|x| \leqq 2 を満たす複素数 x と,|y-(8+6i)| = 3 を満たす複素数 y に対して,z = \dfrac{x+y}{2} とする。このような複素数 z が複素数平面において動く領域を図示し,その面積を求めよ。
x は原点を中心とする半径 2 の円板を、周も内側もふくめて動きます。y は 8+6i を中心とする半径 3 の円周だけを動きます。
大事なのは、この 2 つが独立に動くことです。x をどこに置いても y は円周を一周でき、その逆もできます。
z = \dfrac{x+y}{2} = \dfrac{x}{2}+\dfrac{y}{2} ですから、半分にしたもの 2 つの和として見ます。
\dfrac{x}{2} は原点を中心とする半径 1 の円板、\dfrac{y}{2} は 4+3i を中心とする半径 \dfrac{3}{2} の円周です。
\dfrac{y}{2} を 1 つ止めます。そこへ \dfrac{x}{2} を足すと、z はその点を中心とする半径 1 の円板を、境界もふくめて全部動きます。
次に止めるのをやめて \dfrac{y}{2} を動かすと、いまの円板の中心が、4+3i を中心とする半径 \dfrac{3}{2} の円周を一周します。
だから z の動く範囲は、半径 1 の円板をその円周に沿って一周させた跡です。
言いかえると、円周上のどこかの点から距離 1 以内にある点の全体になります。
中心 4+3i からの距離だけで決まります。円周上の点との距離が 1 以下になれる点は、4+3i からの距離が \dfrac{3}{2}-1 以上 \dfrac{3}{2}+1 以下の点です。
いちばん内側は \dfrac{1}{2}、いちばん外側は \dfrac{5}{2} です。そのあいだの距離はどれも実際に届きます。
よって求める領域は \dfrac{1}{2} \leqq |z-(4+3i)| \leqq \dfrac{5}{2} の輪で、内側と外側の境界もふくみます。
穴が開くのは、\dfrac{y}{2} が円板ではなく円周だけを動くからです。|y-(8+6i)| \leqq 3 だったら穴は埋まっていました。
外側の円の面積は \pi\left(\dfrac{5}{2}\right)^2 = \dfrac{25}{4}\pi です。
内側の円の面積は \pi\left(\dfrac{1}{2}\right)^2 = \dfrac{1}{4}\pi です。
差を取ると \dfrac{25-1}{4}\pi = 6\pi です。
中心が 4+3i のどこにあっても面積は変わりません。効いているのは 2 つの半径 1 と \dfrac{3}{2} だけです。