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部分積分の u の決め方(対数・多項式・指数のどれを微分するか)

で と置けば、次の積分は になって終わります。逆に と置くと が残り、次数が上がってしまう。

部分積分は という書きかえです[1]。式の形は選び方によらず、残る積分が簡単になるかどうかだけが変わります。

以下は 問です。多項式と指数から始め、対数と逆三角、循環して連立になる型、表で繰り返す方法、漸化式まで並べました。

公式と、選び方の目安

積の微分 を積分して移項すると導けます[1]。

に選ぶのは、微分すると簡単になるほうです。目安として、対数・逆三角・多項式・三角・指数の順で優先します[2]。

対数関数。微分すると になり、代数式に落ちます。
逆三角関数。微分すると有理式になります。
多項式。微分するたび次数が下がります。
三角関数。微分しても複雑になりません。
指数関数。積分しても形が変わらないので 向きです。

先に来るほうを 、あとに来るほうを にします。絶対の規則ではありませんが、迷ったときの出発点になる。

問題 1:多項式と指数

を計算せよ。

解答 1

、 と置きます。、 です。

多項式を にすると微分で次数が下がり、 回で消えます。

問題 2:多項式と三角関数

を計算せよ。

解答 2

、 です。 になります。

の符号を落とすと答えが反転します。 の原始関数は です。

問題 3:2 回繰り返す

を計算せよ。

解答 3

と置くと 回で に落ちます。

問題 の結果を入れます。

なら 回で終わります。多項式が有限回で消えるからです。

問題 4:表にして繰り返す

を表を使って計算せよ。

解答 4

左の列に の微分、右の列に の積分を並べ、斜めにかけて符号を交互につけます[1]。

微分の列積分の列符号

斜めにかけて足します。

左の列が になったところで止まります。 回ぶんの部分積分が 枚の表で済みました。

問題 5:対数

を計算せよ。

解答 5

積の形に見えませんが、 と置けます。、 です。

をかけていると見れば、単独の関数でも部分積分が使えます[3]。

問題 6:逆三角関数

を計算せよ。

解答 6

同じく です。、 になります。

残った積分は の形で、置換で片づきます。

問題 7:対数の 2 乗

を計算せよ。

解答 7

、 です。 になります。

問題 の結果を入れます。

対数の次数が ずつ下がります。 なら 回で終わる。

問題 8:循環して連立になる型

を計算せよ。

解答 8

と置いて 回部分積分します。 回目は 、 です。

回目も同じ向きで選びます。ここで向きを変えるともとに戻ってしまう。

について解きます。

回で元の積分が現れる型です[3]。移項して割る、という代数の操作で終わります。

問題 9:正割の 3 乗

を計算せよ。

解答 9

、 です。 になります。

で書き直すと、もとの積分が現れます。

から までの定積分は です。循環型に恒等式を挟む形になっています。

問題 10:定積分

を計算せよ。

解答 10

、 で です。定積分では の部分も範囲を入れます[4]。

の値を入れ忘れる誤りが多いところです。 で になるからといって省略しないほうが安全になります。

問題 11:ウォリスの漸化式

の漸化式を導け。

解答 11

、 と置きます。

第 項は両端とも です。 で書き直します。

、 から順に決まります。、、、 です。

偶数番目に が残り、奇数番目には残りません。数値で確かめると 、 になります。

問題 12:多項式と逆三角の積

を計算せよ。

解答 12

目安では逆三角が多項式より先なので、 です。、 になります。

残った積分は と分けます。

から までの定積分は です。

問題 13:3 通りで解いて突き合わせる

を 通りで計算し、答えが一致することを確かめよ。

解答 13

置換なら で です。

部分積分なら 、 として循環型になり、同じ形になります。

倍角の公式なら で、 です。

つは定数の差だけ違います。 を使うと になる。

不定積分の答えが見た目で違っても、差が定数なら同じです。突き合わせるときは微分して確かめます。

問題 14:ベータ積分の漸化式

について、 を 下げる漸化式を導け。

解答 14

、 と置きます。 です。

なら第 項は両端で です。

繰り返して を まで下げると閉じた形になります。

これはベータ関数 にあたります[5]。標準の定義では指数が ずつ小さく書かれるので、添字が ずつずれます。

、 で です。数値積分と一致します。

問題 15:進まない選び方

で と置くとどうなるか。

解答 15

なので です。

残った積分は次数が 上がっています。もう 回やれば になり、際限がありません。

式としては正しく、誤りではありません。等式は成り立っていて、ただ進まないだけです。

回やって次数が上がったら、選び方を入れかえます。損はしません。

つまずきやすいところ

公式より、選び方と符号で誤ります。

の符号を落とす

の原始関数は です。 を積分するときに符号が入ります。

定積分で の値を入れ忘れる

を先に書いてから残りの積分に進みます。

循環型で 回目の向きを変える

回目と同じ側を にします。変えるともとの式に戻ります。

移項したあとに で割り忘れる

の形になっているかを確かめます。

表の停止位置をまちがえる

左の列が になった行まで書きます。多項式でないと止まりません。

で に選ぶべきものはどれですか。

  • どちらでも手数は変わらない
__RESULT__

対数が多項式より先です。 を微分すると になり、残る積分が という多項式に落ちます。逆にすると対数が残ったままになります。

を選んだら と を書き出してから代入する。この順序を崩さなければ、符号の誤りはほぼ消えます。

参考文献

Oliver Knill. Integration by parts, Math 1A: Introduction to Functions and Calculus. Harvard University, 2011.
Integration by Parts, Math 2300 Calculus II. University of Colorado Boulder.
Berechnung von Integralen, Analysis I. Universität Freiburg.
Intégrales, Analyse — Cours de mathématiques première année. Exo7.
Beta function, Digital Library of Mathematical Functions §5.12. NIST.
$\int xe^x dx$ で $u=x$ と置けば次は $\int e^x dx$ で終わりますが、逆にすると次数が上がって進みません。式はどちらも正しく、残る積分だけが変わる。$15$ 問で、対数・逆三角・多項式・三角・指数の優先順、$x^3\sin x$ を表で $1$ 枚に片づける方法、$e^x\sin x$ や $\sec^3 x$ のように $2$ 回で元へ戻って連立になる型を扱いました。ウォリスの漸化式で $\sin^n$ の定積分を下げる手順、ベータ積分の漸化式まで。同じ積分を $3$ 通りで解き、定数の差だけで一致することも確かめます。