r は正の実数とする。1 辺の長さが 1 の正四面体 \mathrm{OABC} において,辺 \mathrm{OA} 上に点 \mathrm{P} をとる。点 \mathrm{P} が辺 \mathrm{OA} 上のどこにあっても,点 \mathrm{P} を中心とする半径 r の球面が,辺 \mathrm{BC} と共有点をもたないような r の範囲を求めよ。ただし,点 \mathrm{O},\mathrm{A} は辺 \mathrm{OA} に含まれ,点 \mathrm{B},\mathrm{C} は辺 \mathrm{BC} に含まれるとする。
球面は、中心 \mathrm{P} から距離 r にある点の集まりです。辺 \mathrm{BC} 上のどの点も \mathrm{P} から r より遠いか、どの点も r より近いか。交わらないのは、この 2 通りに限られる。
辺の上で点を動かすと、\mathrm{P} からの距離は切れ目なく変わります。距離の最小値を d、最大値を D とすれば、球面が辺 \mathrm{BC} と交わる条件は d \leqq r \leqq D です。
\mathrm{P} の位置ごとに区間 d \leqq r \leqq D が決まる。\mathrm{P} を辺 \mathrm{OA} 全体で動かしたとき、どの区間にも入らない r が答えになります。
\vec{a} = \vec{\mathrm{OA}}、\vec{b} = \vec{\mathrm{OB}}、\vec{c} = \vec{\mathrm{OC}} とおくと、どれも長さ 1 で、2 つずつの内積は \cos 60^\circ = \dfrac{1}{2} です。
0 \leqq s \leqq 1、0 \leqq t \leqq 1 として、辺 \mathrm{OA} 上の \mathrm{P} を \vec{\mathrm{OP}} = s\vec{a}、辺 \mathrm{BC} 上の点 \mathrm{Q} を \vec{\mathrm{OQ}} = (1-t)\vec{b}+t\vec{c} と表します。\vec{\mathrm{PQ}} = -s\vec{a}+(1-t)\vec{b}+t\vec{c} となる。
2 乗を展開すると |\vec{\mathrm{PQ}}|^2 = s^2+(1-t)^2+t^2-s(1-t)-st+t(1-t) で、整理すると s^2-s+t^2-t+1 です。平方完成して \left(s-\dfrac{1}{2}\right)^2+\left(t-\dfrac{1}{2}\right)^2+\dfrac{1}{2} になる。
s を止めて t を 0 から 1 まで動かすと、|\vec{\mathrm{PQ}}|^2 は t = \dfrac{1}{2} で最小の \left(s-\dfrac{1}{2}\right)^2+\dfrac{1}{2}、t = 0 と t = 1 で最大の \left(s-\dfrac{1}{2}\right)^2+\dfrac{3}{4} をとります。
w = \left(s-\dfrac{1}{2}\right)^2 とおくと、この \mathrm{P} を中心とする球面が辺 \mathrm{BC} と交わるのは w+\dfrac{1}{2} \leqq r^2 \leqq w+\dfrac{3}{4} のときです。w は s = \dfrac{1}{2} で 0、s = 0 と s = 1 で \dfrac{1}{4} をとり、そのあいだを切れ目なく動く。
区間を w = 0 から w = \dfrac{1}{4} まで並べると、\dfrac{1}{2} \leqq r^2 \leqq \dfrac{3}{4} から \dfrac{3}{4} \leqq r^2 \leqq 1 まで途切れずにつながり、合わせて \dfrac{1}{2} \leqq r^2 \leqq 1 を覆います。
どの \mathrm{P} でも交わらないためには、r^2 がどの区間にも入らなければならない。r^2 < \dfrac{1}{2} または r^2 > 1 で、r > 0 とあわせて 0 < r < \dfrac{\sqrt{2}}{2} または r > 1 です。
\dfrac{\sqrt{2}}{2} は、ねじれの位置にある 2 辺 \mathrm{OA} と \mathrm{BC} のあいだの最短の距離で、2 辺の中点どうしを結ぶ線分の長さにあたります。半径がこれに届かなければ、球面は辺 \mathrm{BC} に触れない。
r > 1 は、辺 \mathrm{BC} 全体が球の内側に入る場合です。\mathrm{P} から辺 \mathrm{BC} 上の点までの距離は、\mathrm{P} が \mathrm{O} か \mathrm{A} にあって \mathrm{Q} が \mathrm{B} か \mathrm{C} にあるときの 1 がいちばん長い。