\mathrm{O} を原点とする座標空間において,不等式 |x| \leqq 1, |y| \leqq 1, |z| \leqq 1 の表す立方体を考える。その立方体の表面のうち,z < 1 を満たす部分を S とする。
以下,座標空間内の 2 点 \mathrm{A}, \mathrm{B} が一致するとき,線分 \mathrm{AB} は点 \mathrm{A} を表すものとし,その長さを 0 と定める。
(1) 座標空間内の点 \mathrm{P} が次の条件 (i), (ii) をともに満たすとき,点 \mathrm{P} が動きうる範囲 V の体積を求めよ。
(i) \mathrm{OP} \leqq \sqrt{3}
(ii) 線分 \mathrm{OP} と S は,共有点を持たないか,点 \mathrm{P} のみを共有点に持つ。
(2) 座標空間内の点 \mathrm{N} と点 \mathrm{P} が次の条件 (iii), (iv), (v) をすべて満たすとき,点 \mathrm{P} が動きうる範囲 W の体積を求めよ。必要ならば,\sin\alpha = \dfrac{1}{\sqrt{3}} を満たす実数 \alpha \left(0 < \alpha < \dfrac{\pi}{2}\right) を用いてよい。
(iii) \mathrm{ON} + \mathrm{NP} \leqq \sqrt{3}
(iv) 線分 \mathrm{ON} と S は共有点を持たない。
(v) 線分 \mathrm{NP} と S は,共有点を持たないか,点 \mathrm{P} のみを共有点に持つ。
|x| \leqq 1, |y| \leqq 1, |z| \leqq 1 は 1 辺 2 の立方体です。\mathrm{O} はその中心にあり,頂点までの距離はちょうど \sqrt{3} です。条件 (i) の \sqrt{3} はこの距離です。
S は立方体の表面のうち z < 1 の部分で,上面 z = 1 を除いた 5 面にあたります。上面の 4 辺も z = 1 なので S に入りません。
条件 (ii) は,線分 \mathrm{OP} が S を突き抜けてはいけない,というものです。\mathrm{P} 自身が S に乗るのはかまわないので,5 面は \mathrm{P} の行き止まりになります。
向きごとに考えます。その向きの出口が S の上なら,そこまでしか行けません。出口が上面なら,突き抜けて \sqrt{3} まで行けます。この 2 通りに分けて数えます。
出口が S の上にある向きを集めます。\mathrm{P} がその面の上にあるとき,線分 \mathrm{OP} が通る範囲は,その面を底面とし \mathrm{O} を頂点とする四角錐です。
底面は 1 辺 2 の正方形,高さは 1 ですから,体積は \dfrac{1}{3} \cdot 4 \cdot 1 = \dfrac{4}{3} です。
S は 5 面ですから合わせて \dfrac{20}{3} です。立方体の体積 8 は 6 つの四角錐に分かれるので,残る \dfrac{4}{3} が上面へ向かう四角錐にあたります。
その \dfrac{4}{3} は切り落とされたのではありません。上面が開いているぶん,立方体の外へ続いていきます。
上面は S に入らないので,線分 \mathrm{OP} は上面を通り抜けられます。ただし上面の 4 辺は側面の縁でもあるので,\mathrm{O} と 4 辺が作る 4 枚の平面の内側までしか開きません。
この錐は 6 面それぞれについて同じ形のものが取れ,6 つが合同で空間を隙間なく分けます。だから 1 つぶんは空間全体のちょうど \dfrac{1}{6} です。
届く先は \mathrm{OP} \leqq \sqrt{3} ですから,半径 \sqrt{3} の球の \dfrac{1}{6} になります。\dfrac{1}{6} \cdot \dfrac{4}{3}\pi\left(\sqrt{3}\right)^3 = \dfrac{2\sqrt{3}}{3}\pi です。
この立体は上面へ向かう四角錐 \dfrac{4}{3} も含んでいます。二重に数えないよう \dfrac{20}{3} と足して,V = \dfrac{20}{3} + \dfrac{2\sqrt{3}}{3}\pi です。
(2) は \mathrm{O} から \mathrm{N} を経て \mathrm{P} へ行く折れ線です。合わせて \sqrt{3} までで,\mathrm{ON} は S に触れてはいけません。
\mathrm{N} = \mathrm{O} とすれば (1) と同じことになるので,W は V を含みます。増えるぶんだけを数えます。
\mathrm{ON} + \mathrm{NP} \geqq \mathrm{OP} ですから,折れて得をするのは,まっすぐ行くと S にぶつかる相手だけです。そのとき道は壁を回り込むので,曲がる場所は壁の縁,つまり上面の辺の上になります。
\mathrm{N}\,(1,\, t,\, 1) とおくと \mathrm{ON} = \sqrt{t^2+2},\mathrm{NP} \leqq \sqrt{3} - \sqrt{t^2+2} です。この辺が受け持つ出っ張りを U とすると,辺は 4 本あって形はどれも同じですから,W は V と U 4 つ分の和になります。
辺のまわりの向きを分けます。立方体の内側へ向かうのが 90^\circ,平面 z = x より上,つまり V の側へ向かうのが 135^\circ,残る 135^\circ が U です。U を平面 y = k で切ると,半径 R(k),中心角 \dfrac{3}{4}\pi の扇形になります。
R(k)^2 は \left(\sqrt{3}-\sqrt{t^2+2}\right)^2 - (k-t)^2 = 5 - k^2 + 2kt - 2\sqrt{3}\sqrt{t^2+2} を t について最大にしたものです。
微分して 0 とおくと k\sqrt{t^2+2} = \sqrt{3}\,t,つまり t = \dfrac{\sqrt{2}\,k}{\sqrt{3-k^2}} です。このとき \sqrt{t^2+2} = \dfrac{\sqrt{6}}{\sqrt{3-k^2}} になります。
入れ直すと R(k)^2 = 5 - k^2 - 2\sqrt{2}\sqrt{3-k^2} となります。k = \pm 1 で 0,k = 0 で最大の 5-2\sqrt{6} です。
U = \dfrac{3}{8}\pi\displaystyle\int_{-1}^{1} R(k)^2 dk です。\displaystyle\int_0^1 \left(5-k^2\right) dk = \dfrac{14}{3} と \displaystyle\int_0^1 \sqrt{3-k^2}\, dk = \dfrac{3}{2}\alpha + \dfrac{\sqrt{2}}{2} から U = \left(2 - \dfrac{9\sqrt{2}}{4}\alpha\right)\pi です。
4 本ぶん足して W = \dfrac{20}{3} + \left(\dfrac{2\sqrt{3}}{3} + 8 - 9\sqrt{2}\,\alpha\right)\pi となります。V が 10.29\cdots,W が 10.81\cdots で,回り込みで増えるのはわずかです。