中間値の定理は連続関数の基本的な性質であり、方程式の解の存在証明や近似解法に応用される。
問題1:解の存在
x3−x−1=0 が (1,2) に解を持つことを示せ。
解答1
f(x)=x3−x−1 とおく。f は連続。
f(1)=1−1−1=−1<0
f(2)=8−2−1=5>0
中間値の定理より、ある c∈(1,2) で f(c)=0。
問題2:解の個数
ex=2x+1 の正の解の個数を調べよ。
解答2
f(x)=ex−2x−1 とおく。
f(0)=1−0−1=0(x=0 は解)
f′(x)=ex−2, f′(x)=0 で x=ln2
x<ln2 で f′<0(減少)、x>ln2 で f′>0(増加)
f(ln2)=2−2ln2−1=1−2ln2<0(ln2≈0.69)
f(2)=e2−5>0
x=0 と、(ln2,2) に1つ、計2つの解。
問題3:不動点定理
f:[0,1]→[0,1] が連続ならば、f(c)=c となる c∈[0,1] が存在することを示せ。
解答3
g(x)=f(x)−x とおく。g は連続。
g(0)=f(0)−0=f(0)≥0
g(1)=f(1)−1≤0
g(0)=0 なら c=0。g(1)=0 なら c=1。
g(0)>0 かつ g(1)<0 なら、中間値の定理から g(c)=0 となる c∈(0,1) が存在。
問題4:二分法
x3=2 の解を二分法で小数第2位まで求めよ。
解答4
f(x)=x3−2。f(1)=−1<0, f(2)=6>0。解は (1,2)。
f(1.5)=3.375−2=1.375>0。解は (1,1.5)。
f(1.25)=1.953...−2<0。解は (1.25,1.5)。
f(1.375)=2.599...−2>0。解は (1.25,1.375)。
f(1.3125)=2.260...−2>0。解は (1.25,1.3125)。
32≈1.26
問題5:超越方程式
cosx=x が (0,1) に唯一の解を持つことを示せ。
解答5
f(x)=cosx−x とおく。
f(0)=1>0, f(1)=cos1−1≈−0.46<0
中間値の定理から解が存在。
f′(x)=−sinx−1<0(すべての x で)より f は狭義単調減少。
したがって解は唯一。
問題6:連続関数の値域
f:[a,b]→R が連続ならば f([a,b]) は閉区間であることを示せ。
解答6
最大値・最小値の定理から、f は最大値 M と最小値 m を持つ。
f([a,b])⊂[m,M]。
任意の y∈[m,M] に対して、f(c1)=m, f(c2)=M なる c1,c2 が存在。
中間値の定理から、c1 と c2 の間に f(c)=y となる c が存在。
よって f([a,b])=[m,M]。
問題7:n 乗根の存在
任意の a>0 と正整数 n に対して、xn=a となる正の x が存在することを示せ。
解答7
f(x)=xn は [0,∞) で連続かつ狭義単調増加。
f(0)=0, limx→∞f(x)=∞
a>0 に対して、十分大きな b で f(b)>a。
中間値の定理から f(c)=a となる c∈(0,b) が存在。
問題8:多項式の次数と実根
奇数次の実係数多項式は少なくとも1つの実根を持つことを示せ。
解答8
p(x)=anxn+⋯+a0(n は奇数、an=0)
an>0 のとき:limx→∞p(x)=∞, limx→−∞p(x)=−∞
十分大きな M で p(M)>0, p(−M)<0。
中間値の定理から (−M,M) に根が存在。
問題9:Darboux の定理
f が [a,b] で微分可能ならば f′ は中間値の性質を持つことを示せ。
解答9
f′(a)<k<f′(b) とする(f′(a)>f′(b) の場合も同様)。
g(x)=f(x)−kx とおくと、g′(a)=f′(a)−k<0, g′(b)=f′(b)−k>0。
g は連続で [a,b] は閉区間なので最小値を持つ。
g′(a)<0 より最小点は a でない。g′(b)>0 より最小点は b でない。
最小点 c∈(a,b) で g′(c)=0、すなわち f′(c)=k。
問題10:応用問題
正午に A 地点から B 地点へ歩き、翌日の正午に B から A へ同じ道を歩く。途中で同じ時刻に同じ場所を通ることを示せ。
解答10
1日目の位置を f(t)、2日目の位置を g(t)(t は正午からの時間)とする。
h(t)=f(t)−g(t) とおく。
h(0)=f(0)−g(0)=A−B<0(A を 0、B を正とする座標で)
h(T)=f(T)−g(T)=B−A>0(T は歩行時間)
中間値の定理から h(c)=0、すなわち f(c)=g(c) となる c が存在。