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分数の形をした三角関数は、直線の傾きとして読む

の最大値と最小値を求めます。

分母にも分子にも三角関数が入っていて、合成も置きかえも効きません。

図で見ると一瞬で片づきます。この式は、点 と単位円上の点を結ぶ直線の傾きです。

と を結ぶ直線の傾きは 。その形になっています。

傾きが最大や最小になるのは、直線が円に接するとき。あとは接する条件を書くだけです。

定点と円周上の点

単位円上の点は です。 が動けば、点は円周をひと回りします[1]。

定点 は円の外にあります。原点からの距離が だからです。

外の点から円を眺めると、結ぶ直線の傾きには上限と下限があります。

いちばん急な線と、いちばんゆるい線。どちらも円に接する位置で実現します。

接する 2 本のあいだの傾きは、すべて実現できます。円周が連続しているためです。

接する条件で解く

傾き で を通る直線を書きます。

、整理して 。

この直線が単位円に接するのは、原点からの距離が のときです。

両辺を 2 乗します。 から 。

整理して 。解の公式を当てます。

最大値は 、最小値は です。

式だけで解く道

図を使わずに解くこともできます。答えは同じ 2 次方程式に着きます。

と分母を払います。

と を左に集めると 。

左辺は 1 次で混ざった形なので、合成できます[2]。振幅は 。

の値は から なので、右辺の絶対値が振幅を超えたら解がありません。

が、 が存在するための条件です。

2 乗して 、つまり 。

図の道で出た方程式と、同じ式が現れました。不等号になっているぶん、範囲がそのまま読めます。

図で解く

定点と円周上の点を結ぶ直線の傾きと見る。接する条件を距離で書く

式で解く

分母を払って合成し、 の値域に収まる条件を書く。 の 2 次不等式になる

どちらの道も同じ形へ

2 つの道が同じ 2 次式に着くのは、偶然ではありません。

図の道では「接する」、式の道では「解が存在する」。どちらも境目を求めています。

接する位置が、 が存在できる限界です。それを超えると直線は円と交わらず、対応する もなくなる。

言葉が違うだけで、見ているものは同じ。両方の道を知っていると検算になります。

分数型の最大最小は、存在条件の問題 に読み替えられます。

「 の値をとれるか」は「その に対して があるか」と同じこと。合成して値域と比べるのが、その言い換えです。

定点が円の内側にある場合

なら定点は で、これも円の外です。

では はどうでしょう。定点は で、円周上にあります。

このとき定点自身が円の上に乗るので、傾きに上限がありません。分母が になる があるためです。

では分母も分子も になり、式が定義されない点も出てきます。

定点の位置を先に確かめる。外なら接線が 2 本引けて答えが有限、円周上や内側なら別の扱いが要ります。

例:もう 1 問

を解きます。定点は で、距離は 。外です。

式の道でいきます。。

条件は 。2 乗して 。

、つまり 。

です。最小 、最大 。

は 、つまり のとき。分子が になる位置です。

まちがえやすい点

分母を払ったあと、 の係数の符号を落とす誤りが多い。 で、マイナスが付きます。

合成の振幅を ではなく とする誤りもよく出ます。三平方の定理で合わせます。

不等号の向きを 2 乗のときに落とす形も見ます。両辺が 以上なので、この場合は向きが保たれます。

図の道では、定点の座標の符号をまちがえやすい。 なら定点は です。

分母が になる があるかどうかも先に確かめます。あると式が定義されない点が出ます。

のとる値の範囲はどれですか。

__RESULT__

分母を払うと です。合成の振幅が なので 、2 乗して 、 になります。 です。

図の道でも確かめます。

を図で読むとき、定点はどこですか。

__RESULT__

と書き直すと、傾きの形 になります。引かれている値が定点の座標なので です。分母が 座標、分子が 座標に対応します。

分数の形が出たら、傾きだと思う。接する条件か、合成して値域と比べるか。どちらでも同じ式に着きます。

出典

É. Bouchet. Trigonométrie, Cours de PCSI, Définition 1.2(cercle trigonométrique と点の座標).
Harmonic Addition Theorem. MathWorld(合成の振幅が になること).
$\dfrac{\sin\theta + 2}{\cos\theta + 3}$ は合成も置きかえも効きませんが、$\dfrac{\sin\theta - (-2)}{\cos\theta - (-3)}$ と書き直せば、点 $(-3,\ -2)$ と単位円上の点を結ぶ直線の傾きです。定点が円の外にあるので、傾きが最大と最小になるのは接するとき。距離が $1$ という条件から $8m^2 - 12m + 3 = 0$ が出て、答えは $\dfrac{3 \pm \sqrt{3}}{4}$ になります。分母を払って合成し、$\sin$ の値域に収まる条件を書いても同じ式に着く。2 つの道が一致する理由まで扱いました。