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クリストッフェル記号(極座標からシュヴァルツシルトまで)を手で計算する

計量 を書き下せば、クリストッフェル記号は決まった手順で出ます。逆行列を作り、偏微分して、3 つ足し引きするだけ。

極座標なら 種類だけ。実際に手を動かして確かめます。

どこに出てくる記号か

座標基底どうしの共変微分を書くと、その係数として現れます[1]

基底ベクトルを動かしたときのずれを、また基底で展開したものです。ずれが なら記号も

測地線方程式にも同じ記号が出ます[4]

なら 、つまり座標が時間の 1 次式になる。デカルト座標での直線です。

公式

計量とその 1 階偏導関数だけで書けます[1,3,4,5]

は行列 の逆行列の成分です。 を満たすもの[1]

括弧の中は 項。前 項が について対称で、最後の 項が引かれます。

添字を下げた形も使われます。 を第 1 種、 を第 2 種と呼びます[1]

下の添字は対称

公式の括弧を見ると、 を入れ替えても値が変わりません[3]

捩れのないレビ・チビタ接続だからです[2]。計量と両立し、捩れが という条件で接続がただ 1 つ決まります[2]

おかげで計算量が減ります。 次元なら独立な成分は 個。 次元でも 個で、非零はもっと少ない[5]

テンソルではない

座標を変えたときの変わり方が、テンソルと違います[1]

第 1 項はテンソルの変換則ですが、第 2 項に 階微分が入ります。これがあるためテンソルの成分になりません[1]

実害というより性質です。 点で になる座標がいつでもとれる、という便利さの裏返しになっています。

例:平面の極座標

まず線素を書きます。

つまり 、非対角は 。逆行列は

偏微分で残るのは の 1 つだけです。あとは全部

対称性から 。ほかは全部 です。

例:3 次元の球座標

をとります。手順は同じです。

。偏微分は

非零は 種類です。

下の添字を入れ替えたものも同じ値です。 を別に数えません。

例:半径 a の球面

に固定すると 次元なので成分はさらに減ります。

で微分できるのは だけ。

半径 が消えました。 が全体に掛かる定数なので、公式の で打ち消し合います。

が発散します。極で座標が壊れているためで、球面自体はそこでも滑らかです。

例:ポアンカレ上半平面

とします。双曲平面のモデルです。

なので 。偏微分は

方向の偏微分だけを含むので です。計量が によらないためです。

例:シュヴァルツシルト計量

とおき、 をとります。

に注意して順に当てます。 に関わる成分から出ます。

角度の側は球座標とほとんど同じで、 が 1 か所ずつ掛かります。

となり、平坦な球座標の値に戻ります。検算に使えます。

計量非零の種類代表的な成分
平面の極座標2
球面(半径 a)2 など
3 次元の球座標6 など
上半平面3

ラグランジアンから読む

対角でない計量では、公式に直接入れると項が増えます。実務では別の道が速い[4]

これをラグランジアンと見て、オイラー・ラグランジュ方程式を立てます[4]

出てきた式を と見比べると、 の係数がそのまま です[4]

逆行列を作らずに済みます。偏微分の回数も減ります。

例:ラグランジアンで球面を計算する

とおきます。

について立てると、

整理して 。測地線方程式と比べると が読めます。

の側も同様で、 から 。係数の は下の添字の対称性から来ています。

ここで 係数の をそのまま にしてしまう 誤りがよく起きます。 の和では が別に数えられるためです。

の分。 自体は です。

トレースは行列式で書ける

上の添字と下の添字を 1 つずつ縮約すると、簡単な形になります。

公式の第 1 項と第 3 項が の対称性で打ち消し、第 2 項だけが残ります。

計量の行列式さえ分かれば、この縮約は個別の成分を出さずに書ける。発散やラプラシアンを座標で書くときに使います。

測地線を解いてみる

極座標で を入れると、方程式は次の 本になります。

見た目は曲がっていますが、答えは直線です。 に直すと に戻ります。

でないのは、空間が曲がっているからではありません。座標の基底が場所で変わっているだけです。

平面の極座標で になりました。この値について正しいのはどれですか。

  • 平面が曲がっている証拠になる
  • 座標の基底が場所で変わることだけを表している
  • 座標を変えても のまま残る
__RESULT__

平面は平坦なので、曲率テンソルはどの座標でも です。デカルト座標に直せば はすべて になります。 はテンソルではないので、座標を変えると値が変わります。

つまずきやすいところ

でないことを曲がりの証拠だと思う。平坦な空間でも座標次第で出ます。
上の添字と下の添字をとり違える。 から来ています。
偏微分する相手を間違える。括弧の中で微分されるのは計量で、逆計量ではありません。
第 3 項の符号を落とす。前 2 項が足し算、最後だけが引き算です。
ラグランジアンから読むとき係数の 2 を残す。下の添字が異なる項は 2 回数えられています。
非対角成分のある計量に対角と同じ手順を当てる。逆行列を先にきちんと出します。

計量を書く。逆行列を作る。偏微分して足し引きする。この 3 手で、どの座標系でも同じように出せます。

出典

Christoffel symbol. Encyclopedia of Mathematics.
Levi-Civita connection. Encyclopedia of Mathematics.
Christoffelsymbole. Wikipedia(ドイツ語).
*Christoffel Symbols*. Differential Geometry 講義資料, Appalachian State University.
*Christoffel Symbols and Geodesic Equation*. University of California, Santa Barbara.
$\Gamma^k_{ij} = \frac{1}{2}g^{kl}(\partial_i g_{jl} + \partial_j g_{il} - \partial_l g_{ij})$ に計量を入れるだけです。極座標なら $\Gamma^r_{\theta\theta} = -r$ と $\Gamma^\theta_{r\theta} = 1/r$ の 2 種類、球面なら $-\sin\theta\cos\theta$ と $\cot\theta$、シュヴァルツシルト計量は $M \to 0$ で球座標に戻る。下の添字が対称なので数は半分以下。対角でない計量なら $I = g_{ab}\dot{x}^a\dot{x}^b$ をラグランジアンにして、オイラー・ラグランジュ方程式から読むほうが速い。$\Gamma$ が $0$ でないことは曲がりの証拠になりません。平面でも出ます。