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三角関数の和を一気に求める - 和積で作る打ち消し合い

は です。179 個を足したわけではありません。

三角関数の和には、公式で一気に片づける手があります。

見た目は複雑ですが、作り方は素朴です。全体に を掛けるだけ。

掛けた瞬間、項どうしが打ち消し合って両端しか残りません。

2sin(θ/2) を掛ける

に を掛けます。積和の公式を当てる[1]。

で、、。

右辺が差の形になりました。 番目の後ろの項と、 番目の前の項が同じ式です。

では 、 では 。

が符号を変えて 2 回現れ、足すと消えます。

これが 個ぶん続くので、生き残るのは最初と最後だけ。望遠鏡が縮むように、中身が畳まれます[2]。

canvas: 式は呼び出しにそのまま書いてください。この引数は焼けません -> drawMath(… fsLabel[index][0] …)

和積でもう一段きれいにする

を積の形に直します。

を当てます[1]。

平均は 、差の半分は です。

は奇関数なので、。

両辺を で割れば、冒頭の公式が出ます。

、つまり が の整数倍のときは割れません。そのときは各項が なので、和も です。

例:n = 3、θ = π/3

素直に足してみます。。

公式でも出します。、、。

一致しました。項が 3 つなら手で足すほうが速いですが、 ではそうもいきません。

冒頭の 179 項を出す

、 とします。、、。

なので、これは です。

なので、和は 。

個の値を 1 つずつ足す代わりに、 を 1 回計算するだけで済みました。

がうまく効いています。 が奇数で という設定は、そこを狙ったものです。

和が 0 になる場合

とすると、 です。

分子が なので、和も になります。

図で見ると当たり前です。単位円を 等分した点の 座標を全部足しているので、上下で釣り合います。

のほうを足しても になります。正 角形の重心が中心にある、という事実の言い換えです。

等分点の座標をすべて足すと になるのは、図形の対称性 から出ます。

全体を 回転しても点の集合が変わらないので、和のベクトルも回転して変わらない。そんなベクトルは しかありません。

cos の和も同じ手で出る

に を掛けます。今度は の積和を使う。

やはり差の形です。足し合わせると、途中が消えて両端だけ残ります。

のときと比べると、分子の後ろが から に変わっただけです。

で確かめます。。合っています。

まちがえやすい点

掛ける相手を とする誤りが多い。 で、半分の角です。

半分でないと差の形が隣とつながりません。 という刻みが要ります。

最後に で割り忘れる形もよく出ます。掛けたものは戻します。

が の整数倍の場合を確かめずに公式を当てる誤りもあります。分母が になります。

の和で分子の後ろを のままにする形も見ます。 の和は 、 の和は です。

の値はどれですか。

__RESULT__

、 です。素直に足すと になります。公式では で、これも同じ値です。

和が消える場合も確かめます。

の値はどれですか。

__RESULT__

、 なので です。 が分子に来るので、和は になります。単位円を 5 等分した点の 座標を全部足した形で、上下が釣り合っています。

を掛けて差に変え、畳んで、割り戻す。三角関数の和は、この 3 手で閉じた形になります。

参考文献

Sum-to-Product and Product-to-Sum Formulas. Algebra and Trigonometry 2e, OpenStax(積和と和積).
Po-Shen Loh. Telescoping Sums and Products, Carnegie Mellon University( を掛けて積和で畳む手順).
$\sin 1^\circ + \sin 2^\circ + \cdots + \sin 179^\circ$ は $114.5887\cdots$ ですが、179 個を足したわけではありません。全体に $2\sin\dfrac{\theta}{2}$ を掛けると、積和で各項が差の形に変わり、隣どうしが打ち消し合って両端しか残らない。あとは和積でまとめて割り戻すだけです。答えは $\dfrac{\sin\frac{n\theta}{2}\sin\frac{(n+1)\theta}{2}}{\sin\frac{\theta}{2}}$。$\theta = \dfrac{2\pi}{n}$ で和が $0$ になるのは、単位円の $n$ 等分点の座標を全部足した形だから。$\cos$ の和と、掛ける相手が半分の角でなければならない理由まで。