平均値の定理とは|ロルの定理から始める証明と応用
平均値の定理は、区間全体の平均変化率が、区間内のどこか 1 点での瞬間変化率と一致することを主張します。
両端の値という大域的な情報と、1 点での微分係数という局所的な情報を結びつける定理です。単調性の判定も、不等式の証明も、テイラーの定理も、みなここを経由します。
以下ではロルの定理から順に積み上げ、平均値の定理、その応用、コーシーの平均値の定理、テイラーの定理までを扱います。計算例は 1 つずつ節を分け、要になる主張には証明を付けます。
直観:割線と平行な接線がある
区間 の両端を結ぶ直線を割線といいます。その傾きが平均変化率 です。
一方、点 での接線の傾きが になります。平均値の定理は、割線と平行な接線が区間の内側に必ず立つ、と言っています。
<svg viewBox="0 0 700 300" xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" style="max-width:100%;height:auto;display:block;margin:0 auto"><line x1="71.8" y1="231.7" x2="628.2" y2="231.7" stroke="#dcdcdc" stroke-width="1"/><path d="M71.8 218.9L76.4 215.3L81 211.9L85.6 208.8L90.2 205.7L94.8 202.8L99.4 200L103.9 197.3L108.5 194.7L113.1 192.1L117.7 189.7L122.3 187.3L126.9 185L131.5 182.7L136.1 180.5L140.6 178.3L145.2 176.2L149.8 174.1L154.4 172.1L159 170.1L163.6 168.1L168.2 166.2L172.7 164.3L177.3 162.5L181.9 160.6L186.5 158.9L191.1 157.1L195.7 155.3L200.3 153.6L204.9 151.9L209.4 150.2L214 148.6L218.6 147L223.2 145.4L227.8 143.8L232.4 142.2L237 140.6L241.5 139.1L246.1 137.6L250.7 136.1L255.3 134.6L259.9 133.1L264.5 131.7L269.1 130.2L273.7 128.8L278.2 127.4L282.8 126L287.4 124.6L292 123.2L296.6 121.9L301.2 120.5L305.8 119.2L310.3 117.9L314.9 116.6L319.5 115.3L324.1 114L328.7 112.7L333.3 111.4L337.9 110.1L342.5 108.9L347 107.6L351.6 106.4L356.2 105.2L360.8 104L365.4 102.7L370 101.5L374.6 100.4L379.1 99.2L383.7 98L388.3 96.8L392.9 95.7L397.5 94.5L402.1 93.4L406.7 92.2L411.3 91.1L415.8 90L420.4 88.8L425 87.7L429.6 86.6L434.2 85.5L438.8 84.4L443.4 83.4L447.9 82.3L452.5 81.2L457.1 80.1L461.7 79.1L466.3 78L470.9 77L475.5 75.9L480.1 74.9L484.6 73.8L489.2 72.8L493.8 71.8L498.4 70.8L503 69.7L507.6 68.7L512.2 67.7L516.8 66.7L521.3 65.7L525.9 64.7L530.5 63.8L535.1 62.8L539.7 61.8L544.3 60.8L548.9 59.9L553.4 58.9L558 57.9L562.6 57L567.2 56L571.8 55.1L576.4 54.1L581 53.2L585.6 52.3L590.1 51.3L594.7 50.4L599.3 49.5L603.9 48.6L608.5 47.7L613.1 46.7L617.7 45.8L622.2 44.9" fill="none" stroke="#1b81e0" stroke-width="2.5"/><line x1="95.5" y1="202.3" x2="569" y2="55.7" stroke="#8a8a8a" stroke-width="1.6" stroke-dasharray="6 4"/><line x1="101.4" y1="182.2" x2="474.3" y2="66.7" stroke="#e0761b" stroke-width="2.5"/><circle cx="95.5" cy="202.3" r="4" fill="#8a8a8a"/><circle cx="569" cy="55.7" r="4" fill="#8a8a8a"/><circle cx="273.1" cy="129" r="4.5" fill="#e0761b"/><line x1="273.1" y1="129" x2="273.1" y2="231.7" stroke="#c9c9c9" stroke-width="1" stroke-dasharray="4 3"/><text x="95.5" y="249.7" font-size="13" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">a</text><text x="273.1" y="249.7" font-size="13" fill="#e0761b" text-anchor="middle">c</text><text x="569" y="249.7" font-size="13" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">b</text><text x="450.6" y="114.3" font-size="13" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">割線</text><text x="486.1" y="51" font-size="13" fill="#e0761b" text-anchor="middle">接線</text><text x="350" y="286" font-size="12" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">2 点を結ぶ割線と平行な接線が、区間の内側のどこかに立ちます</text></svg>車の運転にたとえると、2 時間で 120 km 進んだなら、途中のどこかで速度計はちょうど 60 km/h を指していたことになります。
最大値の定理
平均値の定理は、意外にも微分の議論だけからは出てきません。土台になるのは連続関数についての次の定理です。
が閉区間 で連続ならば、 は で最大値と最小値をとる。
ワイエルシュトラスの最大値の定理と呼ばれます。区間が閉じていることと有界であることの両方が要ります。
の上の に最大値はありません。値は に近づきますが、 そのものには届かないからです。
実数全体の上の にも最大値がありません。こちらは有界でないためです。
内点の極値では微分係数が になる
もう 1 つの土台がこれです。
が点 で微分可能で、 が定義域の内点で、 が で極大または極小になるならば、 である。
この主張はフェルマーの補題と呼ばれます。整数論のフェルマーの小定理や最終定理とは、名前が同じだけの別物です。
極値の候補を停留点の中から探す、という高校以来の手順の根拠にあたります。
「内点で」が効いています。端点では成り立ちません。 の上の は で最大になりますが、 です。
証明:フェルマーの補題
で極大になる場合を示します。極小のときは に同じ議論を当てはめれば出ます。
が内点なので、十分小さい について も定義域に入ります。極大なので です。
で割ると差分商は 以下のままです。極限を取りましょう。
で割ると不等号が向きを変えます。
は で微分可能なので、左右の極限は一致して同じ です。 かつ から が従います。
ロルの定理
2 つの土台がそろいました。ロルの定理を述べます。
が閉区間 で連続、開区間 で微分可能、かつ とする。このとき となる が存在する。
微分可能性を開区間でしか要求していない点に注意してください。端点での微分可能性は要りません。
半円 が で条件をみたすのは、このためです。両端で接線が垂直になりますが、それでもかまいません。
証明:ロルの定理
は で連続なので、最大値の定理から最大値 と最小値 をとります。
のときは が定数なので、 のどの点でも です。
のときを考えます。 なので、 と の少なくとも一方は両端の共通の値と異なります。
もし も も に等しければ に戻ってしまうので、これが成り立ちます。
その値をとる点は端点ではありえないので、内点です。その点を とすると は で極値をとり、フェルマーの補題から となります。
計算例: が 2 つ出る例
を で考えます。、 なので、ロルの定理の条件をみたします。
導関数を とおきましょう。
はどちらも の中にあります。定理が保証するのは存在だけで、個数については何も言いません。
を で見れば は と の 2 つ、区間を に広げれば 100 個になります。
仮定はどれも落とせない
3 つの仮定は、どれ 1 つ落としても結論が崩れます。
<svg viewBox="0 0 700 250" xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" style="max-width:100%;height:auto;display:block;margin:0 auto"><rect x="30" y="24" width="190" height="150" fill="none" stroke="#ececec" stroke-width="1"/><rect x="255" y="24" width="190" height="150" fill="none" stroke="#ececec" stroke-width="1"/><rect x="480" y="24" width="190" height="150" fill="none" stroke="#ececec" stroke-width="1"/><line x1="41" y1="157.9" x2="209" y2="157.9" stroke="#dcdcdc" stroke-width="1"/><path d="M51.9 50.8 L125 157.9 L198.1 50.8" fill="none" stroke="#1b81e0" stroke-width="2.5"/><line x1="51.9" y1="50.8" x2="198.1" y2="50.8" stroke="#8a8a8a" stroke-width="1.4" stroke-dasharray="5 3"/><circle cx="125" cy="157.9" r="4" fill="#e0761b"/><line x1="268.1" y1="157.9" x2="431.9" y2="157.9" stroke="#dcdcdc" stroke-width="1"/><line x1="281.2" y1="157.9" x2="412.2" y2="50.8" stroke="#1b81e0" stroke-width="2.5"/><circle cx="412.2" cy="50.8" r="4" fill="#ffffff" stroke="#1b81e0" stroke-width="1.8"/><circle cx="412.2" cy="157.9" r="4" fill="#e0761b"/><circle cx="281.2" cy="157.9" r="4" fill="#e0761b"/><line x1="493.1" y1="157.9" x2="656.9" y2="157.9" stroke="#dcdcdc" stroke-width="1"/><path d="M506.2 141.9L507.3 141.9L508.4 141.8L509.5 141.8L510.6 141.8L511.7 141.7L512.8 141.6L513.9 141.5L514.9 141.5L516 141.3L517.1 141.2L518.2 141.1L519.3 140.9L520.4 140.8L521.5 140.6L522.6 140.4L523.7 140.2L524.8 140L525.9 139.8L527 139.6L528 139.3L529.1 139.1L530.2 138.8L531.3 138.5L532.4 138.2L533.5 137.9L534.6 137.6L535.7 137.2L536.8 136.9L537.9 136.5L539 136.2L540.1 135.8L541.1 135.4L542.2 135L543.3 134.5L544.4 134.1L545.5 133.7L546.6 133.2L547.7 132.7L548.8 132.2L549.9 131.7L551 131.2L552.1 130.7L553.2 130.2L554.3 129.6L555.3 129.1L556.4 128.5L557.5 127.9L558.6 127.3L559.7 126.7L560.8 126L561.9 125.4L563 124.8L564.1 124.1L565.2 123.4L566.3 122.7L567.4 122L568.4 121.3L569.5 120.6L570.6 119.8L571.7 119.1L572.8 118.3L573.9 117.5L575 116.8L576.1 116L577.2 115.1L578.3 114.3L579.4 113.5L580.5 112.6L581.6 111.7L582.6 110.9L583.7 110L584.8 109.1L585.9 108.2L587 107.2L588.1 106.3L589.2 105.3L590.3 104.4L591.4 103.4L592.5 102.4L593.6 101.4L594.7 100.4L595.7 99.3L596.8 98.3L597.9 97.2L599 96.2L600.1 95.1L601.2 94L602.3 92.9L603.4 91.8L604.5 90.6L605.6 89.5L606.7 88.3L607.8 87.2L608.9 86L609.9 84.8L611 83.6L612.1 82.4L613.2 81.1L614.3 79.9L615.4 78.6L616.5 77.3L617.6 76.1L618.7 74.8L619.8 73.5L620.9 72.1L622 70.8L623 69.4L624.1 68.1L625.2 66.7L626.3 65.3L627.4 63.9L628.5 62.5L629.6 61.1L630.7 59.7L631.8 58.2L632.9 56.8L634 55.3L635.1 53.8L636.1 52.3L637.2 50.8" fill="none" stroke="#1b81e0" stroke-width="2.5"/><circle cx="506.2" cy="141.9" r="4" fill="#8a8a8a"/><circle cx="637.2" cy="50.8" r="4" fill="#8a8a8a"/><text x="125" y="196" font-size="12" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">角がある(微分可能でない)</text><text x="350" y="196" font-size="12" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">端で切れている(連続でない)</text><text x="575" y="196" font-size="12" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">f(a) と f(b) が違う</text><text x="350" y="228" font-size="12" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">どれも水平な接線を持ちません。3 つの仮定はどれも落とせません</text></svg>開区間での微分可能性を落とす例が です。 で ですが、 では で、 では微分できません。
閉区間での連続性を落とす例を作ります。 で ()、 とすると ですが、 で になりません。
を落とせば、単調に増える関数がすぐ反例になります。 の上の に となる点はありません。
は で をみたしますが、 となる はありません。ロルの定理のどの仮定が崩れていますか。
- 閉区間での連続性
- 開区間での微分可能性
- 両端の値が等しいこと
平均値の定理
という制約を外したものが平均値の定理です。
が閉区間 で連続、開区間 で微分可能とする。このとき
となる が存在する。
ラグランジュの平均値の定理とも呼ばれます。左辺が区間全体の平均変化率、右辺が 1 点での瞬間変化率です。
両端の高さが等しい場合を扱う。水平な接線がある
両端の高さは違ってよい。割線と平行な接線がある
見た目は平均値の定理のほうが一般的ですが、証明はロルの定理に帰着します。座標を傾けるだけの違いだからです。
証明:平均値の定理
割線を引き算した関数を作ります。
両端の値を計算しましょう。 です。
は で連続、 で微分可能、 です。ロルの定理から となる が取れます。
移項すれば結論になります。
直観:割線を引いてロルへ帰着する
なぜ補助関数があの形になるのか。 は のグラフと割線の高さの差にほかなりません。
<svg viewBox="0 0 700 290" xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" style="max-width:100%;height:auto;display:block;margin:0 auto"><path d="M62.5 186L64.4 183.8L66.4 181.7L68.3 179.6L70.3 177.6L72.2 175.7L74.2 173.8L76.1 171.9L78.1 170.1L80 168.3L81.9 166.6L83.9 164.9L85.8 163.2L87.8 161.6L89.7 160L91.7 158.4L93.6 156.8L95.6 155.3L97.5 153.8L99.4 152.3L101.4 150.8L103.3 149.4L105.3 148L107.2 146.6L109.2 145.2L111.1 143.8L113.1 142.4L115 141.1L116.9 139.8L118.9 138.5L120.8 137.2L122.8 135.9L124.7 134.7L126.7 133.4L128.6 132.2L130.6 131L132.5 129.7L134.4 128.5L136.4 127.4L138.3 126.2L140.3 125L142.2 123.9L144.2 122.7L146.1 121.6L148.1 120.4L150 119.3L151.9 118.2L153.9 117.1L155.8 116L157.8 115L159.7 113.9L161.7 112.8L163.6 111.8L165.6 110.7L167.5 109.7L169.4 108.7L171.4 107.6L173.3 106.6L175.3 105.6L177.2 104.6L179.2 103.6L181.1 102.6L183.1 101.6L185 100.6L186.9 99.7L188.9 98.7L190.8 97.7L192.8 96.8L194.7 95.8L196.7 94.9L198.6 94L200.6 93L202.5 92.1L204.4 91.2L206.4 90.3L208.3 89.4L210.3 88.5L212.2 87.6L214.2 86.7L216.1 85.8L218.1 84.9L220 84L221.9 83.1L223.9 82.3L225.8 81.4L227.8 80.5L229.7 79.7L231.7 78.8L233.6 78L235.6 77.1L237.5 76.3L239.4 75.4L241.4 74.6L243.3 73.8L245.3 73L247.2 72.1L249.2 71.3L251.1 70.5L253.1 69.7L255 68.9L256.9 68.1L258.9 67.3L260.8 66.5L262.8 65.7L264.7 64.9L266.7 64.1L268.6 63.3L270.6 62.5L272.5 61.8L274.4 61L276.4 60.2L278.3 59.4L280.3 58.7L282.2 57.9L284.2 57.2L286.1 56.4L288.1 55.7L290 54.9L291.9 54.2L293.9 53.4L295.8 52.7" fill="none" stroke="#1b81e0" stroke-width="2.5"/><line x1="62.5" y1="186" x2="295.8" y2="52.7" stroke="#8a8a8a" stroke-width="1.6" stroke-dasharray="6 4"/><circle cx="62.5" cy="186" r="4" fill="#8a8a8a"/><circle cx="295.8" cy="52.7" r="4" fill="#8a8a8a"/><text x="179.2" y="42.7" font-size="13" fill="#1b81e0" text-anchor="middle">f</text><text x="349" y="112" font-size="22" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">−</text><text x="349" y="136" font-size="11" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">割線</text><line x1="390.8" y1="173.1" x2="659.2" y2="173.1" stroke="#dcdcdc" stroke-width="1"/><path d="M402.5 173.1L404.4 171.1L406.4 169.3L408.3 167.5L410.3 165.9L412.2 164.3L414.2 162.9L416.1 161.5L418.1 160.2L420 159L421.9 157.9L423.9 156.8L425.8 155.7L427.8 154.8L429.7 153.8L431.7 153L433.6 152.1L435.6 151.4L437.5 150.6L439.4 149.9L441.4 149.3L443.3 148.7L445.3 148.1L447.2 147.6L449.2 147.1L451.1 146.6L453.1 146.1L455 145.7L456.9 145.3L458.9 145L460.8 144.7L462.8 144.3L464.7 144.1L466.7 143.8L468.6 143.6L470.6 143.4L472.5 143.2L474.4 143L476.4 142.9L478.3 142.8L480.3 142.7L482.2 142.6L484.2 142.5L486.1 142.5L488.1 142.5L490 142.5L491.9 142.5L493.9 142.5L495.8 142.5L497.8 142.6L499.7 142.7L501.7 142.7L503.6 142.8L505.6 143L507.5 143.1L509.4 143.2L511.4 143.4L513.3 143.6L515.3 143.8L517.2 143.9L519.2 144.2L521.1 144.4L523.1 144.6L525 144.9L526.9 145.1L528.9 145.4L530.8 145.7L532.8 146L534.7 146.3L536.7 146.6L538.6 146.9L540.6 147.2L542.5 147.6L544.4 147.9L546.4 148.3L548.3 148.6L550.3 149L552.2 149.4L554.2 149.8L556.1 150.2L558.1 150.6L560 151.1L561.9 151.5L563.9 151.9L565.8 152.4L567.8 152.8L569.7 153.3L571.7 153.8L573.6 154.2L575.6 154.7L577.5 155.2L579.4 155.7L581.4 156.2L583.3 156.8L585.3 157.3L587.2 157.8L589.2 158.4L591.1 158.9L593.1 159.4L595 160L596.9 160.6L598.9 161.1L600.8 161.7L602.8 162.3L604.7 162.9L606.7 163.5L608.6 164.1L610.6 164.7L612.5 165.3L614.4 165.9L616.4 166.5L618.3 167.2L620.3 167.8L622.2 168.5L624.2 169.1L626.1 169.8L628.1 170.4L630 171.1L631.9 171.7L633.9 172.4L635.8 173.1" fill="none" stroke="#1b81e0" stroke-width="2.5"/><line x1="414.2" y1="142.5" x2="577.5" y2="142.5" stroke="#e0761b" stroke-width="2.5"/><circle cx="402.5" cy="173.1" r="4" fill="#8a8a8a"/><circle cx="635.8" cy="173.1" r="4" fill="#8a8a8a"/><circle cx="490" cy="142.5" r="4.5" fill="#e0761b"/><text x="490" y="128.5" font-size="13" fill="#e0761b" text-anchor="middle">c</text><text x="519.2" y="44.4" font-size="13" fill="#1b81e0" text-anchor="middle">g</text><text x="350" y="252" font-size="12" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">割線を引くと両端の高さがそろい、ロルの定理が使える形になります</text><text x="350" y="272" font-size="12" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">水平な接線が立つ点 c は、引き算では動きません</text></svg>割線を引くと両端の高さがどちらも になり、ロルの定理を当てはめられる形になります。
大事なのは、引き算でどの点の接線の傾きも一様に だけ減ることです。 の接線が割線と平行だった点が、そのまま の水平な接線の点になります。
補助関数の作り方は 1 通りではありません。 としても になり、同じ結論が出ます。
計算例: では が中点になる
を で考えます。平均変化率は です。
を とおけば で、これは区間の中点にあたります。
一般の でも同じです。 と から となり、いつでも中点になります。2 次関数に特有の性質です。
計算例: では が相乗平均になる
を で考えます。まず平均変化率を出します。
なので 、すなわち です。
これは と の相乗平均になっています。一般の ()でも、平均変化率が なので です。
計算例: では が対数平均になる
を ()で考えます。 なので、そのまま について解けます。
この量は と の対数平均と呼ばれます。 なら で、確かに と の間にあります。
相乗平均 と相加平均 の間に入っているのも、対数平均の性質どおりです。
計算例: の場合
を で考えます。平均変化率は です。
なので 、すなわち となります。
中点 より少し右にずれました。指数関数が下に凸で、右へ行くほど傾きが急になるためです。
について言えること、言えないこと
定理が保証するのは の存在だけです。
では 2 個、 では区間を広げるだけ増えていきます。1 個とはかぎりません。
区間のどこに寄るかは関数しだいです。中点になるのは 2 次関数のような特別な場合だけです。
が与えられた値になる を初等関数の範囲で解けなければ、 を式に表せません。
存在しか言わないのに強力なのは、たいていの応用で の位置ではなく の取りうる範囲だけを使うからです。 がつねに正なら 、という形で十分なのです。
応用:導関数の符号と単調性
平均値の定理のいちばん基本的な使い道です。
が で連続、 で微分可能とする。 のすべての で ならば、 は で狭義単調増加である。
証明します。 を取り、 で平均値の定理を使いましょう。
かつ なので 、すなわち です。
なら同じ議論で狭義単調減少になり、 なら広義単調増加になります。
逆は成り立たない
狭義単調増加だからといって、導関数がつねに正とはかぎりません。
は実数全体で狭義単調増加ですが、 です。 なら が成り立つのに、1 点で導関数が消えています。
正しい言い換えはこうです。 が で 以上で、しかも となる点の集合が区間を含まないならば、 は狭義単調増加になります。
応用:導関数が なら定数
区間 の上で ならば、 は の上で定数です。
任意の ()について平均値の定理を使うと、 となる が取れます。よって です。
定義域が区間であることが要ります。 のように離れていると、それぞれで別の定数をとる関数が作れてしまいます。
応用:原始関数は定数の差しかない
前の節の帰結として、不定積分の が正当化されます。
が区間 の上で成り立つとします。 とおくと なので、 は の上で定数です。
つまり同じ導関数を持つ 2 つの関数は、定数だけしか違いません。積分定数を 1 つ足せば原始関数を尽くせる、というのはこの事実にほかなりません。
計算例:サインの差を評価する
平均値の定理で不等式を作る典型例です。 とし、 と を端とする区間で に定理を使います。
となる が と の間にあります。 なので、絶対値を取れば結論です。
がどこにあるかは一切使っていません。使ったのは の値域だけです。これが平均値の定理の典型的な使い方になります。
計算例:対数の不等式
について次の不等式を示します。
で に平均値の定理を使います。 と から、次の式が得られます。
なので です。逆数を取ると不等号が向きを変えます。
各辺に を掛ければ、求める不等式になります。
計算例:
すべての実数 で成り立ちます。 では等号です。
のときは で に平均値の定理を使います。 となる があり、 から なので です。
のときは で使います。 となる があり、 と から が出ます。
どちらも の位置から の範囲が決まり、それが不等号の向きを決めています。符号で場合を分けるのがこの手の証明のこつです。
計算例: を挟む
数値の評価にも使えます。 に で平均値の定理を使いましょう。
なので、真ん中の量は次の 2 つの値の間にあります。
右側から が出ます。これを左側に入れ直すと なので、下界は になります。
真の値は です。幅 の範囲まで、手計算だけで追い込めました。
リプシッツ連続との関係
サインの評価を一般化すると、リプシッツ連続の概念になります。
定数 があって、定義域のすべての で が成り立つとき、 はリプシッツ連続であるといいます。
平均値の定理から、区間の上で ならば はリプシッツ連続です。 となるからです。
逆は成り立ちません。 は でリプシッツ連続ですが、原点で微分できません。
計算例:漸化式が収束することを示す
、 という数列を考えます。収束することが平均値の定理だけで示せます。
は区間 を自分自身の中へ写します。実際この区間での値域は です。
したがって 以降の項はすべてこの区間に入ります。区間の上で なので、 とおけます。
隣り合う項の差に平均値の定理を使いましょう。
差が公比 の等比数列で押さえられるので、 はコーシー列になり収束します。
極限を とすると です。数値では になります。
ニュートン法の収束証明も、微分方程式の解の存在証明も、この形の議論が骨格になっています。
コーシーの平均値の定理
2 つの関数を同時に扱う形に一般化できます。
が で連続、 で微分可能とする。このとき
となる が存在する。
割り算のないこの形なら、 に追加の条件は要りません。さらに で を仮定すると、ロルの定理から が従い、比の形に書けます。
とおけば かつ なので、ラグランジュの平均値の定理に戻ります。
証明:コーシーの平均値の定理
補助関数を 1 つだけ作るのがこつです。
は、括弧の中がどちらも になるので明らかです。 も計算すると消えます。
は で連続、 で微分可能、 です。ロルの定理から となる が取れます。
これが結論です。 と を 1 つの関数にまとめたので、出てくる も 1 つで済みました。
直観:媒介曲線として見る
平面上の曲線 を思い浮かべると、コーシーの定理の意味がはっきりします。
<svg viewBox="0 0 700 300" xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" style="max-width:100%;height:auto;display:block;margin:0 auto"><path d="M124.6 217.7L126 216.7L127.5 215.8L129 214.9L130.6 213.9L132.2 212.9L133.8 212L135.4 211L137.1 210L138.8 209L140.5 208L142.3 207L144.1 205.9L146 204.9L147.8 203.9L149.7 202.8L151.7 201.7L153.7 200.7L155.7 199.6L157.7 198.5L159.8 197.4L161.9 196.2L164.1 195.1L166.2 194L168.5 192.8L170.7 191.7L173 190.5L175.4 189.4L177.8 188.2L180.2 187L182.6 185.8L185.1 184.6L187.7 183.4L190.2 182.1L192.8 180.9L195.5 179.6L198.2 178.4L200.9 177.1L203.7 175.8L206.5 174.6L209.4 173.3L212.3 172L215.2 170.6L218.2 169.3L221.2 168L224.3 166.6L227.4 165.3L230.6 163.9L233.8 162.6L237 161.2L240.3 159.8L243.6 158.4L247 157L250.5 155.6L253.9 154.1L257.4 152.7L261 151.2L264.6 149.8L268.3 148.3L272 146.8L275.8 145.4L279.6 143.9L283.4 142.4L287.3 140.9L291.3 139.3L295.3 137.8L299.3 136.3L303.4 134.7L307.6 133.1L311.8 131.6L316 130L320.3 128.4L324.7 126.8L329.1 125.2L333.6 123.6L338.1 121.9L342.7 120.3L347.3 118.7L351.9 117L356.7 115.3L361.5 113.7L366.3 112L371.2 110.3L376.1 108.6L381.1 106.9L386.2 105.1L391.3 103.4L396.5 101.7L401.7 99.9L407 98.2L412.3 96.4L417.7 94.6L423.2 92.8L428.7 91L434.2 89.2L439.9 87.4L445.5 85.6L451.3 83.7L457.1 81.9L463 80L468.9 78.2L474.9 76.3L480.9 74.4L487 72.5L493.2 70.6L499.4 68.7L505.7 66.8L512.1 64.8L518.5 62.9L525 60.9L531.5 59L538.1 57L544.8 55L551.6 53.1L558.4 51.1L565.2 49L572.2 47L579.2 45L586.2 43L593.3 40.9L600.5 38.9" fill="none" stroke="#1b81e0" stroke-width="2.5"/><line x1="137.8" y1="209.6" x2="556.2" y2="51.7" stroke="#8a8a8a" stroke-width="1.6" stroke-dasharray="6 4"/><line x1="147.6" y1="193.5" x2="494.3" y2="62.7" stroke="#e0761b" stroke-width="2.5"/><circle cx="137.8" cy="209.6" r="4" fill="#8a8a8a"/><circle cx="556.2" cy="51.7" r="4" fill="#8a8a8a"/><circle cx="303" cy="134.9" r="4.5" fill="#e0761b"/><text x="143.8" y="229.6" font-size="13" fill="#8a8a8a" text-anchor="start">t = a</text><text x="552.2" y="39.7" font-size="13" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">t = b</text><text x="307" y="120.9" font-size="13" fill="#e0761b" text-anchor="middle">t = c</text><text x="352" y="252" font-size="12" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">曲線 (g(t), f(t)) の割線と平行な接ベクトルを持つ t が c です</text><text x="350" y="272" font-size="12" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">傾きを比で書いたものが、コーシーの平均値の定理です</text></svg>と の 2 点を結ぶ割線の傾きが です。一方、 での接ベクトルは で、その傾きは になります。
つまりコーシーの定理は、媒介変数で描かれた曲線についての「割線と平行な接線がある」という主張です。
ラグランジュの場合は なので、グラフ という特別な曲線を見ていたことになります。
よくある誤った証明
と に別々に平均値の定理を使う、という証明が思い浮かびます。
値としてはこれで合っています。しかし と が同じ点である保証がどこにもありません。定理が主張しているのは、共通の 1 点 が取れることです。
実際に食い違う例を挙げます。、 を で考えましょう。
について なので です。 について なので になります。
コーシーの は から です。3 つとも別の点になりました。
上の議論のどこが誤りですか。
- 計算した比の値が正しくない
- 2 つの点が一致する保証がない
- 平均値の定理を使ってよい条件が崩れている
比の値 自体は正しく出ます。誤りは、 という異なる 2 点での値になってしまい、共通の での を与えていないことです。実際 、、 はすべて違う点です。
応用:ロピタルの定理
コーシーの平均値の定理の主な使い道がこれです。
と が で連続、 の右側で微分可能で、 かつ とします。 に対して でコーシーの定理を使いましょう。
となる が取れます。 とすると も挟まれて に近づきます。
したがって が存在すれば、 も同じ値になります。左側も同じ議論なので、両側の極限についても成り立ちます。
これがロピタルの定理です。 の形の極限を、導関数の比に置き換えてよいことになります。
共通の が取れることが本質になっています。 と が別々では、この議論は 1 行目から通りません。
計算例:ロピタルの定理を使う
を求めます。分子も分母も で に行きます。
微分を繰り返しましょう。1 回目で になり、これもまだ の形です。
2 回目で 、3 回目で となり、 で収束します。
で数値を出すと で、確かに に近い値になります。
テイラーの定理へ
平均値の定理は、テイラーの定理の の場合にあたります。
が 回微分可能なとき、次の形に書けます。
最後の項をラグランジュの剰余といい、 は と の間のある点です。
とすると和は だけになり、 すなわち平均値の定理そのものになります。
ロルの定理
平均値の定理
コーシーの平均値の定理
テイラーの定理
この順に、どれも 1 つ前の定理から補助関数を作って導けます。出発点はロルの定理で、さらにさかのぼれば最大値の定理です。
計算例:テイラーの剰余で誤差を評価する
を のまわりで 2 次まで展開すると です。この近似の誤差を評価します。
のテイラーの定理を使います。3 次の項は の 3 階微分が なので消え、剰余だけが残ります。
なので、誤差は 以下です。
で確かめましょう。上界は 、実際の誤差は でした。上界がかなり近いところまで来ています。
積分の平均値の定理との関係
積分にも平均値の定理があります。名前が似ているだけでなく、微分の平均値の定理から直接導けます。
が で連続ならば、
となる が存在する。
証明は 2 行です。 とおくと、微積分の基本定理から は微分可能で になります。
この に平均値の定理を使うと が得られ、 とあわせて結論になります。
の上の で試しましょう。積分は なので 、すなわち です。
応用:導関数の極限から微分係数が決まる
平均値の定理には、次のような使い方もあります。
が で連続、 の右側で微分可能で、 が存在するとする。このとき右側微分係数が存在して に等しい。
証明します。 について で平均値の定理を使うと、次をみたす が取れます。
のとき は に挟まれて近づきます。仮定から右辺は に収束するので、左辺の極限も です。
導関数は跳んだり、1 点だけ値がずれたりできない、ということになります。次のダルブーの定理と同じことを別の角度から言っています。
ただし逆は言えません。 は原点で微分可能ですが、 の での極限は存在しません。
ダルブーの定理
平均値の定理の親戚として、導関数についての意外な事実があります。
が区間 で微分可能とする。 について、 と の間の任意の値 に対し、 となる が と の間に存在する。
つまり導関数は中間値の性質を持ちます。ダルブーの定理といいます。
驚くのは、 が連続でなくてもよいことです。、 の導関数は原点で連続になりませんが、それでも中間値を飛ばしません。
裏返せば、跳びのある関数は導関数になりえない、ということです。階段関数を導関数に持つ関数は存在しません。
ベクトル値では等式にならない
平均値の定理は、値が実数であることに強く依存しています。値がベクトルになると、等式の形では成り立ちません。
を で考えます。一周して戻るので です。
<svg viewBox="0 0 700 292" xmlns="http://www.w3.org/2000/svg" style="max-width:100%;height:auto;display:block;margin:0 auto"><defs><marker id="mvt-arrow" viewBox="0 0 10 10" refX="9" refY="5" markerWidth="7" markerHeight="7" orient="auto"><path d="M 0 0 L 10 5 L 0 10 z" fill="#e0761b"/></marker></defs><circle cx="330" cy="122" r="84" fill="none" stroke="#1b81e0" stroke-width="2.5"/><line x1="414" y1="122" x2="414" y2="82" stroke="#e0761b" stroke-width="2" marker-end="url(#mvt-arrow)"/><circle cx="414" cy="122" r="3" fill="#1b81e0"/><line x1="372" y1="49.3" x2="337.4" y2="29.3" stroke="#e0761b" stroke-width="2" marker-end="url(#mvt-arrow)"/><circle cx="372" cy="49.3" r="3" fill="#1b81e0"/><line x1="288" y1="49.3" x2="253.4" y2="69.3" stroke="#e0761b" stroke-width="2" marker-end="url(#mvt-arrow)"/><circle cx="288" cy="49.3" r="3" fill="#1b81e0"/><line x1="246" y1="122" x2="246" y2="162" stroke="#e0761b" stroke-width="2" marker-end="url(#mvt-arrow)"/><circle cx="246" cy="122" r="3" fill="#1b81e0"/><line x1="288" y1="194.7" x2="322.6" y2="214.7" stroke="#e0761b" stroke-width="2" marker-end="url(#mvt-arrow)"/><circle cx="288" cy="194.7" r="3" fill="#1b81e0"/><line x1="372" y1="194.7" x2="406.6" y2="174.7" stroke="#e0761b" stroke-width="2" marker-end="url(#mvt-arrow)"/><circle cx="372" cy="194.7" r="3" fill="#1b81e0"/><circle cx="414" cy="122" r="5.5" fill="#8a8a8a"/><text x="472" y="127" font-size="13" fill="#8a8a8a">t = 0 と t = 2π が同じ点</text><text x="350" y="278" font-size="12" fill="#8a8a8a" text-anchor="middle">一周すると変位は 0 ですが、速度ベクトルはどこでも長さ 1 で 0 になりません</text></svg>もし等式が成り立つなら 、つまり となる があるはずです。ところが の長さはつねに で、 になりません。
成分ごとに定理を使うことはできます。しかし 用の と 用の が別々に出てきて、共通の点にはなりません。コーシーの定理の誤った証明と同じ壁です。
を で見ても同じです。 に対し、 からは 、 からは が出て一致しません。
平均値の不等式
等式が壊れても、不等式なら生き残ります。
が で連続、 で微分可能とする。このとき
が成り立つ。
円の例で確かめると、左辺は 、右辺は です。不等式としては何も破れていません。
実用上はこの形で足りることがほとんどです。多変数で偏導関数が連続なら全微分可能になる、という定理の証明も、成分ごとの平均値の定理とこの評価を組み合わせて進みます。











∣x∣ は [−1,1] 全体で連続です。崩れているのは内点 x=0 での微分可能性で、開区間 (−1,1) のうち 1 点でも破れると結論は保証されません。