍です
よけ方を上下どちらにするかで符号が変わります。先に決めてから計算します
極が 2 位以上だと、小さい弧の極限そのものが存在しません
の積分は主値でしか存在しません。 のほうは通常の意味で収束します
絶対収束ではないので、積分と和の順序交換には根拠が要ります
のときは下半平面で閉じます。上のままだと弧が消えない

参考

Jeremy Orloff. Definite Integrals Using the Residue Theorem, 18.04 Complex Variables with Applications. MIT OpenCourseWare, 2018.
Andreas Gathmann. Berechnung reeller Integrale mit dem Residuensatz, Funktionentheorie, Kapitel 12. RPTU Kaiserslautern-Landau, 2021.
Sine integral, Digital Library of Mathematical Functions §6.2. NIST.
Jerry Shurman. Contour Integrals, Math 311 Complex Analysis. Reed College.
Sokhotskii formulas. Encyclopedia of Mathematics.
Jiajia Li, Xuefeng Mei. A Generalization of the Fresnel Integral. Pure Mathematics 6(3), 2016.
原始関数が初等関数で書けないため、実軸の上に道がありません。$\sin x$ を $e^{ix}$ に置き換え、原点を小さくよけた半円で閉じます。外の弧はジョルダンの補題で消え、内の弧は留数の半周ぶんだけを残す。主値が $\pi i$ になり、虚部をとると $\pi$。絶対値をとると発散する条件収束であること、途中までの積分が $x = \pi$ で最大になりギブス現象につながること、係数の符号だけで値が飛ぶ不連続因子、2 乗しても $\pi/2$ のままという一致まで。