a は a \geqq 1 を満たす定数とする。座標平面上で,次の 4 つの不等式が表す領域を D_a とする。
x \geqq 0,\dfrac{e^x-e^{-x}}{2} \leqq y,y \leqq \dfrac{e^x+e^{-x}}{2},y \leqq a
次の問いに答えよ。
(1) D_a の面積 S_a を求めよ。
(2) \displaystyle\lim_{a \to \infty} S_a を求めよ。
f(x) = \dfrac{e^x+e^{-x}}{2}、g(x) = \dfrac{e^x-e^{-x}}{2} とおきます。D_a は x \geqq 0 で、下が g、上が f と y = a のうち低いほうにはさまれた部分です。
2f'(x) = e^x-e^{-x} \geqq 0、2g'(x) = e^x+e^{-x} > 0 ですから、x \geqq 0 ではどちらも増えていきます。
f(0) = 1、g(0) = 0 で、f がつねに g の上にあります。a \geqq 1 という条件は、天井が f の左端より下に来ないことを言っています。
a を大きくすると天井が上がり、領域は右へ細く伸びていきます。
f(x)-g(x) = \dfrac{(e^x+e^{-x})-(e^x-e^{-x})}{2} = e^{-x} です。
2 本の曲線はどちらも右で爆発的に増えますが、その差はきれいに e^{-x} で、右へ行くほど細くなります。
天井に当たっていないところでは、縦の長さがそのまま e^{-x} です。積分するのは指数関数 1 つだけになります。
\displaystyle\int_0^\infty e^{-x} dx = 1 ですから、天井を取り払っても面積は 1 を超えません。答えの見当はここで付きます。
f(x) = a を解きます。e^x+e^{-x} = 2a から e^{2x}-2ae^x+1 = 0、e^x = a \pm \sqrt{a^2-1} です。
x \geqq 0 には e^x \geqq 1 が要るので、取るのは + のほうです。- のほうは \dfrac{1}{a+\sqrt{a^2-1}} \leqq 1 だからです。この x を A = \log\left(a+\sqrt{a^2-1}\right) とおきます。
同じように g(x) = a から e^{2x}-2ae^x-1 = 0、e^x = a+\sqrt{a^2+1} です。この x を B = \log\left(a+\sqrt{a^2+1}\right) とおきます。
A \leqq B です。0 \leqq x \leqq A では上が f、A \leqq x \leqq B では上が天井の a、x > B では下の曲線が天井を越えるので何も残りません。
左側は \displaystyle\int_0^A e^{-x} dx = 1-e^{-A} です。e^{-A} = \dfrac{1}{a+\sqrt{a^2-1}} = a-\sqrt{a^2-1} ですから、1-a+\sqrt{a^2-1} になります。
右側は \displaystyle\int_A^B \left(a-g(x)\right) dx = a(B-A)-\Big[f(x)\Big]_A^B です。g の原始関数が f だからです。
f(A) = a、f(B) = \sqrt{1+g(B)^2} = \sqrt{a^2+1} なので、右側は a(B-A)-\sqrt{a^2+1}+a です。
足すと S_a = 1+\sqrt{a^2-1}-\sqrt{a^2+1}+a\log\dfrac{a+\sqrt{a^2+1}}{a+\sqrt{a^2-1}} です。a = 1 なら A = 0 で、S_1 = 1-\sqrt{2}+\log\left(1+\sqrt{2}\right) = 0.4671\cdots になります。
式から出すこともできますが、はさむほうが早いです。D_a は天井のない領域に含まれるので S_a \leqq \displaystyle\int_0^\infty e^{-x} dx = 1 です。
逆に 0 \leqq x \leqq A の部分はまるごと D_a に入るので S_a \geqq 1-e^{-A} です。
a \to \infty で A \to \infty ですから 1-e^{-A} \to 1 となり、はさみうちの原理から \displaystyle\lim_{a \to \infty} S_a = 1 です。
式から直に見ても同じです。\sqrt{a^2-1}-\sqrt{a^2+1} = \dfrac{-2}{\sqrt{a^2-1}+\sqrt{a^2+1}} は 0 へ、\log の中身は 1 へ近づき、a を掛けても 0 に留まります。残るのは 1 だけです。