座標平面上を次の規則 (i), (ii) に従って 1 秒ごとに動く点 \mathrm{P} を考える。
(i) 最初に,\mathrm{P} は点 (2,\,1) にいる。
(ii) ある時刻で \mathrm{P} が点 (a,\,b) にいるとき,その 1 秒後には \mathrm{P} は
確率 \dfrac{1}{3} で x 軸に関して (a,\,b) と対称な点
確率 \dfrac{1}{3} で y 軸に関して (a,\,b) と対称な点
確率 \dfrac{1}{6} で直線 y = x に関して (a,\,b) と対称な点
確率 \dfrac{1}{6} で直線 y = -x に関して (a,\,b) と対称な点
にいる。
以下の問いに答えよ。ただし,(1) については,結論のみを書けばよい。
(1) \mathrm{P} がとりうる点の座標をすべて求めよ。
(2) n を正の整数とする。最初から n 秒後に \mathrm{P} が点 (2,\,1) にいる確率と,最初から n 秒後に \mathrm{P} が点 (-2,\,-1) にいる確率は等しいことを示せ。
(3) n を正の整数とする。最初から n 秒後に \mathrm{P} が点 (2,\,1) にいる確率を求めよ。
4 つの移り方はどれも、2 と 1 という 2 つの数の符号を変えるか、入れかえるかです。だから座標に出てくる数は \pm 2 と \pm 1 のままです。
(2,\,1) から出て行ける点は (\pm 2,\,\pm 1) と (\pm 1,\,\pm 2) の 8 つ。図のように、原点のまわりに 8 方向へ並びます。これが (1) の答えです。
8 つより増えないことは、4 つの移り方がこの 8 点の集合を自分自身へ移すことから分かります。
8 つより減らないことは、実際にたどれば分かります。x 軸で (2,\,-1)、y 軸で (-2,\,1)、y = x で (1,\,2)、y = -x で (-1,\,-2) と、1 手で 4 つに届きます。
x 軸の対称と y 軸の対称を続けて行うと、点は原点について反対側へ移ります。この「原点対称」を \sigma と書きます。
ここが要です。y 軸の対称は「x 軸の対称のあとに \sigma」、y = -x の対称は「y = x の対称のあとに \sigma」です。しかも \sigma はどの対称とも順番を入れかえられます。
そして確率が組で等しくなっています。x 軸と y 軸はどちらも \dfrac{1}{3}、2 本の直線はどちらも \dfrac{1}{6} です。
そこで、n 手の並びのうち 1 手目だけを相方に取りかえます。確率は変わらず、行き先だけが \sigma で移ります。これで (2,\,1) に着く並びと (-2,\,-1) に着く並びが 1 対 1 に対応し、(2) が示せました。
(2) より、原点について反対どうしの 2 点はいつも同じ確率です。そこで 8 点を 4 つの組にまとめます。
\mathrm{A} = \{(2,\,1),\,(-2,\,-1)\}、\mathrm{B} = \{(2,\,-1),\,(-2,\,1)\}、\mathrm{C} = \{(1,\,2),\,(-1,\,-2)\}、\mathrm{D} = \{(1,\,-2),\,(-1,\,2)\} です。
移り方を組で見ると、\mathrm{A} からは確率 \dfrac{2}{3} で \mathrm{B}、\dfrac{1}{3} で \mathrm{C}。\mathrm{B} からは \dfrac{2}{3} で \mathrm{A}、\dfrac{1}{3} で \mathrm{D}。\mathrm{C} からは \dfrac{2}{3} で \mathrm{D}、\dfrac{1}{3} で \mathrm{A}。\mathrm{D} からは \dfrac{2}{3} で \mathrm{C}、\dfrac{1}{3} で \mathrm{B} です。
\mathrm{A}, \mathrm{D} と \mathrm{B}, \mathrm{C} が 1 手ごとに入れかわります。出発が \mathrm{A} なので、n が奇数のときは \mathrm{A} にいる確率は 0、つまり求める確率も 0 です。
n が偶数のときを考えます。そのとき点は \mathrm{A} か \mathrm{D} にいるので、\mathrm{A} にいる確率を a_n とすると \mathrm{D} は 1-a_n です。
2 手ぶんをまとめます。\mathrm{A} から 2 手で \mathrm{A} へ戻るのは \dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{2}{3}+\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{1}{3} = \dfrac{5}{9}、\mathrm{D} から 2 手で \mathrm{A} へ来るのは \dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{2}{3} = \dfrac{4}{9} です。
よって a_{n+2} = \dfrac{5}{9}a_n+\dfrac{4}{9}(1-a_n) = \dfrac{4}{9}+\dfrac{1}{9}a_n。a_n-\dfrac{1}{2} が 2 手ごとに \dfrac{1}{9} 倍になる形です。
a_0 = 1 から a_n = \dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{1}{3^n}。組の中の 2 点は同じ確率ですから、求める確率はその半分で、n が偶数のとき \dfrac{1}{4}\left(1+\dfrac{1}{3^n}\right)、n が奇数のとき 0 です。